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生き方

「私にだけ態度が悪い...?」些細なことで不安になる人の思考のクセ

舟木彩乃(公認心理師)

2023年12月15日 公開 2023年12月25日 更新

 

自分がもっている思考のクセを修正する

まず、「自分はどんな価値観や考えをもちやすいのか」について考えてみましょう。とりわけ、ネガティブな価値観や考え、もののとらえ方を知っておくといいです。

「苦手なこと」「落ち込みやすいこと」「イライラしやすいこと」「イヤだなと思うこと」「嫌いなこと」などです。

・自分は、どんな人を苦手と思っているのか?
・自分が落ち込むのはどんなときか?
・自分が、イライラしてしまうのはどのような場面か?

こうしたことについて、具体的にどんなときにそう感じるのか、自分で考えてみましょう。すると、自分の価値観や考え方の傾向、シンプルにいうと"思考のクセ"がわかります。そして、そのネガティブな思考のクセがわかったら、修正してみましょう。

ただし、ここでの「修正」とは、無理にポジティブな思考にすることではありません。「別の現実的なとらえ方や考え方を模索すること」です。

例えば、次のような問いに答える形で修正します。

「自分は、どんな人を苦手と思っているのか?」
答えの例:声が大きい人が苦手(苦手と思うこと)

「なぜ?」
答えの例:声が大きい人は無神経な人が多い(ネガティブな思考のクセ)

「別の価値観や考え、もののとらえ方はないか?」
答えの例:声が大きいのは、皆にハッキリ聞こえるように話しているだけかもしれない(思考の修正)    

このように、「声が大きい」のは、「無神経」という要因だけでなく、「ハッキリ聞こえるように話している」という要因もあるのではないか、と現実的で、ありそうな要因で考え直してみます。自分がもっているネガティブな思考のクセを修正していくと、声が大きい人への苦手意識を減らしていくことができます。

さらには、ネガティブな思考のクセを普段から考えて自分で知っておくと、似たような場面で「これは私の思考のクセかもしれない。もっと違う考え方、とらえ方をしてみよう」と気づいて、不必要にネガティブな反応をすることが減ります。

ネガティブな思考がクセになっている人は、最初は、思考の修正作業に難しさを感じるかもしれません。しかし、なるべく意識して「現実的なとらえ方をしてみよう」「いい面も見つけてみよう」とコツコツと地道に努力をしてみてください。

こうした新しい思考ができるようになると、環境に変化が起きたときに、「悪い面」ばかりにフォーカスせず現実的な思考ができるようになり、具体的な解決策も見つけやすくなります。そして、対応できることを探して、できることからやっていけるようになります。

 

著者紹介

舟木彩乃(ふなき・あやの)

ストレスマネジメント専門家、公認心理師、株式会社メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー)副社長

一般企業の人事部で働きながらカウンセラーに転身、その後、病院(精神科・心療内科)などの勤務と並行して筑波大学大学院に入学し、2020年に博士課程を修了。博士論文の研究テーマは「国会議員秘書のストレスに関する研究」。
これまで一般企業や中央官庁、自治体などのメンタルヘルス対策や研修に携わり、カウンセラーとしての相談人数は、のべ約1万人以上。ストレスフルな職業とされる議員秘書のストレスに関する研究で知った「首尾一貫感覚(別名:ストレス対処力)」に有用性を感じ、カウンセリングにとり入れている。
Yahoo!ニュース エキスパート オーサ-として「職場の心理学」をテーマにした記事、コメントを発信中。著書に『「首尾一貫感覚」で心を強くする』(小学館)、近著に『過酷な環境でもなお「強い心」を保てた人たちに学ぶ「首尾一貫感覚」で逆境に強い自分をつくる方法 』(河出書房新社)がある。

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