給与明細しっかり見てる?「低い基本給、高額な手当」の思わぬデメリット
2021年11月30日 公開 2024年12月16日 更新
「私たちは案外身の回りのお金のしくみについて知りません」――そう語るのは税理士の高橋創氏。毎月の給与の計算や、そこから引かれる「税金」と「社会保険」が私たちにどんな関係があるのかまで把握する人は多くない。
「私自身も給与をもらって働いていたころは、天引きされる『健康保険』『厚生年金』『所得税』を毎月苦々しく思いながら給与明細を眺めていた記憶があります」と高橋氏は笑う。本稿では必ず押さえておきたい基本的な給与明細の見方を解説する。
※本稿は、高橋創監修『給与明細から読み解くお金のしくみ』(日東書院本社)より一部抜粋・編集したものです。
「低い基本給」は働き手にとってデメリットしかない
基本給とは手当を除いた「基本賃金(給料)」のことで、総支給額を指す給与とは別物です。毎月振り込まれる金額は基本給に諸手当を足し、さらに税金や社会保険が引かれたものです。基本給は最低限保証された、必ずもらえるお金です。その月の働き方で変動することはありません。
会社が予告なしに勝手に基本給を下げることは違法です。基準内給与と呼ぶこともありますが、法律で定義された言葉ではありません。また、諸手当が厚く基本給が低い...これは注意が必要です。率直にいって、基本給が低いことは働き手にとってデメリットでしかありません。
・残業代は基本給で計算されるため残業代も安く計算されてしまう
・基本給をベースに算出することの多いボーナスも低くなる
・手当はいつカットされるかわからない
基本給があまりに低く手当が高額な会社は、ブラック企業であることを疑ってもいいかもしれません。
給与から引かれる「所得税・住民税・社会保険料」
毎月の給与から引かれる税金は、所得税と住民税の2つです。よく「天引きされる税金が高すぎる!」といわれますが、給与から引かれている(控除される)ものの中で大きな負担に感じているものは、実は税金ではなく社会保険料なのです。
毎月支払っている身近な税金にもかかわらず、会社員だと自分で手続きすることがないので、意識することは少ないかもしれません。
所得税と住民税はそれぞれ個人の1年間の所得に応じてかかる税金です。一定の収入があれば、たとえ赤ちゃんでもこれらの税金が発生します。1年間の所得に対して計算する所得税と住民税は、似ているようで全く異なるタイプの税金です。まず、この2つの税金は納める先が異なります。
所得税は「国税」のため国に、住民税は「地方税」のため市区町村に納めます。さらに、1年をカウントする期間が異なります。所得税はその年の1月から12月までが対象なのに対し、住民税は前年の1月から12月までが対象です。