若手時代の苦労話がない...お笑いコンビ・ロザンが「失敗知らず」な理由
2023年10月16日 公開
50代・60代では失敗したい
――本書のなかで、自分たちはジェットコースターではなくメリーゴーランドのような芸人人生を送ってきた「公務員芸人」と表現されています。お二人とは反対の破天荒な芸風に憧れることはなかったですか。
【菅】なかったですね。
【宇治原】苦労エピソードがなくて困ったことはありますけどね。トーク番組でよく「若手時代の苦労話」「貧乏エピソード」の話題になったりするので、そのときは「そんな経験ないねんけどなぁ」って思ったり。
【菅】二人とも大した苦労話がないから、お互いにトークを譲りあったり(笑)。「俺はあれやけど、宇治原さんはあるやんな?」って。
【宇治原】でも僕の場合は、菅さんが考えた戦略に演者として乗っかるだけで楽でしたね。逆に、「なんで苦労していないか」という話に持っていく展開もあったかな。
――そんな安定した芸人生活を送ってきたお二人ですが、こんな50代・60代になりたいという理想像はありますか。
【菅】こんなん言うのもまたおこがましいですけど、「失敗」したいですね。
【宇治原】またまた。
【菅】トーク番組でも、二人で話せば何かしら着地はするから、大きな「失敗」ってほとんどないですよ。
【宇治原】菅さんの「失敗」したい願望は、じつは最近ひしひしと感じるんですよ。
――たとえばどんなときですか。
【宇治原】新しい宣材写真を変なのにしようとか。僕からしたら、「ここは普通でええやろ」と。遊びの範囲のものが多いんですけどね。菅さんって継続できる半面、矛盾するようですが飽き性な面があって、いまの落ち着いた環境に飽きてきてるんかなとは思いますね。
【菅】たしかにそれはあるかもしれないなぁ。
【宇治原】僕は家のローンも残っているので、いまの感じで死ぬまで続けてほしいんですけど(笑)。
【菅】最近、自分が何を考えていて、どう行動するのかに興味が出てきた気がするんです。成功って言えるほどうまくいってないですけど、何か失敗できへんかなぁ。
【宇治原】いや、僕は一緒に失敗するのは御免やで。