人と一緒にいすぎていませんか? ひとりの時間はすべての人に必要です。心理学博士の榎本博明さんが、他人との「つながり過剰」の問題点と、その解決策について語ります。
※本記事は、「PHPスペシャル」2019年12月号特集【「ひとり」の習慣が幸せを呼ぶ】より、一部を抜粋編集したものです。
つながりすぎると「自分」が見えなくなる
だれかと一緒にいると気が紛れます。とくに何の努力もせず、何も考えなくても、あっという間に時間が過ぎていきます。友だちとお茶する楽しさは、そうした気楽さにあるのでしょう。
ひとりになると気持ちが内向きになり、あれこれ考えてしまい、重たい気分になるから、できるだけひとりで過ごさないようにしているという人がいます。
でも、それでは自分の成長のための気づきを得ることができません。孤独の中で自分と向き合い、ときにさみしさに浸って重たい気分になりながらも、日頃の自分の生活をじっくり振り返ることが必要です。
友だちと語り合うことで得られる気づきというのもありますが、それを自分のものにして今後の生活に生かすには、ひとりの時間が必要です。
他人に時間を奪われていませんか?
ここで考えたいのは、人とつながる時間とひとりの時間のバランスです。
今はネットですぐに人とつながることができる時代です。
むしろスマホを通してつながる人間関係の世界に鬱陶しさを感じることもあるのではないでしょうか。人づきあいとは不思議なもので、癒やしにもなれば、ストレスにもなります。
つながり過剰のせいで、自分の大切な時間が奪われていることにも気づくべきでしょう。うわべだけの浅いつながりがいくらたくさんあっても、気づきをもたらすようなつきあいにはなりません。
今の自分の生活に足りないものは何なのか。たえず人とつながっていると、そういうことをじっくり考えることすらなくなっていきます。何かモヤモヤを感じながらも、つい考えるのが面倒になり、気晴らしに走る。そうした生活から抜け出すためにも、ひとりの時間を大切にしたいものです。