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なぜ欧米型雇用にシフトできない? 日本全体が「会社に依存する」現状

髙木一史(サイボウズ人事部)

2022年07月26日 公開 2022年08月09日 更新

 

もし会社だけが欧米の真似をしたら、日本になにが起こるのか?

もし社会が変わらないままに、日本企業が欧米企業と同じしくみを選んだら、大企業が一斉に舵を切ったら、いったいどんなことが起きるでしょうか。

家庭生活の保障が会社に依存している状態で年功賃金がなくなれば、1人のお父さんが妻や子どもを養っていくことはできなくなるため、家族をつくったり、子どもを育てたりすることができない人が増えていきます。

一斉に職務を限定した雇用に切り替えたとして、外部労働市場が十分に発達していない状態では、「職務がなくなったから」といって解雇されても、安全に転職できるかどうかわかりませ(

社会的に職業教育のシステムが充実していない状態で、すべての会社が即戦力だけを採用するから育成にコストはかけない、ということになれば、日本のほとんどの新卒学生、若者たちは就職することすらできなくなります。

実際、会社に入ってから育成してくれる日本社会は、世界的に見ても若者の失業率が低い国です。また、職務がなくなって解雇されても、新たに職業訓練を受ける機会がないために、再就職も困難な状況になってしまいます。

そして、そんなことが起こらないようにするためには、会社・政府・教育機関という、三者が力を合わせる必要があるわけですが、お互いに相手が動かなければ自分たちも大きく変えることはむずかしい、という状態にありま()

もちろん、すでにそれぞれが少しずつ変革への道のりを歩みはじめているとはいえ、抜本的な変革には乗り出せていない、というのが現状です。

 

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