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社会

なぜイノベーションは必要なの? 世界が注目の15歳科学者が訴える「若者の責任」

ギタンジャリ・ラオ(著)、堀越英美(訳)

2021年12月23日 公開

 

思いやりの気持ちが問題の理解を深める

科学やテクノロジーは有効な手段ですが、個人的には「思いやり(カインドネス)」を学ぶことも、同じくらい重視されるべきだと感じています。

人の立場に立ってものを考え、その気持ちを思いやることは、問題の理解を深めるのに役立ちますし、他者を助けようとするモチベーションを高めることにもなります。

たとえば応用構造工学を学ぶつもりなら、自然災害による構造的な問題を抱えている地域について知り、どのように支援できるかを理解する必要があるでしょう。

科学であれ、地理学であれ、物理であれ、イノベーションは、健康や経済を改善するために社会状況の変化や文化、流通をどのように活かすかというところからはじめるべきです。

私たちが科学を学ぶのであれば、科学の概念をどのように応用すれば問題を解決できるかということを考えなければなりません。

 

科学技術を利用して、私たち若者が社会を変える

ここまでいくつかの例を示しましたが、目指しているのは科学技術を利用して社会を変えることです。私たち学生はスポンジのようなもので、自分自身がおもしろいと感じ、楽しんで学んだことは、どんどん吸収していくことができます。

授業やテスト、あるいは「A+」の評価を得たいという目的だけで、すべてが学べるわけではありません。私たちには、失敗しても許され、実際に問題解決を体験しながら学ぶことができる教育が必要です。だから一緒に挑戦して、ムーブメントをおこしましょう。だれも私たちを止めることはできません。

つい先日、私はグローバル電力サミットに参加しました。グローバル電力サミットとは、持続可能な暮らしに向けて、科学の力や若者の創意工夫を活かすことを目指したイベントです。

気候変動対策の運動をはじめたグレタ・トゥーンベリさんは、すべての人に「科学に耳を傾むけて」と訴えました。「科学に耳を傾ける」とはどういう意味でしょう?

それは、問題の理解を深めるために、事実や数字を把握することです。問題を解決するための方法を模索し、人々の関心を高めることでもあります。

国連のSDGs(持続可能な開発目標)を見れば、人類は長い道のりを歩んできたけれど、未来を維持するための道のりはなおも長く続くということがわかるでしょう。若者に何ができるかを世界に示すために、私たちは結集しなければなりません。私たちは変革者となる必要があります。変化をおこしましょう。

私たちはその変化が未来を形作り、世界中の若きイノベーターたちに波及効果をもたらすのを見届ける必要があります。自分の「生きがい」や情熱の対象を見つけ、変革者となり、世界を救いましょう。

 

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