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仕事

“残業ばかりの悪循環”を根本から変える7つの原則

マーク・フォースター(著)、青木高夫(訳)

2022年09月08日 公開 2024年12月16日 更新

 

原則5 「クローズ・リスト」を使う

「クローズ・リスト」とは、聞いたことのない言葉かもしれません。簡単に言うと、「ここまで!」というラインが引かれた仕事のリストです。ラインの下には何も追加できません。

反対は「オープン・リスト」です。この典型的な例が「TO DOリスト」。やるべきことが増えれば、次々に仕事は追加されます。

ここで注目していただきたいのはオープン・リストよりクローズ・リストの方が仕事がしやすいということです。その理由は3つあります。

理由1   クローズ・リストの仕事は、追加される仕事によって妨げられない
理由2 クローズ・リストは大きくならない。仕事を続ければ、必ず小さくなる
理由3 「必要な仕事はすべてやる」という前提なら、優先順位は不要

クローズ・リストの典型は「チェック・リスト」です。

1つの仕事を分解して進めるのがチェック・リスト方式です。クルマの点検時に整備士が使う点検項目表がそのよい例です。チェック・リストは、どれだけ細かいリストにしたとしても、結局は仕事が早く片づきます。

 

原則6 突発の仕事を減らす

「今日やろう」と決めた仕事がその日に終わらないのはなぜでしょうか?

1番の原因は「邪魔が入ること」、つまり突発の仕事が予定に入り込むからです。突発の仕事をゼロにすることはできませんが、その影響を最小限に抑えることは可能です。

突発の仕事の発生源は、クライアント、上司、部下、同僚(そして、あなた自身)と無限にあります。そして、突発事象には、誰もが当たり前のように即座に対応します。これは"衝動の脳"が突発事象に反応するようになっているからです。

"理性の脳"を上手に使って、"衝動の脳"が突発の仕事に反応するのをコントロールし、計画への干渉を抑えることが、この原則を守る鍵になります。

 

原則7 コミットメントと興味を区別する

次の2つの文章を比較してください。違いは何でしょうか?

A 私は文章を書くのが好きだ
B 私は地方紙にコラムを書くのを職業にしている

Aは「興味の範囲」のことです。それで生計を立てているわけではありません。Bは、「コミットメント(「引き受ける」という宣言)」です。つまり、それに人生をつぎ込んでいるのです。

コミットしている(引き受けると宣言している)なら、Aのような表現は不自然です。次のような言い方には違和感があることからもそれがわかるでしょう。

「ベートーベンは音楽が好きだった」「芭蕉は俳句に興味を持っていた」「デビッド・ベッカムはサッカーマニアだ」

私のコーチングを受けにくる人の中には、自分は好奇心が旺盛で、好きなことがたくさんあるのだと言って、話ばかりしている人がいます。

興味の対象が広いこと自体には問題はありません。しかし、その好きなことに何らかの共通性がない場合、本人はあちらこちらを飛び回って、どれも中途半端な状態になっているものです。好きなことが趣味にとどまるなら、数が多くてもかまいませんが、仕事なら話は別です。

好きなことはたくさんあるけれど、何ひとつ本気で取り組む対象がないようなケースでは、コーチングの最初のステップは、クライアントが「これをやる」と周囲に宣言するもの、つまり「コミットする対象を見つけること」になります。

当然、コミットできる対象は数が限られます。つまり、ここでも制限が重要なのです。何かにコミットするならば、それ以外の対象はコミットしないものとして、排除しなければなりません。

いろいろなことに興味を持つことが悪いと言っているのではありません。むしろ私は、興味の対象が狭い人とはあまり友達になりたくありません。しかし、「興味」と「コミットメント」は区別しなければならないのです。

「これならコミットできる」と言えるかどうかは、大切な判断基準です。日常で意思決定を迫られることはたくさんありますが、コミットメントを基準に判断をすれば、場当たり的な決断はずいぶん減るはずです。

 

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