この憂うつな気分の原因は? 五月病に効く「お釈迦さまの教え」
2022年05月24日 公開
お釈迦さまが発見した「感情から逃れる」方法
では、五月病に対しては、なす術がないのでしょうか。
あります。今から2600年前のインドに、感情(古い脳)の支配を逃れ、理性(新しい脳)を活性化させることによって、心を柔軟に成長させる方法を説いた人がいました。
お釈迦さまです。
もちろんお釈迦さまの時代には、脳のことなど解明されておらず、ましてや脳の三層構造などという研究成果はありませんでした。ところがお釈迦さまは、瞑想と呼ばれる徹底した自己観察によって、心の病の根本原因を発見したのです。
さらにお釈迦さまは、感情(大脳辺縁系)の支配から逃れて、心身を解放する(大脳新皮質の働きを活性する)方法を見いだし、弟子たちに教えたのでした。
誓願を持つと心がブレなくなる
その方法の1つが、「誓願(せいがん)」を持つことです。誓願とは、文字通り、「誓いと願い」のことです。修行者たちにとっての誓願、それは「覚者(ブッダ)」や「覚り」への憧れでした。
「そのような人になりたい」、「そのような覚りを得たい」という強烈な憧れが、家や家族、慣れ親しんだ環境や生活など、全てを捨てて(出家)まで、彼らを誓願に向かわせたのです。
そう、「誓願」とは、目的や目標のことです。「出家」の環境変化は、進学、就職などの生活環境変化とは、比べものにならないほどの変化です。それなのに修行僧は、五月病にはなりません。その理由は、「誓願」つまり、明確な目的や目標があるからです。
「こうなりたい」「こうありたい」など、目的や目標を持つことで、環境変化にともなって起こる、日々の感情に振り回されなくなるのです。
心身不調への処方箋
最後に、五月病への「処方箋のまとめ」を示しておきます。
1. 五月病の根本原因は、環境変化ではなく、環境変化によって引き起こされる、「感情」だと知ること。
2. 明確な誓願(目的・目標)を持つこと。誓願を持つと、いちいち感情に左右されなくなる。
ぜひ今一度、その新しい環境で、何を学びたいのか、どこを目指したいのか、どうなりたいのか、といった問いを自分自身に投げかけ、誓願を明確にしてみてください。大丈夫、きっとよくなります。
【大愚元勝(たいぐげんしょう)】
佛心宗 大叢山 福厳寺住職。株式会社慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。駒澤大学、曹洞宗大本山総持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。
HPにて「お悩み相談」を受け付けているほか、YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」で国内外から寄せられた相談にも対応する。著書『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語』(扶桑社)、『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え』(飛鳥新社)など。