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「寝ても取れない疲れ」の原因は朝? 自律神経が整う“起きてすぐの3つの習慣”

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

2022年06月13日 公開

 

自律神経を整える3つの朝の習慣

朝の時間帯を追われるように過ごして、家をバタバタと慌ただしく出ていけば、1日が追われるように過ぎ去っていきます。毎日がその状態になれば、人生も追われるように過ごすことになるでしょう。

10年後の自分も追われるように日々を生きていたとしたら、今のあなたが追われるように朝を過ごしていることに原因があります。ここは、10年後のあなたのためにも、今、目標の一つに据えるべきことです。

その目標とは、これまでより1時間、遅くても30分は早く起きて、朝の時間をゆっくりと過ごすようにすることです。朝をゆっくり過ごせるようになると、自律神経の切り替えがスムーズになります。

では、自律神経のバランスを整えるには、朝、ゆっくり何をするとよいでしょうか。

1つめ。ベッドや布団からゆっくりと起き上がることです。

朝、目が開いても、身体はまだ半分眠っている状態です。飛び起きたりすれば、交感神経を叩き起こす形になってしまいます。そこでおすすめなのが、布団のうえで寝たままできるような簡単なストレッチをすることです。

私の場合は、寝たまま行うツイスト運動をゆっくりと1~2分間してから、起き上がるようにしています。こうすると呼吸が自然に整い、自律神経も「睡眠モード」から「起きるモード」へとゆるやかにシフトチェンジします。

2つめは、カーテンを開けてベランダに出ます。そして、朝日を浴びながら、外の景色を眺め、新鮮な空気を体中の細胞に届けるつもりで、ゆっくりと深呼吸を繰り返します。

こうすると、脳のなかで「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されます。セロトニンが出ることで、幸せを感じる力が高まり、「今日もよい1日にしよう」と意欲が湧く一方で、ストレスへの耐性が高まります。このホルモンには、自律神経のバランスを整える作用もあります。

しかも、朝にセロトニンがしっかり分泌されると、夜に快眠を得られるようになります。セロトニンは、「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの材料になるためです。

睡眠ホルモンは、セロトニンの分泌量が多く、幸福感を高く一日を過ごせた日ほど、多く出てきます。それによってよい睡眠を得られます。

反対に、うつ病の人は、ほとんどのケースで不眠がみられます。うつ病は、脳内のセロトニンの量が著しく低下した状態になり、不眠が引き起こされるからです。

なお、うつ病でなくても不眠に悩んでいる人は大勢います。日本人の5人に1人が不眠症とも推計されています。不眠症になると、満足な睡眠を得られないストレスを抱え、「どうすればよく眠れるのだろう」と悩みがちです。

しかし、夜に眠れないことに悩むことより、まず朝の過ごし方を変えることです。朝日を浴びながら深呼吸する習慣を持てば、睡眠ホルモンのメラトニンを夜間にしっかり分泌でき、睡眠の質を高められるのです。

私は朝にベランダに出るとき、水をグラス1杯持っていきます。そうして朝日を浴びながらゴクゴクといっきに飲み干します。朝に水をいっき飲みすると、腸に刺激を与えることができ、快適な排便をうながせます。

3つめは、音楽をかけながら、朝の仕度をします。

音楽は、朝の空間を特別なものにすることに役立ちます。音楽には好みがあると思いますが、おすすめは、洋楽です。日本の音楽でもよいのですが、歌詞が分かりすぎて、気分が引っ張られてしまうのは避けたいところです。

この点、洋楽ならば、バックミュージックとして朝の雰囲気をうまく切り替え、「特別な時間帯」という環境を演出してくれます。

 

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