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ダラダラ、無気力状態が変わる「1日30分のスマホ断ち」習慣

奥野宣之(著作家/ライター)

2023年07月13日 公開

ダラダラ、無気力状態が変わる「1日30分のスマホ断ち」習慣

「休み明けは、なんだかやる気が出ない」「仕事の文書や難しい本を読もうにも、集中できない」。そんな人は、日頃の生活習慣に原因があるかもしれない。とくに、手元のスマホを数分置きにタップしてしまう人は要注意。

スマホとの距離感を見直すことで、情報のインプットに対する意識が変わり、仕事の成果や生き方にまで関わってくる。本稿では出版社・新聞社勤務を経て、読書や情報整理などを主なテーマとして執筆や講演活動などを行う著者が、スマホ時代のインプット法について説く。

※本稿は、奥野宣之著『ちゃんと「読む」ための本』(PHP研究所)より抜粋・編集を加えたものです

 

端末を手放すのがいちばん

毎日、オフタイムのうち30分は「スマホに触らない時間」を持つようにしてください。

スポーツや読書はもちろん、風呂や食事でもいいので、完全にスマホと処断された時間を作る。

そういう時間も持てないのであれば、通勤時間のうち「15分だけスマホ以外のものに触れる」といったことでかまいません。機内モードにしてカバンの奥にしまい込んだり、家に帰ったら玄関で充電しておいたりと、無意識に触らないような工夫をすれば、これはそれほど難しくないでしょう。

スマホを入れておく「檻」を作るのもおすすめです。

私は端末を買ったときの箱にモバイルバッテリーを入れたものを「充電できるスマホ収容ボックス」として活用しています。仕事や読書に集中したいときなど、スマホを機内モードにしてこの箱に入れ、棚に置いておけば、スマホがいっさい気にならなくなる。単純ですが効果はバツグンです。

スマホをいじっていると無限に情報が入ってきますが、同時に「何を発信するか」にも意識が奪われがちになる。こういうのべつまくなしの受信と発信をストップさせるには、端末を手放すのがいちばんです。猛獣も檻に入れてしまえば、飛びかかられる心配はありません。

情報の流れが緩やかになると頭の中が整理されます。ちょうど机の上のごちゃごちゃを片付けると仕事が捗るような感じです。

いったんキレイにしても、使っているうちに机はまた散らかってくるわけですが、仕事終わりに5分でも整理整頓するようにすれば、致命的に汚くなるのは避けられる。「毎日30分のスマホ離れ」という提案は、頭を常にクリアにしておくための防衛策なのです。

また「スマホなし時間」はリフレッシュにもなります。

SNSやニュースのコメント欄などを気にしているのは、いってしまえば「常に他人の声が聞こえてくる状態」です。不特定多数の人がああだこうだ言うのを聞くのは刺激的で楽しい一方、雑音が多すぎて疲弊しがちでもある。人間にはもっと他人の声より自分の声に耳を傾ける時間が必要なのです。

朝の散歩では、私はたまにスマホを置いていくことにしています。そして起き抜けのボンヤリ頭のまま歩いていると、けっこう役に立つ発想が湧いてくるのです。「今やってる原稿の締めはこうしよう」とか「あのメールはこんなふうに返信すれば問題ないだろう」といった具合です。

いつのまにか忘れていた締切や約束をふと思い出して、ギリギリでミスを回避できたりすることもある。おそらく瞑想のように頭を空っぽにすることで、無意識下にあることが浮上してくるんだと思います。

近頃は「デジタルデトックス」という言葉もよく耳にします。ただ、一念発起して数日間スマホと距離を置いたとしても、ひと月も経てば元通りです。それより、常にデジタルツールとの「間合い」を意識し、それを維持し続ける方が現実的ではないでしょうか。

 

「プッシュ型情報」は要注意

情報を得るためにテレビを見るのはやめましょう。

見るなと言っているのではありません。経済ニュースでも歴史番組であろうと、テレビは基本的にすべて「娯楽」と考えるべきなのです。つまり、疲れたときの息抜きや回復手段として活用すべきものであって、メインに据えるべきではない、と。

情報の取り入れ方は「プル型」と「プッシュ型」の2タイプに分けるとわかりやすいでしょう。

「プル型情報」とは自分から動いて手に入れるもののことで、新聞や本などが代表。対する「プッシュ型情報」は、こちらが動かなくても向こうから来てくれるもので、テレビやSNSのタイムラインなどがあります。要するに能動的に情報を取りに行くか、受動的にキャッチするかの違いです。

活字を読むのはそれなりに労力を使うのに対し、プッシュ型情報はすごくラクです。テレビをつけっぱなしにしておくのに意志力は不要。だからどうしても現代人の生活はプッシュ型情報中心になりがちです。新聞を読みながら家事をすることはできませんが、テレビやラジオをかけながら皿洗いや掃除をするのはたやすい。それに時間を有効に使えるような気もする。

ところが、ここに大きな罠があります。プッシュ型情報というのは、ほとんど身につかないのです。

数日前に読んだ本の文章を思い返したり、その要旨を人に話したりすることはよくあるけれど、テレビニュースの場合、そんなシチュエーションはほぼありません。ラクに入るぶんすぐに抜けていく。つまり長期記憶に入らないのです。

NHKの歴史番組や海外ドキュメンタリーは私も大好きです。しかし、あの手の番組を見て、「知識がついた」というのは大きな勘違いです。ああいうのは、ある分野がとっつきやすくなるための「入門用ツール」であり、文献から知識を取り入れる前後に「補助資料」として活用すべきものなのです。

私は朝だけニュース番組を見ることにしています。ちょうど仕事を始める8時ごろ、BSで国際ニュースを流しているので、20分ほど新聞や雑誌をチェックしながら、気になる話題だけチラチラ見る。朝の番組は昼や夕方の報道番組よりコンパクトにまとまっているので助かります。

専門家によれば、頭がいちばんよく働くのは起床2時間後だそうです(『脳が冴える15の習慣』/築山節)。つまり6時起きの場合、8時くらいに「ゴールデンタイム」を迎えることになります。

この時間帯に動画を見たりゲームするのはかなりもったいない。5分だけ読みかけの本を開いてみるとか、1本だけ経済の解説記事を読んでみるとか、ちょっと負荷高めのコンテンツに立ち向かってみるのがいいでしょう。

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夜はラジオを聞いて穏やかに過ごす

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