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生き方

僧侶が諭す、相手を言い負かしたいだけの「不要な夫婦喧嘩」の終わらせ方

大愚元勝(住職・慈光グループ会長)

2023年06月09日 公開

 

「単純作業」で心と体を切り離す

深呼吸以外では、体を動かすことも効果的で、私は「掃除」をお勧めしています。

怒りの対象から離れても、ひとりで部屋にこもってじっとしていると、「でもちょっと待てよ、やっぱりどう考えても私は悪くない」などと、また燃料投下が始まってしまうんですよね。こうなるともう相手はいないので、完全にひとり相撲です。

そうならないために、例えば床や机の隅に溜まっている埃をひたすらきれいにする、服を整理整頓するなど、掃除や片づけに集中して、たんたんと体を動かしてみましょう。

すると、心と体が切り離されるので、余計なことを考えずに気持ちを落ち着かせることができます。実際に部屋もきれいになるので、一石二鳥です。

仕事中であれば、あまり考えずにできるようなルーティンワークに取り組むのがいいと思います。

また、水に触れることでも心を落ち着かせることができるので、流水を手で触る、あるいは温かいお風呂に浸かって、リフレッシュするのもいいでしょう。

怒るのは良くないことだと考え、「怒っちゃだめ」と自分に言い聞かせて我慢しようとする方もいらっしゃいますが、これはもう火が付いてしまっているのに、「燃えないで!」と念じているだけの状態なので、正直効果はありません。

怒りは本能によるものなので、なくすことができないのです。それよりも、予防策と初期消火を意識するほうが、自分にとっても相手にとっても良い結果をもたらします。

家族、パートナー、友人、同僚、上司や部下、憧れの芸能人――相手が誰であっても、自分の思いどおり、理想どおりにはなりません。

怒りの感情が生じたときは一歩引いて「自分の妄想が原因だな」「自分に都合の良い期待をしてしまっているな」と認識すること。そして相手と喧嘩になってしまった場合には、燃え広がるような燃料を投下せず、その場から離れて冷静になること。これが、怒りで心を消耗させない秘訣です。

 

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