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マスク越しの呼吸も危うい 「熱中症になり易い3つの条件」

三宅康史(帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長)

2022年06月21日 公開

 

熱中症の予防は「HEAT」を意識しよう!

熱中症にならないために、日ごろから心がけたいポイントは「HEAT」。自分のため、家族のために正しい対策を知って、普段から予防を心がけましょう。

【H - Health Care 健康増進】

夏場だけでなく、年間を通して栄養バランスがとれた食事、適度な運動、充分な睡眠を心がけましょう。水はがぶ飲みせず、朝起きたとき、おやつのとき、トイレに行ったあと、入浴の前後など、飲むタイミングを決めてコップ半分くらいの量を少しずつ飲むのがおすすめ。たくさん汗をかいたときは、スポーツドリンクなどで塩分や電解質をとることも大切です。

【E - Environment 環境】

室内ではエアコンや扇風機を利用して涼しくしましょう。ときどき換気をしたり、空気を循環させたりすれば、冷えすぎを防げます。熱帯夜が続くときは、冷えすぎに注意しつつエアコンは24時間稼働させてください。
屋外では、日がさや冷却グッズなどを使う、日陰に入るなど、涼しい環境を確保しましょう。

子ども一人の外出では、自分で飲み物が買えるように小銭を持たせると安心です。一人暮らしの高齢者は、近所づきあいをしたり、行きつけのお店をもつなどして、地域に顔を覚えてもらうようにしましょう。

【A - Alart 熱中症警戒アラート】

このアラートは、2021年4月に始まった熱中症注意報です。「熱中症の危険性が極めて高い猛暑日になる」と予想される日の前日の夕方5時ごろ、または当日の朝5時ごろに、都道府県ごとに発表されます。

日ごろからアラートに注意を向け、 発表された日には、外出や屋外での労働、スポーツを控える、朝からエアコンを使用する、リスクの高い高齢者や子ども、持病のある人に注意を呼びかけるなど、普段以上に熱中症の予防行動をとりましょう。

【T - Treatment 持病の治療】

高血圧、糖尿病、心臓病、心筋梗塞の後遺症など持病がある人は、きちんと治療を続けることが重要です。たとえば塩分のとりすぎは高血圧の原因になりますが、摂取量が少なくても脱水の原因となります。

そのバランスを管理するためにも、基礎データとして血圧、心拍数、体重(体重減少は脱水傾向の指標となります)を毎日記録して、かかりつけ医からアドバイスをもらうといいでしょう。

 

コロナ禍における熱中症対策

外出自粛となれば炎天下での行動は避けられるものの、自宅で過ごすときは室温に注意する、短い散歩に出るなど、暑さに慣れる機会をつくることが大切です。

マスクで呼気による水分放出を防ぐことはできますが、温かい空気を吸うこと、呼吸筋を多く動かすことから熱がつくられて熱中症のリスクが高まります。人のいない空間では、適宜マスクをはずして体内を冷やすようにしましょう。

 

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