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会話が苦手な人でも出来る「相手から信頼される」話し方

下間都代子(声・話し方の総合プロデューサー)

2024年07月03日 公開

会話が苦手な人でも出来る「相手から信頼される」話し方

「人と仲良くなりたいけど、会話が苦手...」 「初対面の人と話すのが緊張する...」
そんな悩みを抱えている人におすすめなのが、「失敗談」を話すコミュニケーション術です。本記事では、ユーモアとネガティブをメリハリをつけて使って、信頼関係を築く方法について詳しく紹介します。

※本稿は、下間都代子著『「この人なら!」と秒で信頼される声と話し方」(日本実業出版社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

信頼される人の共通点

信頼される人とはどんな人だろうか。次のように、「考え方」と「行動」の2つに大きく分けられる。

〈考え方〉

常に公平・平常心・客観性がある・裏表がない・粘り強い・柔軟性がある・感情が豊か・正直・素直・説得力がある・本音主義・意見が的確・バランス感覚がある・頭の回転が早い・ユーモアがある・愛がある・明るい・共感力がある・好かれようと思っていない・器が大きい・安心感がある・信じられる・任せられる

〈行動〉

常に公平・平常心・丁寧・気配り上手・責任感がある・約束を守る・頼れる・隙がある・判断力がある・決断が早い・裏表がない・バランス感覚がある・愛がある・真摯・継続力がある・誰かのために動ける・信じられる・意見をはっきり言う・行動力がある・言語化がうまい・応援力がある

「考え方」「行動」で共通することもあり、挙げたらキリがないほどその要素は多岐にわたる。この記事を書いているのだから、私自身もこれに当てはまっていないと書く資格がないわけだが、そのあたりは大らかに見てもらい、ツッコムのはご勘弁いただきたい。

本稿は「話し方」をとおして信頼されることを目的にしているので、このたくさんある「信頼される人の共通点」の中から、特に「話し方」を変えるだけで信頼感が高まるポイントを紹介し、どのようにすれば良いのかを解説する。

① ユーモアを交える
② 感情を揺さぶる
③ 本音を言う

これら3つは「話し方」次第で残念な結果にもなるし、関係性を深めていくこともできる。特に上司と部下や、先生と生徒の間などで有効だと言える。

 

「ユーモア」も「ネガティブ」もメリハリが大事

「笑う」「笑わせる」というコミュニケーションほど、人と人の距離を縮めるものはない。とはいえ、あなたはこう思うかもしれない。

「私は面白いことが言えない...」
「笑わせるってどうやるの?」

ここで一番簡単な方法が「失敗談」を話すことだ。特に初対面の相手はヨロイを身につけているため、相手が「敵」か「味方」か、推測している。相手との間には大きな壁があるということだ。

そこで、自ら「ヨロイを脱ぐ」ことで、相手が安心する。そのためには「失敗談」や「弱み」を晒すのが手っとり早い。さらに「失敗談」は笑えない深刻なものではなく、当の本人も「ネタ」として扱える程度の軽いものが良い。

実は私は「全国うっかり協会」なるものを運営している。「運営」とはいうものの、勝手にハッシュタグをつけて「うっかりネタ」をSNSで発信しているだけなのだが、これが結構ウケが良い。

例えばある朝のこと。化粧水を手のひらに直接振って、顔にパッティングしたら、それは化粧水ではなく、除光液だった、とか。あるときは、街を歩いていて、なんとなく視界がぼやけるので、目眩かと思ったら、ハードコンタクトレンズを片目に2枚重ねて入れていた、とか。

自分だけが困る話で、他人が聞いたら「本当に?」「嘘でしょ!」と笑ってくれるような内容であると、次のような反応がもらえる。

「しっかりしてそうなのに意外ですね」

そう。ここでわかるのは、ギャップがあればあるほど失敗談が面白く笑いに繋がるということだ。「ユーモアはメリハリが大事」の「メリハリ」とは【ギャップ】のこと。【ギャップ】があると魅力的な武器になる。この失敗談をとおして生まれる「笑い」は、「最速」で「ヨロイを脱ぎたくなる」きっかけとなる。もう一度順番を整理してみる。

①笑える失敗談を披露する
②笑いが生まれる
③場が和む
④エネルギーが繋がる
⑤安心してヨロイを脱ぐ
⑥信頼できる

このようにちょっとした失敗談で、人と人が"秒"で「信頼」という絆で結ばれるのだから面白い。安心・信頼してくれる関係が「失敗談」から生まれるのなら、こんな幸せなことはない。どんどん失敗していこうではないか! とさえ思える。このように失敗談が周りを笑いで包み、自分の信頼まで上がることから、私はこの良い循環のあり方を「うっかりがもたらす幸福論」と言っている。

 

ネガティブがもたらす共感論

もう一つ「ユーモア」と共通点があるのが「ネガティブ」。笑える失敗談で安心感が生まれるのと同じように、ネガティブな自分を晒すことで相手はやはり安心する。

ほとんどの人が自分自身になんらかのネガティブな要素を持っている。笑える失敗談ではなく、落ち込んでしまうほどの失敗談や、トラウマになっているほどの経験などだ。

このような経験を「汚点」と捉え、誰にも言えないままの人は、相手に自分の過去の汚点を見せまいとして、武装態勢をとる。この状態では、信頼関係は築けない。相手も同じように自分で自分を受け入れられない過去を持っているならなおさらだ。

しかし、もしここで、どちらかが先に「実は…」と自分の過去のトラウマを打ち明けたとしたらどうだろうか。「自分だけがネガティブな人」だと思っていたのに、相手も自分と同じような過去を持っていたと知ったら、こんなふうに反応する。

「意外ですね」

笑える失敗談を披露したときと同じ展開の始まりである。ネガティブはチョコの味。同じ経験をした人同士は、共感を覚え、優しい気持ちになる。ネガティブな自分を恥ずかしがらず正直に言ったことで、「あなたもそうでしたか」と安心できる空気感が生まれる。

例えば、

・緊張
・照れ
・羞恥心
・怒り
・恐れ

どんなネガティブな感情でも構わない。自分のありのままの感情を表すことが大切だ。「そんな話を聞かせてもらえるなんて思わなかった」こう相手が思ってくれたら、心が動きだし、扉を開く準備が整った状態と言える。

そして、相手の心を動かすためには、自分の自己開示も感情を伴っている必要がある。感情が伴う自己開示=本音であり、そこにギャップがあればあるほど、その人の魅力になり、信頼感に繋がる。

 

著者紹介

下間都代子(しもつま・とよこ)

声・話し方の総合プロデューサー,アナウンサー

元FM802 アナウンサー。現在フリーのアナウンサー、ナレーターとしてテレビの報道情報番組やCMほか声の仕事で多方面に活動。また話し方、コミュニケーション、発声の講座や個人コンサルの講師としても活躍中。阪急電鉄の車内放送、京阪電車の駅構内放送などで関西では特に著名。指導歴としては声優・ナレーター養成所やタレントプロダクション、NHK文化センターなどで、ボイストレーニングや話し方、ナレーションの講師を歴任。30年以上3000名を超える指導経験を持つ。また、より朗読の神髄を極めるためナレーター槇大輔氏のもとで10年に渡り学び、朗読や朗読劇などの舞台に出演。

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