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生き方

「必死に頑張った成果を売りにする人」が才能を活かして働けない理由

山根洋士(一般社団法人メンタルノイズ心理学協会チェアマン)

2022年06月27日 公開 2022年07月28日 更新

 

「自分にはこれしかない」という思い込みをやめる

もし、自分の才能がすぐにわからなかったら、やりたいことをかたっぱしから行うことをおすすめします。「打ち手」を増やしていって、そのうちの1つが当たればいい、という考え方です。

うまくいかない人の典型は、自分にはこれしかない、と思い込んで始めたものの、思い通りに稼げなくてやめてしまう、というパターンです。

世の中には、1回やってダメなことも、2回目、3回目で大当たりする、というケースはザラにあります。それが、自分にはこれしかない、と思い込んでいると、うまくいかなかったときのショックの大きさを想像するため、くり返しチャレンジすることができなくなってしまいます。

その点、打ち手が多くて、自分にはあれもこれもある状態なら、1つがうまくいかなくてもほかのことに挑んで、しばらくしたら「またもう1回トライしてみようか」という気持ちになれます。

再チャレンジのハードルを低くしておくことも、自分の才能で稼ぐための秘訣なのです。

 

「できちゃうこと」をやらない勇気を持つ

自分の才能でお金を稼ぐために、もう1つ大切なことがあります。それは、「できちゃうこと」をやらない、ということです。「好きじゃないけど、やればできちゃうこと」「楽しくはないけどできちゃうこと」を仕事にしているという人は多いと思います。

将来、本当にやりたいことを叶えるために、一時的にそれを仕事にしているのならいいのですが、なんとなく目先のお金を得るために「好きじゃないけどできちゃうこと」をずっと続けていると、「自分がやっていて本当に楽しいこと」をやる選択からどんどん遠ざかってしまいます。

器用な人ほど、できちゃうことを全部やってしまいがちですが、できちゃうことをやらないことで、必然的に本当にやりたいことに集中できるようになります。

また、今まで全部自分でできちゃっていたことを手放すと、不思議と手伝ってくれる人が現れるようになります。初めは他人に任せることに抵抗を感じるかもしれませんが、その抵抗感も自己肯定感の低さが原因です。

「いいものを作る自分には価値がある」けれど、「いいものを作れない自分には価値がない」という潜在意識の思い込みから起こっているのです。

しかし、「自分がやっていて本当に楽しいこと」であれば、他人からの評価は気になりませんし、誰に言われなくても続けることができます。苦労や努力を成功の条件にしない世の中には、ラクして成功している人がたくさんいます。

その一方で、あえて苦労するハードモードの人生を選ぶ人もたくさんいます。その一因は「成功は苦労を乗り越えた先にある」「努力は裏切らない、必ず報われる」という思い込みにあって、苦労や努力を成功の条件にしているためです。

いつの時代も、倒産しかけた会社を寝る間を惜しんで立て直した、大赤字のどん底から這い上がってV字回復した、というエピソードは支持されやすい価値観です。

世間受けしやすいことから、メディアでもよく紹介されます。だからといって、そういう話が多数派とは限りません。 かつて私が経済誌のライターだったころ、さまざまな会合に顔を出しては、どん底からV字回復した人を探していましたが、なかなか出会えませんでした。百人単位の会合に5回行って、1人か2人見つかるレベルです。

逆に、「なぜか知らないけれど、うまくいっちゃったんだよね」とか、「たまたま人に助けてもらって成功した」という、苦労や努力と無縁の人は、見つけようとしなくても出会えました。

世間受けしないことからメディアで紹介されないだけで、実際にはラクに成功するイージーモードの人生を生きる人もたくさんいるのです。

 

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