『現実を視よ』 本書は私の大和魂である
2012年10月05日 公開 2022年12月01日 更新
編集者からひと言
書籍第一部編集長 白石泰稔
「僥倖(ぎょうこう)」という言葉があります。「偶然に得る幸せ」という意味ですが、このたび、「ユニクロ」で知られるファーストリテイリングの柳井正社長兼会長の著書を出版する機会に恵まれたことは、私にとっては「僥倖」と呼ぶほかないものでした。
柳井会長はこれまで 『一勝九敗』 『成功は一日で捨て去れ』 『柳井正の希望を持とう』 などの著書で、自身の無数の体験から紡ぎ出されたリアルな経営哲学・仕事観を披瀝し、多くのビジネスパーソンを刺激、魅了してきました。また、「一兆円企業」に上り詰めんとする経営トップの日本経済に対する鋭いオピニオンは、ますます注目度が高まっています。
書籍編集者として、そんな柳井会長の著書を自分も出版したい――そう思っていた矢先、冒頭に述べた「僥倖」が訪れました。弊社発行のオピニオン月刊誌『Voice』 の編集部員が柳井会長をインタビューするために訪れた際、同行していた私の部下(副編集長)に対して、ファーストリテイリングの広報部長がインタビュー後に、こう持ちかけてきたのです。
「柳井が、現下の日本に対して、言わずにはいられないことがあるようです。PHPさん、本を出していただけませんか」
こちらとしては、願ってもない相談です。柳井会長からは、「たんなるビジネス書を書くつもりはない。国、企業、そして日本人全体に対して、私がいま覚えている危機感を伝えたい。
よって、本書の出版に際しては最高のスタッフをそろえてほしい」という高いハードルが提示されました。早速、私は弊社の国家経営研究担当の役員、Voice編集部の精鋭たち、外部の優秀な編集協力者などに参集してもらい、柳井会長のもとへ何度も足を運び、ご執筆のための議論を重ねました。
はたして数カ月後、柳井会長から、私どもはまさに玉のような原稿を頂戴しました。本書のプロローグ「成長しなければ、即死する」で柳井会長は、こう記しています。
「この本を書くことは、一経営者としては正しい判断ではないかもしれない。だが、書かずにはいられない。私はこの国に生まれ、この国を愛しているからである。(中略)一人でも多くの日本人に、その危機感が伝わってほしい。そして誇れる日本を取り戻すには何をすべきか、読者一人ひとりが考え抜いてほしい。本書は、私の大和魂である」
日本を愛するすべての方々、必読の書です。