シングルマザーとして子育てに全力を注いできたタレント・スザンヌさん。子どもの成長とともに芽生えた「自分の人生」への思いは、コロナ禍をきっかけに大きく動き出します。息子の一言で始まった高校への再入学、1年半での卒業、そして日本経済大学経営学部への進学。20歳下の同級生たちと机を並べた4年間で、スザンヌさんは何を学び、何を得たのでしょうか。卒業論文のテーマ「地域創生と旅館再生」につながる学び直しの日々を聞きました。(取材・文/吉澤恵理、写真/スザンヌさんInstagramより)
「ママも一緒に勉強すればいいじゃん」息子の一言が、高校再入学のきっかけに
子育てに全力を注いできたスザンヌさんが、再び学ぶことを決意したきっかけは、コロナ禍でした。
当時、息子さんは小学1年生。コロナ禍の自宅待機が続き、自宅で勉強をする時間が増えていました。
「『お母さんがお子さんに勉強を教えてください』みたいな感じになったんです。
でも、私は勉強をちゃんとしてきていなかったので、どうやって教えたらいいんだろうって戸惑いました」
そんな時、息子さんから思いがけない一言があったといいます。
「『ママも一緒に勉強すればいいじゃん』って言われたんです。あ、そっかって思って、それが、高校への再入学につながりました」
17歳で通った高校に再入学。1年半で卒業し、大学進学を決断
再入学したのは、自身が17歳の頃に通っていた高校でした。
「ちょうどコロナ禍で、週に1回行かなきゃいけない授業も、リモートで受けられるタイミングだったんです。それなら私もできるかなって思いました。
当時取っていた単位を半分くらい残してくれていたので、足りない単位を取っていく形で、1年半で卒業できたんです」
家族のサポートもあり、無事に高校卒業。多くの人は「ここで一区切り」と考えるかもしれません。
ですが、スザンヌさんは、さらに大学進学という大きな挑戦を決断します。
「高校で頑張って勉強したおかげで、推薦をいただけたんです。
大学に行くかは、本当にすごく悩みました。でも、せっかく勉強できるチャンスが来てるし、このタイミングを逃したくないなって思ったんです」
コロナ禍を機に多くの大学でリモート授業が導入されたことも幸いしました。
「全部対面だったら難しかったと思うんです。でも、リモートで取れる授業もあったので、それなら挑戦したいって思いました」
日本経済大学 経営学部に見事合格。嬉しさの反面、大学生活が始まった当初は、不安もありました。
「年齢もみんな20歳くらい違うし、芸能活動もしていたので、浮いちゃうかなとか、どう思われるかなって不安はありました」
スザンヌが大学生活で気づいた“学び直し”の意味
ですが、実際に通い始めると、周囲の学生たちは一人の学生として接してくれたそうです。
「最初は『あ、スザンヌさんだ!』みたいなのはありましたけど、だんだん普通に『おはようー』って感じになって。学食も普通に行っていましたし、みんな自然に接してくれました」
そんな大学生活について話していると、話題はかつてのおバカキャラへ。
『クイズ!ヘキサゴンII』時代は、おバカタレントブームの中心的存在として活躍していました。当時を知る世代からすると、「あれは演出もあったのでは?」と思う人も少なくありません。
するとスザンヌさんは、笑いながらこう答えました。
「みなさんに『あれは演出ですよね?』って言われるんですけど、あれは本当に普通にわからなかったんです(笑)。ナチュラルおバカでした」
そう笑いながらも、続けてこんな本音も明かします。
「でも、やっぱり私は勉強してこなかったんだなっていうのは、高校、大学に行ってすごく思いました」
だからこそ、学び直しへの思いは強かったといいます。
AIビジネス、フリースクール…20歳下の同級生たちから受けた刺激
ゼミも、大学生活の大きな学びのひとつでした。
「特に印象に残っているのが、起業ゼミで、起業したい人向けに、会社の作り方とか、どうやって始めるかとか、本当に一から教えてくれるゼミだったんです。
同級生たちの存在も刺激になりました。AIビジネスをやりたい子とか、カメラマンのフリースクールを作りたい子とか、本当にみんなしっかりした夢を持っていて」
新鮮な驚きの連続だったといいます。
「普段、仕事以外で20歳くらい下の子たちと接することってほとんどないじゃないですか。でも、本当にしっかりしているんです。
Z世代とか、ゆとり世代とか言われることもあるけど、自分たちがそう言われていることもちゃんと知っていて、それを逆手に取って新しいビジネスをしたいって考えている子もいて。刺激をたくさんもらいました」
一方で、大学生活は想像以上に厳しいものでした。
「高校では、ここからここまで勉強してくださいって決まっていますが、大学は、自分で学びたいことを選んで、自分で授業を組んでいくので、全部自分次第なんですよね」
また、同級生と同じ感覚で時間割を組んでしまったことで、かなり苦労したといいます。
「みんなは3〜4年生で就活するから、1〜2年生で授業をたくさん入れていたんですよね。
私も同じように授業をとってしまって…もう少し余裕をもったスケジュールにもできたのかもと後になって思いました」
「なんで大学行くって言っちゃったんだろう」息子と同じ年に卒業式を迎えて
仕事のスケジュール、子どもの体調不良、レポート提出――すべてが重なった時期もあり、弱音を吐いたことも。
「子どもが熱を出して、仕事も忙しくて、レポートも締切で。なんで大学行くって言っちゃったんだろうって本気で思いました(笑)」
それでも、やり抜いて4年間で卒業、卒論も書きました。
「卒業論文では、自身が実際に取り組んでいた『地域創生と旅館再生』についてまとめました。
卒論では、今やっている旅館再生ビジネスについて書かせてもらいました。起業して1年目、2年目でどう変化したかとか、地域との関わりとか、自分が実際に経験していることを書けたので、すごく意味のある卒論になりました」
息子さんの小学校卒業と大学卒業が同じ年に重なったことも、スザンヌさんにとって忘れられない出来事だったといいます。
「息子に『卒業おめでとう、頑張ったね』って伝えていたら、『ママも卒業したんでしょう、おめでとう』って言ってくれて」
その言葉に、これまでの努力が報われたような気持ちになったそうです。
「ちゃんと見てくれていたんだなって思って、すごく嬉しかったですね。
子どもの成長を支えるために始めた学び直しでしたが、まさか自分が、子どもと同じタイミングで卒業式を迎えるなんて思っていなかったので、不思議な気持ちでした。でも、本当に挑戦して良かったなって思います」
後編では、起業と旅館再生への挑戦に続きます。








