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心理カウンセラーが教える「運が悪いとき」の脳の特徴

大嶋信頼(心理カウンセラー)

2024年05月01日 公開 2024年12月16日 更新

心理カウンセラーが教える「運が悪いとき」の脳の特徴

運がいい人と悪い人には、どんな違いがあるのでしょうか。じつはそのカギを握っているのが、「ストレス」と「脳」です。幸せを引き寄せるために、今日からすぐにできる習慣をご紹介します。(取材・文:洪愛舜)

※本稿は、『PHPスペシャル』2024年5月号より内容を抜粋・編集したものです。

 

「運が悪いとき」は、認知機能が落ちている

運のよし悪しには、理解や判断、記憶などに関係する脳の機能である「認知機能」が大きく影響しています。「運がいいとき」は、認知機能が正常に働いている状態であり、「運が悪いとき」は、認知機能が落ちている状態なのです。

認知機能が正常に働いているときには、人は適切なタイミングに、適切な行動を取ることができます。物事がうまくいき、運が悪いと感じることはありません。

しかし、認知機能が落ちると、「やってはいけないこと」を「やってはいけないタイミング」でやりがちになります。これが続くと、すべてのことが裏目に出てしまい、悪いことばかり引き寄せて、運がどんどん低下していくのです。

 

脳が炎症を起こす原因は「自分へのダメ出し」

だとすると、どうして認知機能の低下は起きるのでしょうか? それはストレスによって、脳が炎症を起こしているからです。なかでも、自分を責めることによって生じるストレスの影響は絶大。自分を責めると自己免疫が暴走し、脳の炎症が悪化してしまうのです。

つまり、運をよくするためには、ストレスを溜めず、脳の炎症を抑えなければなりません。そこで重要になってくるのが、朝と夜の時間の過ごし方。なぜなら、朝は脳がリセットされた状態で、夜は脳を睡眠で休ませる直前なので、どちらも脳に影響を与えやすいタイミングだからです。

とくに、朝目覚めてすぐは、脳が一番クリアになっています。しかし、私たちは起きた瞬間から「昨日はあれができなかった」「今日はこれをやらないといけない」と、脳にストレスを与えることを考えてしまいがちです。そうしたことを避け、脳の炎症を防ぐための方法を知り、運を上げていきましょう。

 

運がよくなる朝の習慣

ここでは、私がおすすめする「朝の習慣」を5つご紹介します。「なぜこれをやるのか」は考えず、できるだけ無意識に行ないましょう。思考を働かせすぎると、脳に負担をかけるネガティブなことを考えがちになるからです。この習慣を取り入れることで、心晴れやかに一日を過ごすことができ、ストレスが低下して、脳の炎症を抑えることにつながります。

 

【朝の習慣1】スケジュールの早送り

タイマーを2分にセットして、「今日、自分がすること」を早送りしながら順番にイメージしていきます。タイマーが鳴ったら「終わり!」と切って、そのあとはスケジュールのことを考えないようにしてください。すると、自分を中心とした一日のイメージが湧いてきて、「自分が主役」という感覚を持つことができます。

生活するなかで、知らぬ間に周りの人の目を気にしたり、相手に気を遣いすぎてストレスを感じたりすることがあるかもしれません。でも、これを習慣にすると、自分が人生の主役なのだと思えて、周囲に振り回されない充実した一日を過ごせるようになります。

 

【朝の習慣2】脳内筋トレ

寝転がったまま目を閉じて、腕立て伏せ、腹筋、スクワットをイメージの中でそれぞれ100回ずつやってみましょう。筋肉の動きや姿勢など、細部まで意識しながらやることが大切です。この「脳内筋トレ」により、セルフイメージがポジティブに磨かれて、自己評価が高くなっていきます。

誰かに言われた言葉によって、マイナスなセルフイメージを持ってしまうことは誰にでもあります。その誤ったイメージ通りに自分を演じてしまうこともあるでしょう。脳内筋トレによって、刷り込まれたセルフイメージから脱却し、新しい自分を発見できるはずです。

 

【朝の習慣3】かかとマッサージ

靴下を履く前に、かかとを3分間マッサージしましょう。両足でも、片足だけでもかまいません。これを毎日繰り返しているうちに、だんだんと「自分は魅力的な人間だ!」と思えるようになってくるでしょう。姿勢が自然と伸び、堂々として見られるようになったり、顔つきに自信が表れたりするようになります。

なぜこのような変化が起きるのかというと、周囲の人があまり注目しないような体の細かいパーツをケアすることで、自分を大切にする意識を持てるようになるからです。大切に扱われた心と体は、よりよく変化していきます。自分に対して後ろ向きな感情を持っている人には、とくにおすすめです。

 

【朝の習慣4】右手と左手を合わせる

まずはベッドか布団の上であぐらをかいて座り、手のひらを上に向けて両ひざの上に置きます。次に、右の手のひらに「現実の自分の姿」のイメージをのせ、左の手のひらには「理想的な自分の姿」のイメージをのせてください。最後に、ゆっくりと両方の手のひらを近づけ、胸の前で合わせます。

