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夫婦間でもアポイントを...互いの言動へのイライラを抑える「話し合いの方法」

斉田英子(キャリアコンサルタント)

2022年01月13日 公開 2022年01月13日 更新

夫婦間でもアポイントを...互いの言動へのイライラを抑える「話し合いの方法」


お互いの仕事のスケジュール、子どもたちのさまざまな行事関係を、アプリなどで一括管理(イラスト:シミキョウ)

夫婦で大事なことを話し合いたいのに、話をあまり聞いてくれない、なぜかけんかになってしまう、そもそも話し合い時間がない...夫婦の話し合いを進めるための5つのマナーを、中央大学兼任講師・キャリアカウンセラーの斉田英子さんがやさしく解説します。

※本稿は、斉田英子著『家族で話し合いをしてますか?』(PHP研究所)を一部抜粋・編集したものです。

 

話し合いのアポイントをとる

職場で、学校で、誰かに何か尋ねたいことがあるとき、相手の様子を観察しますね。あまりに忙しそうならば声をかけることをいったん止め、改めてそのタイミングを探します。ここぞというときに「いま、お時間いいでしょうか」と切り出すと思います。夫婦でもまったく同じです。

私たち夫婦は、お互いの仕事のスケジュール、子どもたちのさまざまな行事関係をアプリ(TimeTree〈タイムツリー〉)で一括管理しています。

通常の仕事以外にも、締め切りがあるもの、突発的に入る仕事もあります。会議は、外に出向くのかオンラインかによっても所要時間が違います。特に、緊張感のある仕事が続くとき、締め切りの原稿などがあるときは、大切な話し合いをするには不向きです。

パートナーの時間を勝手に奪ってはいけません。パートナーの時間を尊重します。これは夫婦といえども他人であること、お互いに貴重な時間を過ごしているということを理解しなければなりません。

そのことを念頭に「○○について話したいので、内容を事前に簡潔に伝えておくね」と数分の隙間時間に示唆したり、「今日のお昼ご飯の時、○○についてアドバイスが欲しいけど、いいかなあ」と伝えたり、「○○についてゆっくり話したいので、まとまって数時間一緒に話せるのはいつだろう?」とスケジュールを調整します。

子どもたちが起きている間に、夫婦で落ち着いて話をすることはほぼ不可能です。二人だけでランチをしたり、一緒に過ごす時間のスケジュール調整は数か月前から行います。

毎日は、どうでもいいおしゃべり、結論のない話、反応を期待しないつぶやきのようなものがたくさんあり、それはそれで楽しいものです。しかし、大切な二人の話し合いの時間は、アポを取ることでうまくいきます。

むしろ、アポを取って話そうとしない限り、後手後手になり、曖昧になって時間だけが過ぎていくでしょう。二人の未来を大切に思うからこそのアポイントです。

 

言い方が大事、聞き方も大事、心もオープンに

コーチングを学び始めた当初、コーチから「聞くというスキルだけでも250通りくらいあります」と聞いたときはびっくりしました。

拙著『家族で話し合いをしてますか?』で一部を紹介していますが、それまでは対話とは、人の話にただ耳を傾け、内容、意味を理解し、何かしらの反応をするだけでしょう? と思っていました。しかし「声=トーン」にもいろいろあります。

たとえば、携帯電話の着信で、相手が誰かによって第一声の「もしもし」のトーンが違うことはありませんか。久しぶりの親友なら高音で弾む声に、仕事の上司なら丁寧な落ち着いた声に、子どもやパートナーなら地声で時にぶっきらぼうになったりしませんか。

相手によって良くも悪くも使い分けている「声のトーン」を意識してみましょう。自分の考えを話したり、相手の話を聞いているとき、自分のフィルターを通して勝手に解釈していないか気をつける必要もあります。無意識に気づいていない感情が入り混じっていることはあるものです。

つい、夫婦や親子、家族であることの甘えから、言い方がキツくなったり、イライラをそのままぶつけたりすることがあるかもしれません。話し合いは、目線、表情、声のトーンを間違えば、言い合いになり、けんかになります。

自分自身はさておき、パートナーの言い方にカチンときてしまうと、とたんに気持ちをコントロールすることができなくなることがありますね。いったん席を離れてブレイク。ゆっくり深呼吸。話し合いは延期しいったんリセットしてからにします。そのようにパートナーにも伝えます。

大事なことは、無表情で原稿を読み上げ、質問があれば用意された原稿の文字をなぞり、当たり障りのない回答をする政治家のようには決してならないで、ということ。嬉しいといいながら目が笑っていない、真剣に話をしたいといいながら目線を合わせないのでは、相手には伝わりません。

大人になるプロセスで、喜怒哀楽をあまり表に出さないようになってしまっているかもしれません。「男は泣くな」というより「男も女も涙が出ることある!」です。心をオープンにする練習も、夫婦や家族だからこそ、できるはずです。無表情の人は、特に男性に多いです。

ある男子大学生は、自分は普通にしているつもりでも、友人から怒っていると誤解されることがありました。相談を受けて、鏡の前で毎日笑顔をつくる練習をしてはどう? とアドバイスしました。男子学生は素直に取り組み、だいぶ表情が豊かになったのですが、最初は顔の筋肉がなかなか動かないことに驚いていました。

夫婦も親子も別人格の他人です。うまく話し合いができないと感じる方は、あなたが家の外で見せるちょっと丁寧な言い方、謙虚な姿勢や聞き方を家でも実践してみてください。

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育ちの環境が影響していることを前提とする

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