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生き方

いつまでもクヨクヨ...「悩みグセのある人」と「楽観的な人」の行動パターンの違い

和田秀樹(精神科医)

2024年01月05日 公開

 

内向きになると「イヤな感情」から抜け出せない

自分の感情を明るく保つ技術といっても、とくべつなことではありません。

イヤな感情は放っておけばいいのです。

放っておくためには、べつのものに関心を向けることです。そのとき、まずこころがけてほしいのは「自分の気持ちと向き合わない」ということです。そんなものと向き合ってもイヤな感情が居座るだけです。

感情を明るく保っている人は、いつも外を向いています。散歩に出れば街角の様子や季節の移り変わり、人と会えばその人とのおしゃべり、美味しいものを食べているときはひたすら美味しい料理だけを見つめたり楽しんだりできるのです。

でも、それができるということは、気持ちがいつも外向きになっているからですね。

外出する、人と会う、美味しいものを食べるといった行動は、気持ちが外向きだから可能になります。内側を向いてしまったら、外にも出かけず人とも会わず、美味しいものを食べたいと思うこともないからです。

すると、「イヤな感情探し」を無意識にやってしまいます。心配なことや不安なこと、思い出したくないことをわざわざ「探し」てしまうのです。あるいはなんでもないことでも悪い結果を予想したり、それまでは気にしていなかったことまで気にするようになってきます。

たとえば金曜日に答えの出なかった仕事があったとします。週明けの相手の都合次第、状況次第で返事はどっちに転ぶかわかりません。美味しいものを食べているときはひたすら美味しい料理だけを見つめたり楽しんだりできるのです。

 

基本は動くこと。まず行動から変えていく

そこでふだんの感情を明るく保つためにも、動くことをためらわない人間でいてください。

これは逆転の発想です。動けばイヤでも気持ちが外に向きます。犬も歩けば棒に当たるのですから、人間が外に出たり、後回しにしていた用事を片づけたり、本棚や衣装ケースの整理をしたりするだけでさまざまなものと出合います。

商店街を散歩しているだけで「そうだ、スリッパを買いたかったんだ」と思い出し、ホームセンターのような店に入れば「ついでにカーテンも替えたいな」と気がつきます。やることがどんどん増えてきて、気持ちが外向きになってくるのです。

すると、かりにイヤな感情が残っていてもそれを見つめる時間がなくなります。感情は放っておけば収まるのですから、動いているうちに気分がスッキリしてくるのです。

「でも落ち込んでいたり心配事のあるときは、そんな気になれない」あなたがまだそんなことをいうようでしたら、堂々巡りになります。状況はなにも変わりません。せめて明るい気分を取り戻すことぐらい、やろうと思えばいつでもできることなんだと気がついてほしいものです。

行動を変えるというのはかんたんに実行できることですから、試しに動いてみるだけでいいのです。

ふだんから明るい感情を保っている人は、根が陽気とか、楽観的な性格に見えますが、その性格に目を向けてもしょうがないです。「わたしとは違うから」で終わってしまいます。そうではなくて、そういう人たちの行動パターンに注目しましょう。

明るい感情を保っている人は、天気がいいのに、あるいはやることならいくらでもあるのに、むずかしい顔をして座り込んでいるような人たちではないはずです。

 

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