特別なことをしなくても、いつの間にか周りに人が集まる「話しかけやすい人」がいます。そんな自然体で話しやすい人の共通点はどこにあるのでしょうか。作家の有川真由美が解説します。
※本稿は、有川真由美 著『なぜか話しかけたくなる人、ならない人』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「特別な人」でなくても、人は近寄ってくる
あなたは、こんなことを思うことはありませんか?
「なんで〇〇さんのまわりには人が集まるんだろう」
「なんであの人ばかりがみんなから声をかけられるんだろう」
「なんで私は人の輪のなかに入れないんだろう」……。
そして、その理由を「あの人は見た目がいいから」「あの人は優秀だから」「あの人はおしゃべりがうまくて目立つから」といったことで片付けていませんか?
容姿の美しさ、話のうまさ、仕事の能力といった"優秀さ"は、「話しかけやすさ」とは、ほとんど関係ありません。
人目を引いたり、一目置かれたりするような"特別感"が必要ということでもありません。
たしかに、「優れていれば(特別であれば)」人から注目されることもあるでしょう。でも、そんな人と仲良くなりたい、話したいと思うかは別問題です。
あなたにも経験がないでしょうか?
仕事でわからないことを聞きたいとき、ものすごく優秀な人よりも、やさしく教えてくれそうな人を選んで声をかけること。
初対面の会やパーティで一人になりたくないとき、人目を引く美人や、目立ったファッションの人よりも、親しみを感じる人を選んで、おしゃべりをすること。
むしろ、そんな人たちは自然に、普通にそこにいる人たちであり、緊張感がなく、リラックスして接することができる人です。
つまり、優秀でも、特別でなくてもいい。だれでも「話しかけたくなる人」になることは可能だということです。
「目が合う人」には話しかけやすい
「ふと目が合って、話しかけられた」という経験はだれにでもあるでしょう。
たとえば、朝、エレベーターで一緒になった人と目が合って会釈すると、「今日は早いですね」などと話しかけられた。会議や講義などで司会の人と目が合って、「〇〇さんはどう思いますか?」などと当てられた、というように。
「目が合うと、会話が始まりやすい」ということは、だれもがなんとなくわかっていて、話しかけてほしいときは、相手に熱い視線を送っていたり、逆に、話しかけないでほしいときには、視線を合わせないようにしたりするものです。
とくに背中を丸めて、うつむいて、スマホを見ている姿は、自分の世界に閉じこもっているように見えて、「話しかけたらマズい雰囲気だ」と思われるはずです。
「目は口ほどにものを言う」といいますが、目はその人の気持ちを代弁しています。
目が合うことは、「あなたに興味があります」という好意のサインともいえます。一瞬でも目が合った人は、まったく目が合わない人より、ずっと話しかけやすくなります。
相手から気軽に「話しかけてみよう」と思われるためには、普段からできるだけ顔をあげて過ごし、まわりの人に視線を向けてみましょう。
「そんなこと?」と思うかもしれませんが、意外にできている人は少ないのです。
昨今は、視線を合わせないように過ごしている人が多いのではないでしょうか。
しかし、避けていても、声をかけられるはずはなく、自分も暗い気持ちになるばかり。歩くときや座っているときに、背筋を伸ばして前を見るだけでも、明るく、オープンな印象になります。
人が視界に入ってきたとき、すれ違うときなど、顔を見て軽く会釈をしようとすると、目と目が合いやすくなります。初めての場所なら「どんな人がいる?」、いつもの場所なら「みんな、どんな調子〜?」なんて思いながら。
相手の目を見ることが苦手な人は、まずは相手の鼻や顎あたりや、顔全体を見ることで、相手からは「自分を見てくれている」と思われるはずです。