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生き方

結論を急かしてくる苦手な上司...“口グセ”で見抜く3つの気質と対策

山本千儀(日本コミュニケーション心理学協会マスター講師)

2023年01月20日 公開

 

あの人が使いがちな「口グセ」からタイプがわかる!

特にわかりやすいのが、話し方や言葉のクセです。

全体的に、理論型の人は説明が長くなりがちで、感覚型の人は言語化が苦手で感覚的な表現を好み、行動型の人は主語を忘れたり、また省いたり、人の話が長くなると聞かなかったりするクセがあります。

3タイプ別の代表的な「口グセ」を整理してみましょう。

〈理論型〉
「つまり〜、要するに〜」「深掘りすると」「分析が必要」「どうしてそう思った?」「具体的に説明すると...」「これはどういう意味があるかな?」「なるほど、もう少し考えてみると...」

〈感覚型〉
「何となくそう思った」「ピンときた」「上手く言えないけど...」「こんな感じ」「自分の勘では...」「何かわからないけど好き」「パーっといく感じ」「意味はないけど感覚かな」「その雰囲気が好き」

〈行動型〉
「結論は何?」「まず行動が先でしょ」「今考えてもムダ」「やってみないとわからない」「その時に考えればいい」「時間のムダ」「そんな先のことはまだわからない」「次に進もう」「さっき言ったのと同じだよね」

もっとも、これは言葉の使い方の傾向を示したもので、必ずしもいつもこういう口グセがあるとは限りません。例えば、行動型の人が職場の会議などで「早く結論を出して欲しい」「まわりくどい説明はいらないのになあ」などと思っていても、直接口に出すとは限りません。

直接口に出すとカドが立つので、口にしないまま済ませているケースも多いはずです。

ただ、本当に切羽詰まった時やプライベートでリラックスしている時などには、気質そのままの言葉が口に出やすくなります。そういった瞬間的に出る一言は、その人の生まれ持つ気質を示している可能性が高いといえます。上記の口グセを参考に、気になるあの人を観察してみてください。

 

気質タイプ別コミュニケーションの対応

では、相手の気質タイプを把握した上で、どのように対応していけば良いのでしょうか。

1つの方法として、心理学でよく知られている、相手と同じようなコミュニケーションを取ってみるというものがあります。これを気質の観点から見てみましょう。

例えば職場の同僚や友人、家族などとやり取りしているLINEの文章です。論理的な文章で説明することが多い理論型の人に対しては、少し具体的な内容を意識して返信するのがポイントです。相手と同じようなコミュニケーションを取る一例です。

感覚型の人は、「すごい」「うわー嬉しい」といった感覚的な表現を好みます。また、共感を求めるのも大きな特徴です。こういった人には「私もすごいと思った!」「わかるよー」などと、寄り添う言葉を送ると心地良く感じてもらえます。

行動型の人は返信が早く、文面も短いケースが多いので、比較的わかりやすいと思います。行動型の人には長文ではなく、なるべく間を開けずに端的な言葉でリズムよく返信していくとスムーズにいきます。

言葉はギフト。相手に必要な言葉を選んで贈っていますか? 相手を褒める時も、気質タイプごとに響く言葉は異なります。

理論型の人を褒める時は、論理性や知識の豊富さ、アイデアなどを褒めると非常に効果的です。

〈 例 〉
「説明が論理的で細かいところまでわかりやすいです!」
「何でも知っているんですね!」
「段取り上手ですね!」

感覚型の人に対しては、人柄や親切さ・気づかいを讃えたり、存在を褒めたりすると響きます。特に人前で感謝の気持ちを示すとさらにモチベーションが上がります。

〈 例 〉
「あなたのお陰です!」
「○○さんの存在は大きいので、ほんと助かります」
「あなたと一緒にいるといつも楽しいです」

行動型の人は、スピード感を褒めると効果的です。また、やや支配的なところがあるので、こちらから下手に出ると心地良くなってもらうことができます。

〈 例 〉
「早いですね!」
「すごい! 尊敬します」
「ムダが一切なく、仕事が早いです」

相手がもらって嬉しくなる言葉や情報を伝えることは、相手が欲しい必要なギフトを贈ることと同じです。皆さんが家族や友人に誕生日の贈り物を渡すとき、相手が喜びそうなもの、欲しがっていたものを探して渡そうと努力しているのと同じです。

逆に必要のない贈り物は、場合によっては違和感が生じます。「この人は私のことをよく見ていないな」と受け止められてしまいます。

特にお世辞がそうです。取ってつけたような褒め言葉は逆効果になることもあります。お世辞は人間関係の潤滑油といわれますが、塗りすぎるとベタベタして気持ち悪いですよね。何でもたくさん贈ればいいということでもないです。

人の心に届く言葉、コミュニケーションを上手にとるためには、相手のことを正しく知る必要があるのです。

 

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