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「昨日まで元気だったのに...」は勘違い? 上司が気づかない突然辞める社員のSOS

平賀充記(ツナグ働き方研究所所長)

2022年05月10日 公開 2024年12月16日 更新

「昨日まで元気だったのに...」は勘違い? 上司が気づかない突然辞める社員のSOS

昨今、働き方や仕事への価値観は従来のものから大きく変わりつつあります。令和時代の若手社員に、時にはイライラ・モヤモヤすることも...。中には最近話題の「退職代行」を使って突然辞めてしまう社員も増えています。部下の突然の退職を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。若手社員のホンネを交えながら解説します。

※本稿は、『イライラ・モヤモヤする 今どきの若手社員のトリセツ』(PHP研究所)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

Case1.昨日の面談では元気だったのに...突然辞める若手

【オトナのイラモヤ】
「すみません、来月いっぱいで辞めようと思います」「え? マジで言ってる?」。やっと仕事も覚えてきた。これから戦力として楽しみだ。そう思っていた矢先だったのに。ていうか、昨日の1on1面談のときは、普通に元気だったじゃない?新しい案件にも積極的に関わりたいって言ってたし。あれは、何だったんだ?

【若手社員のホンネ】
突然、辞めることになったのは申し訳ないと思ってはいます。でも、だいぶ前から、この仕事は自分に向いてないかなぁと思ってました。いつも怒られてばっかだし。水面下で面接受けたら受かっちゃったんです。

最近の若者はすぐ辞める──

オトナ世代のこうした声は、ほんとにあちこちから聞こえてきます。

オトナの脳裏に浮かぶであろう、今どきの若者へのイラモヤを代弁してみます。

子どもの頃からあまり怒られたことがなく、甘やかされて育てられたせいか、はたまたゆとり教育のせいか、最近の若者は本当に打たれ弱い。何か失敗して怒られた場合に、なにくそと奮起するよりも、シュンとしてしまって落ち込む。なぜ怒られたのかを理解せず、怒られたことに対してのみ不満を持つ。

できないこと、やらないことになんだかんだと理由をつけて「自分は悪くない」と自己正当化する。義務を果たそうとしないくせに権利だけは人一倍主張する。その挙句、落ち込んだまま復活せず、すぐに辞めると言い出す。

大なり小なりこんな感じじゃないでしょうか。

最近の若者はすぐ辞める。これをもっと正確に表現するならば、彼らは「すぐ辞める」のではなく「突然辞める」のです。

そして、突然辞めるように見えるのは、最近の若者は「辞めることに抵抗はない」ものの、「辞めると言い出すことに抵抗がある」からです。

認めてほしいけど目立ちすぎるのは困るといった複雑な承認欲求を抱え、できるキャラを演じがち。こんな若者にイラモヤしながらも、気を遣い、日々を過ごしているというのに、突然辞めると言ってくる。まさに泣きっ面に蜂ですよね。

できるキャラを演じてしまうから、コンディションが見えにくい。またSNSのつながりや副業の経験などから、自分にあった求人の情報取得が容易になった。

こうした状況からも、職場の若手社員が突然辞めることを防ぐのは、なかなか難しいと言わざるをえません。結局のところ、若手のコンディションをきちんと把握する努力をすることに尽きます。

 

<解決のヒント>悩みを引き出す環境を作る

問題は、若手社員の悩みが見えにくいということです。

彼らは、軋轢)が生じるかもしれない「悩み」を自分から打ち明けるのがすこぶる苦手。つまり、重要なのは、悩みを引き出しやすい環境をつくることです。

そのヒントは、「心理的安全性」と「傾聴」にあります。

本来の自分を偽ることなく、ありのままの自分をさらけ出してもいいんだ。自分の話をしっかり聞いてもらえるんだ。

こんなふうに、若手社員が心を開いてもいいと思えるような環境とコミュニケーションが、極めて重要です。

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