相手の本音をうまく引き出す“省エネ質問術”
2011年07月19日 公開 2021年05月26日 更新
"そもそも力"で相手の核心に近づく
「そもそも、なぜこの会社に入ったのですか?」
「そもそも、この作品の発想はどこから生まれたんですか?」
このような「そもそも」で始まる問いは、その後の会話をどんどん広げてくれる、かなり使える質問です。
たとえば、ぼくがだれかから「おちさんは、そもそも、なぜプロデューサーという職業を選んだんですか?」と聞かれたとします。その後のQ&Aはどんなふうに展開していくか、予測してみましょう。
――おちさんは、そもそも、なぜプロデューサーという職業を選んだんですか?
おち「え~、最初のきっかけは、放送作家のオーディションに受かったことで......」
――では、そもそも、なぜ放送作家のオーディションを受けたのですか?
おち「映画をつくるのが夢だったので、まずはスクリーンの向こう側の仕事をしようと......」
――そもそも、なぜ映画に興味をもったんですか?
おち「十歳のとき、近所の映画館でスピルバーグ監督の 『ジョーズ』を見たのがきっかけなんですよ。それで......」
という具合。お気づきのようになんと「そもそも」だけで、どこまでも会話をつなげていけるのですね。「そもそも」はとても便利な言葉なのです。以前からぼくは、この"そもそも力"を活用しています。人に対してというより、自分で自分に問いかけるとき、この「そもそも」を使うのです。
「そもそも、オレってなんでこの仕事始めたんだっけ?」すると初心に返って、自分の夢や目標にあらためて気づく。「あ~、そうだった」と、ブレかけていた自分を立てなおし、もう一度、自分を初期化することができるのです。
つまり、「そもそも」は相手の初期設定を知るためのツールでもあるということ。「そもそも」を使ってどんどん深掘りすれば、相手の核の部分に近づいていけるのです。