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生き方

がんばりすぎて潰れる人に多い、過度な「褒められたい欲求」

宇佐美百合子(作家・カウンセラー)

2023年05月23日 公開

 

「がんばりすぎ」から抜け出すための5つのこと

心も体も大切にしながら毎日を過ごすために、できることがあります。

1. 自分の価値を、数字で判定しない

年齢、年収、ボディサイズ、子供の数などは数字で表せますが、それを自分の価値と結び付けないことが大事です。自分の価値を数字で判定しようとすると、どうしても勝ち負けにとらわれてがんばりすぎてしまうから。

数字は単なる記号です。人の価値や幸せの基準になっているわけではありません。数にこだわって一喜一憂する自分から、ブレない心で凛と立つ自分に「自己イメージ」を変えましょう。もし、人と比べて心が折れそうになったら、自分にこう言い聞かせてください。

「私は、私以上でも以下でもない!」

自分が「唯一の存在」として生きることに、人生最高の価値があるのです。「私は人並みだろうか」とか、「このままでいいのだろうか」と悩む必要はまったくありません。「唯一の自分を楽しむために、何をどのようにがんばるか」に知恵を絞りましょう。

2. 自分の状態を把握し、途中経過を楽しむ

真剣にがんばっているつもりが、いつのまにか深刻になって力が入りすぎていませんか?

「真剣」と「深刻」は、似ているようでまるで違います。何かに本気で集中して、あっという間に時間が過ぎていくように感じるときは「真剣モード」。かたや、一生懸命やっているのにイライラしたり、終わったあとに満足感のカケラもなかったりしたときは「深刻モード」に陥っています。

知らないうちに深刻モードにはまっていることもあるので、自分の状態をまめにチェックするようにしましょう。

2つの違いは、意識がどこに向いているかです。「作業のプロセスに集中できている」か、それとも「結果を気にしてあせっている」か。

真剣モードに欠かせないのは、プロセスを楽しむ気持ちです。どうしても楽しめないときは、終わったら好きなことをする時間を設けるなど、心が弾む工夫をしてください。

3. 体からのSOSに気づき、受け入れる

「体が悲鳴をあげているのはわかっているけど、ここで手を止めるわけにもいかない」と思ってしまうことがないでしょうか。

体は道具ではありません。手を携えて人生の夢を叶える「ベストフレンド」です。ベストフレンドは先を見通せるので、「このまま続けたら壊れてしまう」と察知するとサインを送ってきます。「もう限界......休みたい」と体が小さな声を発したら、それがサイン。

もしもその声に耳を貸さないと、体はいよいよ思うように動かなくなって降参するしかなくなります。

降参すること自体は、考えを改めるまたとないチャンスなのです。そのときは頭を空っぽにしてよく眠りましょう。それから、体の声にもう一度耳を傾けてください。長い目で人生を見ているベストフレンドは、きっとこう問いかけているはず。

「今やっていることは、倒れてまでやり続ける価値のあることですか?」

4. 苦手なことは、得意な人にお願いする

まわりに頼らずなんでも一人で抱え込んで、なんでもできるスーパーマンを目指して、身も心もヘトヘトになっている人がいます。一人ひとりの顔が違うように、一人ひとりの能力は違います。だからこそ、自分の力を発揮できる「がんばりどころ」を間違えないことが大切なのです。

ほかの人より素早くできることや上手にできることはなんですか? それが「がんばりどころ」です。逆に苦手なことは、できるだけ得意な人にお願いする勇気を持ちましょう。

自分にちょっと自信のあることをするときは、心に余裕が生まれてイキイキするもの。そうして喜んでする分には、たとえがんばりすぎているように見えても、本人は満ち足りてやりがいを感じているので大丈夫です。

苦手なことを克服するのに人生の貴重な時間を費やすより、イキイキできる分野で活躍して、まわりに貢献しましょう。

5. 口ぐせを変えて、サボり上手になる

がんばりすぎる人はまじめだから、サボるのが下手です。「サボる」という表現に抵抗を感じたら、「サボることはよくない」という強い信念を持っている証拠です。サボるも休むも同じこと。そこに罪悪感はいりません。疲れ切った自分にしばらくサボることを許してあげましょう。

その間に、頭の中にある「がんばりすぎる口ぐせ」を「心身を労わる口ぐせ」に変えてみてください。

たとえば、「今日できることは明日に延ばすな」と言っているなら、「明日できることは明日でいい」に。「まだ足りない」ではなく、「ま、いっか」に。「体を休ませるのはやむを得ないこと」ではなく、「体よ、今までがんばってくれてありがとう」に。

心に沁みる言葉は、新たな信念に変わって行動に影響を与えます。それが口ぐせになったら、次はがんばりすぎているまわりの人にも伝えて、みんなを元気にしましょう。

【宇佐美百合子(うさみ・ゆりこ)】
CBCアナウンサーを経て、海外で起業。帰国後、心理カウンセラーとして活動を始める。また、執筆や講演を通して、幸せに生きるためのヒントを発信。『がんばりすぎてしまう、あなたへ』(サンクチュアリ出版)、『YA! あなたはあなたのままでいい 心が楽になる45の言葉』(PHP研究所)など著書多数。

 

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