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プロ投資家が「買う時に必ず考えること」とは? 知っておくべき損切の大切さ

角田和将(国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト)

2024年07月22日 公開 2024年12月16日 更新

プロ投資家が「買う時に必ず考えること」とは? 知っておくべき損切の大切さ

誰もが「お金は大事なもの」だと思っているのに、実際にお金の勉強をきちんとしている人は意外と少ないもの。お金の心配をせず「本当にやりたいことをやれる」人生を手に入れるには、お金に強くなる必要があります。そのための第一歩は、「投資によって収入を増やしている人だけが持っている考え方」を取り入れ、実践することで、「投資家思考」を鍛えることです。

※本稿は角田和将著『お金が増やせるのはどっち? 投資家思考の鍛え方』(総合法令出版)より、一部を抜粋編集したものです。

※本稿は2024年7月時点の情報に基づき、投資に対する考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。

 

次の手を打つタイミングを逃すから失敗する

株やFXは、買うこともできれば売ることもできます。

株でいうと、買った株の価格(株価)が下がってきて、「今売っても買った金額分戻ってこない(=損失)」状態になったとき、早めに売って被害を最小限に抑えることを「損切り」といいます。
投資で大損をする傾向にある人全員に共通するのが、損切りの決断を先延ばしにしていることです。買った銘柄がどんどん損失側に広がっていく状況を切り上げる(確定させる)ことができないまま、すべての資金を失ってしまうのです。

途中で損失を出している状況を認めて次のアクションに移れたらいいのですが、大負けする人は、何の根拠もなく状況が良くなると信じて、次の手を打とうとしません。投資で結果が出ない人は、十中八九間違いなくこのパターンに当てはまっています。

では、利益が出ることもあれば、損失になることもある中で、どうやって利益を増やしていけばいいのでしょうか。

損失も利益も、時間が経過すればするほど膨らみます。そのため損失に向かったときにはなるべく早く損失を確定させ、利益に向かったときはなるべく大きく利益を膨らませて利益を確定すればいいのです。

 

投資に100%の勝ちはないと心得る

野菜を育てたことがある人ならわかると思いますが、野菜の種をまくとき、たいていひとつの穴に3粒ほどまきます。そして芽が出てきたら、一番成長している芽を残して残りの芽を摘みます。これを「間引き」といいます。

投資もまったく同じです。すべての種(買った銘柄)が100%力強く芽を吹き出すわけではありません。100%勝ち続けることなどあり得ないのです。ですから安値だと思ったものはたくさん買って種をまき、力強く育たなかった芽は間引く必要があります。これが先ほど紹介した「損切り」という行為です。

「損切り」と聞くと、損という言葉からマイナスイメージを持つ人が多く、中には「なかなか損切りできない」という人もいます。しかし実際は、利益を大きく伸ばすための方法のひとつ。まさに損を切り捨てる行為です。

また、損切りに対してマイナスイメージを抱いている人に限って、先にお話ししたような大負けするパターンにはまってしまいがちです。損切りに抵抗があり行動できないうちに、そのままどんどん損失が膨らんでしまって大負けするという流れです。

 

理想は「小さい損失と小さい利益、たまに大きく利益が伸びる」

損切りは、事前に設定することができます(投資ではこれを「逆指値」といいます)。実際に安値で買う際に、どのくらい損失が出たら売るかを、あらかじめ設定しておくのです。買うときに損切りを同時に行うことができるので、最低ラインの価格を決めて、必ず設定しておきましょう。

同時に、逆指値まで損失がふくらむ前の段階でも、「もう明らかに損がふくらんで無理そう」となったときは、より早い段階で切り上げても構いません。損失は、早めに確定させたほうが小さく済む可能性が高いからです。

ただ判断が早すぎて損切りばかりやってしまうこともあり得るので、最初のうちは実際の資金を使わずに取引を体験できる「デモ取引」で、間引きの練習を必ずやることをおすすめします。

相場は永遠になくなりませんし、自分が資金さえきちんと確保していれば、いつでも取引はできます。「価格が大きく動くから」と、無理して取引する必要はありません。

小さい損失と小さい利益が交錯しながら、たまに大きく利益が伸びて資金が増えていく。そのような状況こそ、兼業投資家が無理なくお金を稼げるスタイルだと私は考えています。

 

買う時は「売ること」を想定する

「何となく欲しいから」と、感情でものを買うのではなく、価値をきちんと見極めようとすることで、価値以上の見返りを得ることができます。「自分ではなく周りの人は買うだろうか」という視点を持ってものを見ることは、衝動買い防止にもつながります。結果的に支出を減らすことにもつながっていきます。

お金の使い方で注意することは、買う段階で「売ること」を想定して買うということです。生鮮食品のように転売が難しいものは別ですが、洋服や時計のように転売できるものについては、最初から売ることを考えて購入するのです。たった1秒でいいので、意識してみてください。

残念ながら、買う段階から「売ること」を考えられる人はほとんどいません。買った時点で満足してしまうからです。
ではなぜこのように難しいことをあえてすすめるのかというと、「売ること」を意識しながら買う習慣をつけることで、自然とお金を大切に扱うようになるからです。

「今、目の前にあるものは、本当に自分が払おうとしているお金の価値に見合っているのか?」という視点が加わり、感情だけで行動しなくなるわけです。

 

大切なのは価値を見極めること

商品の価値が上がり、いざ売ろうとしたときに、買ったとき以上のお金が返ってくることがあります。投資でやっていることはまさにこれです。なるべく安いときに投資商品を買って、買ったとき以上の値段に上がったら売る。取引の仕組みとしてはまったく同じなのです。

もちろんすべての買い物がそうなるとは限りません。
しかし、ただ「安いから」とか「欲しいから」という考えだけでものを買わず、価値をきちんと見極めようとすることで、価値以上の見返りが得られます。この視点が加わると、ムダ遣いが減り、結果的には支出を減らすことにつながります。

投資商品を買う際も、売ることを想定していれば「日経平均が大台突破したから!」といった情報煽動で、高すぎる値段の株を買いたくなる衝動も抑えられるでしょう。
「まだ上がる」と思い続けて売り時を見極められず、結局株価が下がって"幻の含み益"で終わるのを防ぐことにもつながります。

著者紹介

角田和将(つのだかずまさ)

速読コーチ/ビジネス書著者/国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe®)

大学卒業後、システム開発会社でシステムエンジニアとして12年間勤務。FXで資産構築した後、独立。独立後、国内最大規模のオンライン投資スクールで認定講師として活動。1000名以上の受講生に対して、会社員時代の経験を活かした独自理論に基づく教育を行い、月収数十万円~数百万円の利益を上げるトレーダーを多数輩出してきた指導実績を持つ。
現在は、投資の資金を確保するための初歩的な貯金関連の取材から、専門的なプログラミングによるトレード手法の開発、投資戦略フェアEXPOをはじめとした投資イベントでの講演まで、多岐にわたった活動をしており、主婦層から会社員、専業トレーダーと、幅広い層から高い評価を得ている。

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