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社会

なぜ理系に進む女の子は少ないのか...15歳の発明家が問う「科学分野の男女格差」

ギタンジャリ・ラオ(著)、堀越英美(訳)

2021年12月27日 公開

なぜ理系に進む女の子は少ないのか...15歳の発明家が問う「科学分野の男女格差」

10代の若さで「水道水から鉛を検出する装置」「鎮痛薬依存症の早期診断装置」「いじめ防止アプリ」を次々と開発し、アメリカの各方面から高く評価されるギタンジャリ・ラオ氏。

女性がSTEM分野に参画することについて、自身の経験もふまえながら現状の問題点や女性ならではの意義を語る。

※本稿は、ギタンジャリ・ラオ:著、堀越英美:訳『ギタンジャリ・ラオSTEMで未来は変えられる』(くもん出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

プログラミング教室には女の子がいない

ここで少し、STEM分野に女の子がとびこむことについて、個人的な体験をお話ししたいと思います。数年前、私はとてもワクワクしながら、STEM研究室のプログラムに参加しました。新しい友だちに出会い、新しいテーマを学びたかったのです。(STEM:Science,Technology,Engineering,Mathematicsの略語)

けれどもふたを開けてみれば、7人の男の子と私というメンバーで、すでにできあがっているクラブの中にまぎれこんだみたいでした。無意識のうちに、私はここではういてしまうかもしれないと思いこんでしまいました。

でもレッスンが終わって、これは自分の大好きなことだと気づいたら、だれと一緒だろうが関係なくなりました。小学3年生のときにプログラミングキャンプに参加したときも、同じことがおきました。サマーキャンプの1週間を通して、女の子は私だけだったのです。

最終課題はゲームを作ることでした。チームメイトと一緒にゲームを作りはじめましたが、最初は男の子のキャラクターしかいませんでした。女の子のキャラクターを入れてほしいと頼んだら、チームメイトたちから申し訳なさそうに、「忘れてたよ」といわれました。

彼らはわざとそうしたわけではありません。自分たちと同じような見た目じゃないのに同じような行動をする人間なんて、いないと思っていただけなんです。

――男の子にかこまれていたことで、影響を受けた?
ええ、最初はそうでしたけど、最後はそうでもありませんでした。

――なじめないと感じた?
他の人がどう思っているかは気にしていませんでしたし、違いを感じることもありませんでした。

――勉強したテーマやゲーム作り、実験は楽しかった?
はい、もちろんです。

私は、STEM分野に参加する女の子としてのメッセージと、その重要性を伝えたいと思います。私が社会の中で変えたいことがひとつあるとすれば、それは女の子がSTEMを安心して追究できる空間を提供することです。

 

女性は理系に興味がないのか

研究によれば、女子は必ずしも男子と同じ動機でSTEMに興味をもつわけではないということがわかっています。男の子も女の子も、自分がやっていることの目的や意義を理解したいという点では変わりません。

しかし女の子はロボットや機械を動かすことよりも、研究にアートやクリエイティビティを活かしたいと思うことが多いようです。友人の女の子何人かにインタビューしたところ、男の子の友人に比べ、彼女たちはアートや音楽、社会奉仕活動などをとりいれ、クリエイティブな形でSTEMにとりくむのが好きだということがわかりました。

彼女たちの話をきいて、私は母に、弟と私で問題解決へのとりくみ方に違いがあるかどうかたずねてみました。母も非常に似通った考えをもっていました。弟は問題をものの数分で把握したら、さっさと解決策を生みだし、それが問題を解決したかどうかを起点にして作業を進めていきます。

一方、私はもっと時間をかけて問題にとりくみ、問題の特徴を描きだし、フィードバックを求めてから解決策を考えていました。どちらのアプローチが悪いということはありません。共同でとりくめば、最高の結果をもたらすでしょう。

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