人間は、平和を願うものです。人類は、お互いに協力することを学んだことでこれまで生き延びてきたのです。同時に、人間集団はつねに殺し合いを続けてきましたし、国々はいまもどこかで、戦争に備えています。戦争をしない、させないために、そして、いざというときのために軍備をしています。
ロシアのウクライナ侵攻のニュースが日々届けられるなか、日本に住む私たちにとってもウクライナ情勢はけっして対岸の火事ではありません。どうすれば、少しでも国々の関係を安定させ、平和を保つことができるのでしょうか?
※本稿は、船橋洋一監修/バウンド著『こども地政学 なぜ地政学が必要なのかがわかる本』(カンゼン)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
日本と仲がよい国ってどの国か知ってる?
クラスでも仲がいい人とそうでもない人がいるのではないでしょうか。クラス全員とみんな仲良しが理想ですが、それはなかなか難しいことはみんなもわかると思います。
地球をひとつの教室にたとえると、同じようなことが起こっています。「世界平和」や全世界で協力することが理想であることはわかっていますが、国同士が対立したり、場合よっては戦争が起こることもあります。
ところで、日本はどこの国・地域と仲がいいのでしょうか。まずはアメリカです。日米安全保障条約によって唯一の軍事的な同盟関係を結び、政治、経済面でも密接な関係です。日本周辺の国・地域では、韓国もアメリカと軍事的な同盟関係、台湾(中華民国)もアメリカと事実上の同盟関係にあり、日本は両国とも協力関係にあるといえます。
日本と仲が悪い国ってどの国だろう?
日本が仲が悪い国の代表格は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)です。隣国なのに国交がなく、自由に行き来することすらできない「近くて遠い国」です。2011年に金正恩が最高指導者になると、訓練という名目で頻繁にミサイルを日本に向けて発射するようになりました。かつては日本人を拉致(無理やり人を連れ去ること)する事件も起こしており、話し合いすらできない険悪な関係が続いています。
また、海を挟んだ隣国である中国、韓国、ロシアとは長い間、領土問題を抱えています。なかでもアメリカの同盟国同士である韓国とはとくに複雑な関係が続いています。2019年には韓国で日本製品の不買運動が起こりました。ただし、北朝鮮のように話し合いができない関係ではなく協力することもあります。