この習慣を続けていると、両手を合わせたときに「本来の自分の姿」が浮かんでくるようになるでしょう。自分を責めてしまうのは、他者からかけられた「自分を縛る暗示」が影響しているからかもしれません。現実の自分と理想の自分をはっきりイメージできたら、その暗示から解放されます。だんだんと現実の自分が理想の自分へと近づいていくのです。

 

【朝の習慣5】体にエールを送る

タイマーを2分にセットしてから、その日に一番活躍してほしい体の部位をタッチし、「今日はよろしくお願いします」と、その部位にエールを送りましょう。たとえば、考えることが多い日になりそうなら頭に、たくさん歩く日になりそうなら両脚に手を置きます。

私たちは、自分の体に文句を言いがちです。しかし、「なんで集中できないの」「なんですぐ疲れるの」とダメ出しをしていると、脳の炎症を引き起こす原因になります。朝に自分の体を励ますことで、体が最高のパフォーマンスをしてくれるようになり、脳の炎症も治まるでしょう。

 

寝る前に唱えたい「暗示フレーズ」

【暗示フレーズ1】花びら1枚1枚の価値

\こんなときに/
・嫌な気分を引きずっている
・過去の嫌な出来事を唐突に思い出した

過去の嫌な出来事が忘れられずに、記憶として残り続けると、脳の炎症につながります。嫌な記憶は、花びらのようなものだと考えてください。花びらは地面に落ちると土の養分になり、再び美しい花を咲かせます。過去に起きた嫌な出来事も、人生の養分となり、自分の力になっていくのです。このフレーズを唱えて眠りにつくことで、「経験したこと」がきれいに整理されるでしょう。

 

【暗示フレーズ2】夢中学習

\こんなときに/
・なぜかいつも疲れている
・寝ることや休むことに罪悪感がある

やり残した仕事や今日できなかったことへの後悔がある日は、このフレーズを唱えてみてください。じつは、人間は休むためだけではなく、学ぶためにも眠っているのです。睡眠中は、無意識のうちに記憶が整理されます。そのため、朝起きると悩みが消えていることもあるでしょう。

このフレーズを唱えると、睡眠を取ることに罪悪感がなくなり、眠ることに集中できます。睡眠中に脳が無駄なエネルギーを消費するのを防ぎ、炎症を抑えることができるのです。このフレーズは、寝る前だけでなく、昼間ボーッとする時間帯に唱えても効果があります。

 

【暗示フレーズ3】意味のない悩みは存在しない

\こんなときに/
・無駄だとわかっているのに悩んでしまう
・ちょっとしたことでクヨクヨと悩む

このフレーズを唱えながら、次のようなイメージをしてみましょう。「悩んでいるとき、心の中は灰色の雲に覆われ、雨が降っている。雨は乾いた大地を潤していく。気持ちが上向きになると、太陽の光が差し込んで、川や海の水が蒸発し、白い雲になる。白い雲もやがて雨雲に変わって、雨が地面に降り注ぎ、地上の水はまた雨になって地を潤す。

こうして悩んだぶんだけ、心は豊かになっていく」。このように、悩みによってどんどん豊かになる心を想像すると、穏やかな眠りにつくことができるでしょう。

参考:『毎日がうまくいく 朝のスイッチ』(あさ出版)、『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(ダイヤモンド社)

 

それでも自分にダメ出ししてしまう人へ

ここまで見てきた通り、運を磨くカギは、自分にダメ出しをしないことにあります。しかし、すぐにダメ出しをやめるのが難しい人もいるでしょう。そこで、「自分」と「免疫」を一旦わけて考えてみてください。

自分へのダメ出しをしているとき、体では自己免疫の暴走が起きています。免疫とは、本来自分を守るためのもの。「自分を守らなきゃ」という無意識の働きなのです。つまり、自分にダメ出しをしているのは「自分」ではなく、「免疫」だということです。このように考えることで、「自分にダメ出しをする自分」を責めることから解放されるのではないでしょうか。

そのうえで、習慣づけてほしいことがあります。それは、不快だと感じることをやめてみることです。自分を不快にさせることは、ストレスの元になります。これによって脳の炎症が激しくなり、さらなる認知機能の低下につながって、運を悪化させます。

とはいえ仕事や人間関係など、人生に関わる大きなことをいきなりやめるのは難しいですよね。まずは、身の周りにある「小さな不快」からやめてみましょう。

たとえば、「コーヒーを飲む」「SNSを見る」「愚痴を言う」など、みんながやっているから自分も何となくやっていることの中に、じつは不快なことが隠れているかもしれません。それをやめてみることが、運をよくするための一歩になるでしょう。

 

著者紹介

大嶋信頼(おおしま・のぶより)

心理カウンセラー

株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。カウンセリング歴30年、臨床経験はのべ9万件以上。『それでも大丈夫 不安を力に変える方法』(青山ライフ出版)など著書多数。

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