定年後、妻に捨てられる夫に共通する「ムダなこだわり」
2019年09月11日 公開 2024年12月16日 更新
(写真=永井 浩)
<<「朝食はカレーを食べなくてはいけない」「仕事のときは、スーツ着用が絶対」……。こうしたビジネスパーソンのこだわりやルーティンは、現役時代では有効に働くものの、定年を迎え、家にいる時間が長くなると、むしろ「邪魔」になることも多い。
人生後半は、ビジネスパートナーではなく、妻(夫)というパートナーと過ごす時間が大部分を占めるからだ。夫婦円満が続き、定年後を有意義に送るためには、これまでの生き方を見直し、"大事"と思っている言動を思い切って捨てることが求められるといえる。
そこで本稿では、成毛眞氏の新著『一秒で捨てろ!』 (PHPビジネス新書)より、定年後に生じる夫婦関係の亀裂と、その対処法を取り上げていく>>
手作り料理信仰を捨てよ
食へのこだわりで言えば、日本人は世界有数だと思う。しかし、「手作り料理でなければならない」という固定観念にしばられるあまり、時間がないなかで無理をして料理を作っている人、それによりストレスや疲れをためている人が意外と多いのではないか。
とりわけムリをして手作りしていると感じるのは、共働き、とくに子育てをしている家庭だ。
雑誌『PRESIDENT WOMAN』で「"日本式共稼ぎ"はなぜこれほど疲弊するか」というテーマの記事を読んだ。記事には書かれていなかったが、日本人の共稼ぎ家庭が疲弊する理由の一つは、自宅での手作り料理に対するもはや信仰と言ってもいいほどの熱心さにあるかもしれない。
日本では、妻であれ夫であれ、料理に対して異様に時間と労力をかけている。
夕方のスーパーマーケットでは、仕事帰りに保育園などで子供をピックアップしたあと、疲れた顔をして食材を購入している母親の姿を見かけることがある。彼女たちが一生懸命料理を作っているのは、「食育」の意味で、出来合いのものばかり子供に与えてはいけないと考えているからかもしれない。
だが、有名シェフの三國清三さんは1950年代に北海道の漁師家庭に生まれ育って、「ザ・日本」のものばかり食べていたのにフレンチをやっているし、そもそも私も、同時期にじつにテキトーな料理を食べていた。それでも大人になったら、味はわかるようになる。
いつの時代も、多くの子供はホーレンソウだのピーマンだのが嫌いだし、ぼたもちが大好きな男子高校生もあまり見たことはない。しかし、歳をとるにつれ好みが変わってくる。ということは、幼少期の食育に効果があるのかは、はなはだ疑問である。
コンビニや冷凍食品などをフル活用しても、子供の健康や味覚には、何ら問題はない。罪悪感など覚える必要はまったくない、と私は思う。
コンビニ飯でも何でもいいから、家族揃ってゆっくりテレビでも見ながら、気楽にニコニコしながら食べたほうが、子供だって親に気を遣うことがないし、楽しく食べられるのではないだろうか。