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「フェムテック」とは何か?いま女性の悩みが“社会課題”とされるワケ

及川夕子(医療ライター)、高橋幸子(産婦人科医)

2022年08月22日 公開

「フェムテック」とは何か?いま女性の悩みが“社会課題”とされるワケ

2021年の新語・流行語大賞にノミネートされた「フェムテック」をご存知でしょうか。フェムテックとは、女性が日常生活を送る上で我慢や苦痛を強いられていることに対して、テクノロジーの力で解決しようとする製品やサービスのことをいいます。

フェムテックは女性の間だけの話題ではありません。なぜなら、女性の悩みは社会の課題だからです。男性向け雑誌でも特集が組まれるなど、その注目度は日に日に高まっています。

このトレンドに乗り遅れたくない方に向けて、医療ライターの及川夕子著、産婦人科医・高橋幸子監修『365日機嫌のいいカラダでいたい。』より、フェムテックの基礎知識を紹介します。

※本稿は、及川夕子著、高橋幸子監修『365日機嫌のいいカラダでいたい。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

最近よく聞く「フェムテック」とは何か?

2021年の新語・流行語大賞にノミネートされた「フェムテック」。聞いたことはあるけれど、どんなものかはよくわからない、という人もたくさんいると思います。

フェムテックは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語で、女性が声を上げにくかった心やカラダのモヤモヤやタブーを解決してくれるさまざまな製品やサービスのことを指します。

女性特有の症状や女性ホルモンの分泌に関連した悩みを解決してくれる製品やサービスを、「フェムケア」といったりもします。この記事ではどちらも広い意味でフェムテックと呼ぶことにします。フェムテックは「女性特有の生きづらさを救う」と表現されることもあります。

生理痛の悩みや、不妊の悩み、性交痛の悩み、セックスレスの悩み、更年期のモヤモヤは、以前はなかなか口に出しにくいものでした。

でも、SNSの普及で、みんなが困っていることを口に出しやすくなって、「しんどいと声を上げることは、わがままじゃない」という空気感がどんどん広がってきています。

生理周期を管理するアプリは以前からありましたが、最近はペアリング機能といって、パートナーに生理の情報を共有することができる機能がついていたりします。

また、更年期症状のつらさをパートナーにどう伝えたらいいかをAIが判断して、メッセージを考えてくれるアプリも登場しています。コミュニケーションツールも、どんどん進化してきているんですね。

今は、女性の悩みをデータ化し、AIを使って一人ひとりに効果的なヘルスケアの解決策を導き出すといった技術も可能になっています。生理管理アプリのような以前からあるアプリも、今後ますます使いやすく高度に進化していくことでしょう。

流行だから使うというわけではありませんが、テクノロジーが進化して、私たち一人ひとりの悩みに寄り添う製品やサービスが生まれてきているのはうれしいことですよね。

もともと女性は自分で自分をケアすることがとても得意です。あなたが今抱えている課題を解決してくれるものは、ぜひ積極的に取り入れてほしいと思います。

 

なぜ今、フェムテックが盛り上がっているのか?

最近、いろいろなところでフェムテックという言葉を聞くようになりました。

フェムテック専門ストアの運営などを行う「フェルマータ」が2021年の秋に開催したイベントには、国内外から157社が出展し、3日間で約1500人が来場しました。東京・六本木にある同社の路面店には、吸水ショーツや月経カップなどを求めてさまざまな年代の女性たちがやってくるそうです。

なぜ、このような盛り上がりを見せているのでしょう。フェルマータの最高執行責任者、近藤佳奈さんは以下のように分析します。

「フェムテックとして紹介されているものには、もちろん最新のテクノロジーを活用したものもたくさんありますが、中には10年以上前から世の中に存在しているものも多数あります。

吸水ショーツは、尿もれ対策として以前から販売されていました。女性の悩みや課題を解決する製品やサービスがフェムテックという言葉で表現されたことによって、各国で広がり、メディアにも取り上げられるようになりました。新しい選択肢として認知され始めたのだと思います」

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フェムテックが目指すのは、誰もが生きやすい社会の実現

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