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生き方

「私にだけ態度が悪い...?」些細なことで不安になる人の思考のクセ

舟木彩乃(公認心理師)

2023年12月15日 公開 2024年12月16日 更新

 

自分がもっている思考のクセを修正する

まず、「自分はどんな価値観や考えをもちやすいのか」について考えてみましょう。とりわけ、ネガティブな価値観や考え、もののとらえ方を知っておくといいです。

「苦手なこと」「落ち込みやすいこと」「イライラしやすいこと」「イヤだなと思うこと」「嫌いなこと」などです。

・自分は、どんな人を苦手と思っているのか?
・自分が落ち込むのはどんなときか?
・自分が、イライラしてしまうのはどのような場面か?

こうしたことについて、具体的にどんなときにそう感じるのか、自分で考えてみましょう。すると、自分の価値観や考え方の傾向、シンプルにいうと"思考のクセ"がわかります。そして、そのネガティブな思考のクセがわかったら、修正してみましょう。

ただし、ここでの「修正」とは、無理にポジティブな思考にすることではありません。「別の現実的なとらえ方や考え方を模索すること」です。

例えば、次のような問いに答える形で修正します。

「自分は、どんな人を苦手と思っているのか?」
答えの例:声が大きい人が苦手(苦手と思うこと)

「なぜ?」
答えの例:声が大きい人は無神経な人が多い(ネガティブな思考のクセ)

「別の価値観や考え、もののとらえ方はないか?」
答えの例:声が大きいのは、皆にハッキリ聞こえるように話しているだけかもしれない(思考の修正)    

このように、「声が大きい」のは、「無神経」という要因だけでなく、「ハッキリ聞こえるように話している」という要因もあるのではないか、と現実的で、ありそうな要因で考え直してみます。自分がもっているネガティブな思考のクセを修正していくと、声が大きい人への苦手意識を減らしていくことができます。

さらには、ネガティブな思考のクセを普段から考えて自分で知っておくと、似たような場面で「これは私の思考のクセかもしれない。もっと違う考え方、とらえ方をしてみよう」と気づいて、不必要にネガティブな反応をすることが減ります。

ネガティブな思考がクセになっている人は、最初は、思考の修正作業に難しさを感じるかもしれません。しかし、なるべく意識して「現実的なとらえ方をしてみよう」「いい面も見つけてみよう」とコツコツと地道に努力をしてみてください。

こうした新しい思考ができるようになると、環境に変化が起きたときに、「悪い面」ばかりにフォーカスせず現実的な思考ができるようになり、具体的な解決策も見つけやすくなります。そして、対応できることを探して、できることからやっていけるようになります。

 

著者紹介

舟木彩乃(ふなき・あやの)

ストレスマネジメント専門家

公認心理師・精神保健福祉士。博士(ヒューマン・ケア科学/筑波大学大学院博士課程修了)。博士論文の研究テーマは「国会議員秘書のストレスに関する研究」。メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー)副社長。文理シナジー学会監事。企業広報ネットワーク理事。AIカウンセリング「ストレスマネジメント支援システム」発明(特許取得済み)。カウンセラーとして約1万人の相談に対応し、中央官庁や地方自治体のメンタルヘルス対策に携わる。Yahoo!ニュースエキスパートオーサーとして「職場の心理学」をテーマにした記事、コメントを発信中。著書に『なんとかなると思えるレッスン』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『発達障害グレーゾーンの部下たち』(SBクリエイティブ新書)、『あなたの職場を憂鬱にする人たち』(集英社インターナショナル新書)等がある。
https://x.com/funakiayano
@funakiayano

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