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社会

「入学と同時に自動加入」は違法の可能性も? 知られざるPTAのヤバい実態

大塚玲子(ジャーナリスト)

2021年11月13日 公開 2022年01月17日 更新

 

ダダ漏れ注意「個人情報保護法令違反」

そもそも、なぜPTAでは「入会申込みを受けずに会員をゲットする」というアクロバティックなことをできるのかというと、学校がもつ保護者や教職員の個人情報(名簿)をPTAのために無断流用、あるいは無断でPTAに提供しているからです。

だからPTAは、本人からの申込みがないのに「会員がいるような体裁」をつくれてしまうのです。このようなやり方は、もちろん問題があります。

まず、PTAは「個人情報保護法※」に違反します。2017年から改正個人情報保護法が施行され、PTAも対象事業者となったのですが、この法律では、個人情報を不正な手段で入手することを禁じています。学校から個人情報を無断提供してもらうのは適切な手段ではありません。

(※個人情報保護法第17条個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない)

他方、名簿をPTAに無断提供する学校も、自治体の「個人情報保護条例」に違反します。公立の学校は個人情報保護法の対象ではなく、自治体の個人情報保護条例の対象なのです。

条例も法律と同様に、個人情報の目的外利用や、本人の同意なく第三者に提供することを禁じています。ですから、学校がPTAという他団体に名簿を無断提供することには問題があるのです。最近では、校長が書類送検された例もあります。

PTAは、本当は自分たちで入会申込みを集め、このときに本人から個人情報を提供してもらう必要があります。要は一般の団体と同様のやり方をするということです。

なお、PTAが会員から適切に個人情報を入手していれば、非会員の情報は入手できません。つまり「誰が非会員であるか」をPTAは把握できないことになります。

ときどき、PTAに個人情報を提供することについて、学校が各保護者に同意をとるケースもあります。個人情の取扱い方としては間違っていませんが、ただしこのやり方では「自動強制加入」の問題が生じる点に注意が必要です。個人情報をPTAに提供することと、PTAに加入することは本来全く別のことです。

PTAや学校ではよく、一般的にやってはいけないことでも「子どものためだからよい」と正当化されますが、そんなことはないはずです。子どものためだろうが大人のためだろうが、やってはいけないことは、やってはいけないでしょう。学校という場で活動するなら、子どもたちに見せて恥ずかしくない運営をしたいものです。

 

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