加熱する中学受験。子どもたちにとって、鬼門となる教科が実は「国語」だと言われています。とりわけ勉強をしなくても得意な子もいれば、勉強をしてもなかなか成績が上がらない子もいます。
その差をわける一因として「読書量の差」が指摘されます。そのため「読書好きな子ども」に育てたいと考え、子どもが小さなうちから絵本の読み聞かせに取り組む親も多いでしょう。
本稿では、私立認可保育園であるこのえ保育園のオリジナルプログラム、こころのじかん「表現教室」に関わり、「読み聞かせのプロフェッショナル」としてその講師も長年務める声優の深水由美さんに極意をうかがいました。
【深水由美(ふかみず・ゆみ)】
プロダクション・エース所属 アニメ「少年アシベ」チットちゃん、「ゾイドジェネシス」ソウタ、「遊戯王ゼアル」ドロワなど、少年・少女から大人まで幅広いキャラクターを演じる。吹き替え作品も多数、映画「スペース・プレイヤーズ」ローラ・バニー等。2017年からは表現教室の講師も意欲的に取り組んでいる。
絵本全体のテンポ、トーンにメリハリをつける
『6ぴきのカエルとひえひえのよる』(作:つるたあき、KADOKAWA刊)より。擬音が大きくなっていく様子を表現している。
絵本を上手に読み聞かせをするためのコツ、最初のキーワードは「メリハリ」です。深水さんはこう解説します。
「長い絵本を読む場合、聞き手をいかに飽きさせないかが大事です。特に、絵本の場合は聞き手が未就学の子どもですからね。同じ口調とテンポの読み方が続くと、聞いてる側は集中出来なくなり飽きてしまいます。いかにテンポに緩急をつけ、トーンを変え、全体のカラーを豊かにするかが大きなポイントだと思います」。
さらに、子ども向け絵本に登場する重要な要素といえば「オノマトペ(擬音語、擬声語)」。絵本には擬音語がたくさん登場します。
「ポキポキ」「ズボォ!」といったよく耳にする擬音語もあれば、「コロコロゴロゴロ」→「ゴォロゴォロ」→「グォンログォンロ」→「ズゴゴゴゴゴ」と雪玉がだんだん大きくなっていくさまを、独自の擬音語を使っておもしろく表現しているページもあります。
この「オノマトペ」を表現する際にも、深水さんはとりわけ「テンポ、トーンを大事に声にしています」とのこと。このあたりは読み聞かせの仕方によって、子どもたちの反応も大きく違ってきます。要所要所で出てくる「オノマトペ」を効果的に読んで、メリハリをつける工夫からまずはやってみましょう。
次のページ
語り(ナレーション)とキャラクター(セリフ)の区別、切り替えをはっきりさせる