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生き方

自信がない人ほど「行動力」がある...悪循環にハマりやすい人の特徴

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2022年06月28日 公開 2024年12月16日 更新

自信がない人ほど「行動力」がある...悪循環にハマりやすい人の特徴

「自信のない人ほど、自信を失えば失うほど、さらに自信を失うような行動をとりやすい」こう指摘するのは、「テレフォン人生相談」というラジオ番組を、半世紀以上続けてきた加藤諦三氏だ。

また、自信がない人の中には、「自分の心」を閉ざし、他人の期待に応えるための行動を取り続け、消耗している人も多いという。

では、どうすれば健全に「自信を回復」することができるのだろうか。加藤氏に、考え方のコツを聞いた。

※本稿は、加藤諦三著『安心感 自己不安を「くつろぎ」に変える心理学』(PHP文庫)を一部抜粋・編集したものです。

 

自信のない人ほど「自信を失う」行動をとる 

劣等感を持っている、いらいらしている、情緒が不安定だ、こういう人はどういうわけか、さらに自信を失うような行動をとるのである。それは具体的には、他人に自分を印象づけようとする行動である。

他人に対して、自分を印象づけることで、いよいよ、自分を殺し、他人の期待に沿った生き方をはじめるのである。

他人に自分を印象づけようとして、自分の弱点を隠し、そして、不自然に陽気にふるまったり、派手に行動したり、お金のある人はお金をばらまいたり、自慢話をしたりする。

このような行動をすることによって、実はその人はいよいよ自分に自信をなくすのである。いよいよあるがままの自分に自信を失い、あるがままの自分で他人に対することができなくなり、そして気が弱くなる。

気が弱い人は、他人を傷つけまい傷つけまいと恐れる。他人に嫌われるのがこわいため、他人の感情を害するのを極度に恐れるようになる。

そして、自分の気持ちにしたがって行動するよりも、他人の気持ちにしたがって行動するようになる。常に自分のやったことに弁解が出てくる。弁解をしないでは何事もできないようになるのである。

自信を失った人は、本当は自信を回復するように行動しなければならないのである。

しかし、自信を回復するどころか、さらに自信を失うような行動をどうしてもしてしまう。心に傷を持つ人は、さらに自分を傷つけるような行動をとってしまう。

安心感のない人は、さらに自分が安心感を失うような行動を選択してしまうのである。傷つきやすい人は、自分を傷つけるように行動してしまう。

 

「自分の心」のために行動すること

自信のないとき、自信を回復しなければならない。そのためには、まず自分にとって"誘惑的な行動"に打ち勝たねばならない。

自分自身にとって誘惑的な行動とは、他人に自分を印象づけようとする行動である。それよりも、自分の心のための行動を他人以上に多くしなければならないのである。

自信のある人は、他人の期待どおりの行動をするよりも、自分の信念にしたがって行動することが多い。だからこそ、さらに自信をつけてしまう。

それに対して、自信のない人は、他人の期待どおりに行動しがちである。そのような行動が、きわめて誘惑的なのである。

また、自信のない人は、自分とすれ違うすべての人に、自分の価値を証明しようとする。そのことによって、たえず緊張し、結果として、より自信を失うことになる。

自信を失った人は、さらに自信を失うように行動するということは、別の表現を使えば、過去のある失敗にとらわれて、それを回復しよう回復しようと生きることでさらに失敗することである。

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著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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