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導入コストがかさむ? 「中小企業がDXを実現する」5つのステップ

日淺光博(株式会社日淺CEO)

2022年05月02日 公開

 

悩み5「社員に提案をされてもわからない」

これまでは経営者を主体とした悩みでしたが、社員などからDXを提案される場合もあると思いますし、すでに提案を経験した方もいらっしゃることでしょう。経営者がITの専門家ではない場合も多いため判断に迷うこともあり、結果、真価がわからないまま否決してしまうこともあると聞きます。

提案を適切に判断するためのポイントを、お伝えしておきましょう。

チェックポイントは4つです。

1つ目は、導入前と導入後で何がどう変わるのかを数字で出してもらうことです。たとえば残業時間が減る、採用すべき人数が減る、交通費が減る、などはわかりやすい尺度で報告を受けましょう。

2つ目は導入費用です。上記に付随しますが、導入した際にかかる費用がこれまでかかっていた経費より少なければ、導入費用としては十分でしょう。仮に費用が少し高い場合でも、長期的なスパンで見ると、それにかかる社員の労働時間が減るなどの効果も付随する可能性もあります。提案側のほうが、そうした波及効果をよりリアルに予測できるでしょうから、きちんと試算してもらうことをお勧めします。

3つ目が、その提案者以外も使えるものかどうかです。ITリテラシーが高くないと使えないシステムだと、提案者を含む数名しか使えないという状況になりかねません。提案者が何らかの理由でいなくなってしまったら、そのシステムは使えないものになるリスクもあるので、慎重に判断したほうがいいでしょう。

最後が、提案内容が社長の考える優先的な経営課題の解消につながっているかどうかです。上記の3つをクリアしていたとしても、社長自身が考える優先的な経営課題とつながっていなければ、採用を見送るという判断基準もありでしょう。内部留保がたっぷりある企業なら長期でいろいろなことに挑戦するのもいいでしょうが、一般的な中小企業に大切なのは、目の前にある解決すべき課題に集中することです。

システムのことは複雑でわからない点が多いかもしれませんが、こうした判断基準を経営者自身が持つことで、モチベーションの高い社員の提案を無碍に否決することも減るはずです。結果的に会社全体がいい方向へ行く可能性が高いのであれば、社員の提案を受け入れてDXを進めていくべきでしょう。

 

一歩を踏み出すことが会社の未来を作る

中小企業は、ヒト、モノ、カネの経営資源がかぎられています。そのなかでDXを進めていくことは簡単ではありません。今回紹介したような代表的な悩み以外にも、個別具体的な悩みを抱えていることがほとんどでしょう。

長く経営をしている経営者であればあるほど、これまでのやり方や勝利の方程式に慣れ親しむこともわかります。しかしデジタル化の大波はすべての企業に変容を迫っているのも事実です。DXに一歩踏み出そうと思った中小企業の経営者のみなさんには、ぜひDXを前に進めて会社を強靭化してほしいと思います。

 

【プロフィール】
日淺光博(ひあさ・みつひろ)

DX専門コンサルティングファーム・株式会社日淺CEO。DXコンサルタント。公益財団法人九州経済調査協会アドバイザー、三越伊勢丹グループ会社顧問などを歴任。直近2年で40社以上のDXプロジェクトに関わり現在に至る。DXに特化した情報発信やデジタル人材育成動画を配信する「GoDX」を運営。

DX専門コンサルティングファーム 株式会社日淺 公式サイトhttps://hiasa.co.jp/

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