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導入コストがかさむ? 「中小企業がDXを実現する」5つのステップ

日淺光博(株式会社日淺CEO)

2022年05月02日 公開

導入コストがかさむ? 「中小企業がDXを実現する」5つのステップ

「製造業、小売業などの中小企業こそ、DXを進めるときが来ています」などと謳った記事や広告を目にしない日はありませんが、日々の課題に忙殺され、なかなか重い腰が上がらないという現実もあるようです。

「どこからデジタル化を始めていいかわからない」「DXを進められるような人材はいない」といった、中小企業の経営者によくある5つの悩みに対する解決策を、DX専門コンサルタントとして活躍する日淺光博氏がご紹介します。

※本稿は、日淺光博著『難しい話はもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください』(サンマーク出版)の内容を再構成したものです。

 

DXに後ろ向きな経営者は多い

私はDX専門コンサルタントとして、この2年で数十のDXプロジェクトを手がけてきましたが「どこからデジタル化を始めていいかわからない」「DXを進められるような人材はいない」「うちは古い体質だから無理に変えなくてもよい」と仰る経営者は大勢いらっしゃいました。

まだDXに本腰を入れていない中小企業の経営者も同じようにお考えかもしれませんが、中小企業こそDXを推進させるチャンスが来ています。

 

悩み1「どこから始めていいのかわからない」

これは非常に多くの経営者に共通する悩みです。「DXってよく聞くけれど、どこから始めていいかわからない。デジタルにくわしくもないし」という悩みに対する私の回答は明確です。

まずは総務や経理などのバックオフィス業務からDXを進めましょう。

たとえば経理業務で、エクセルなどの表計算ソフトやパソコンにインストールするタイプの経理ソフトを使っているようでしたら、今すぐクラウド型の経理サービスを導入することをおすすめします。

従来通りのやり方でも数字の管理はできますが、クラウド型のサービスを使うと収益レポートが月別ですぐに確認できますし、どこにどんな経費がかかっているかをすぐに経営者がチェックすることも可能です。

経営側としては、いち早く数字を掴んで管理できれば意思決定を早められますし、経理部門もただ数字を管理するだけでなく、出てきた数字を分析しレポートにまとめて提出することで、経営に貢献できる部署へと変容できます。経理業務にDXを導入する企業は特に多いので、各サービスでのサポートも充実してきました。しかも、かなり安価で使えるのです。

ほかに人事や労務などもサポートが充実したサービスが多く出ているので、DXを始めるなら、まずは管理部門の業務から行いましょう。

 

悩み2「DXを進められる人材がいない」

これも、よく聞く悩みです。中小企業であれば、社内にIT人材がいたとしても数人でしょうし、業種によっては一人もいなかったとしても何らおかしくありません。社内で人材を育てたり採用したりできればいいですが、それもコストがかかります。中小企業経営者は、DX専任の人材を採用するのがもったいないと感じることも多いでしょう。

そこで私が提案したいのが技術顧問です。社内で人材を育成・採用するのではなく、経営者自身がデジタルについて意見を聞ける人の登用をおすすめします。その人の対応できる範囲にもよりますが、月額10万円ほどから技術顧問を採用することも可能です。

技術顧問のメリットとしては、まずは先に紹介したような管理部門に導入するデジタル技術を選定するときに、どこを選ぶといいか聞けるようになることが挙げられます。知識に乏しい状態で自社にぴったりの技術や適正な予算を判断するのは難しいですが、そこで自社に利益をもたらすための意見を得ることは大いにプラスになるはずです。

それだけではありません。業界全体のデジタル化の動きについても、最新の情報を吸収することが可能です。また新規事業などを開発会社に発注する場合でも、その見積もりが適正なのか、計画通りに進んでいるかなどをチェックしてもらうことができます。

技術顧問に、社内に人材を育てるお手伝いをしてもらうことも可能です。いま「人材がいない」とお悩みの経営者には、技術顧問という選択肢をおすすめします。

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