気分が乗らない時は、とりあえず15分の単純作業
難問を解く前に、漢字や英単語の練習をしてウォーミングアップをするといい、とよくいいます。僕もそれをやっていました。スポーツ選手がよくやるルーチンに似ていると思います。
勉強を本格的に始める前の儀式のようなものを準備しておくと、気持ちが乗らないときもとりあえず勉強を始めることができます。
例えば、起きてすぐに難しい問題を解こうとしても、身体や脳が慣れていなくて、うまく解けない。けれど、単純な計算や英単語の書き写し、漢字の書き写しなどなら、スッと身体が動きはじめ、その後の勉強もはかどるのです。
僕は、簡単な単語チェックで、間違えた単語は10回ノートに書くというような単純作業を、気持ちが乗る前のルーチンにしていました。
自分のモチベーションは平気で自分を裏切ってくるので、毎日の勉強のモチベーションは仕組み化して保つのがポイントだと思います。
自分のレベルを把握し、全体図をマッピングする
難関校の受験では、「難しい問題が解けないと受からない」と思い込み、最初から難問を解いてみたりしがちです。でも、もっと前の段階で分からないことがたくさんある状態で、難しい問題を解いても、自分の身になりません。
国立の医学部を受験する僕の場合は、まずはセンター試験で9割程度正解するのが目標でした。必要な受験範囲を不足なく身につけなくてはならないので、分からない部分をとばして難問に挑むのは、非効率です。
むしろ、分からない部分は思い切って初歩の段階までさかのぼって、簡単なところから始める方が効率的です。僕の場合、数学については、中学までさかのぼりました。
もちろん、当時受験生の間で話題となっていた、『和田式要領勉強術数学は暗記だ!──受かる青チャートの使い方』(ブックマン社)などの受験攻略本を読み、俗にいう「青チャート式勉強法」を真似しようとしましたが、すぐに自分にはまだレベルが高すぎて合わないと気が付きました。
いきなり始めず、まずはいろいろな情報にあたって全体図をマッピングし、確実にこなせるレベルから始めることが、アクションの前には大切です。
医学部受験のセンター試験は教科が多いので、勉強が大変です。だからこそ、効率よく勉強するために、自分の基礎体力のレベル設定を、教科ごとにきちんと把握したほうがいいでしょう。
そして、レベルに見合う参考書をそれぞれ選んで、どの参考書も9割以上理解できるようにしていくと、短い時間の中で確実にレベルアップしていけます。
参考書は、同じ教科で何冊もやらなくていいんじゃないかと思っています。まず1冊をしっかりと制覇する。すぐに次のレベルの参考書に行くのではなく、同じ参考書をもう1回見直し、前回できなかったところをカンペキに解答できるようになるほうが効率的です。
カッコつけて背伸びするのは非効率です。焦らず等身大以下から始めたほうが、結局は合格までの近道になるのです。