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話がうまい人の条件とは? プロが教える「相手を飽きさせない」会話のスキル

矢野香(国立大学法人長崎大学准教授)

2024年08月29日 公開 2024年12月16日 更新

話がうまい人の条件とは? プロが教える「相手を飽きさせない」会話のスキル

思わず相手が話に引き込まれるトップリーダーの話。もちろんこれは偶然のことではなく、すべて話す前から計画され準備された結果です。

うまい話し方には変化があります。

変化のある話し方を「ジェットコースター型」と私は呼んでいます。ジェットコースターのわかりやすい変化といえば、速度ですよね。

着席後、シートベルトを締めるとコースターがガタンガタンとゆっくりと動きだす。どんどんとスピードが上がり、その位置する高さや走る速さが変化する。「きゃー」と叫んでいるうちに、徐々にゆっくりと速度が落ち始め「そろそろ終わりか」とほっとする。そして最後は、ゆっくりと最初の低い位置に戻って終わり。

もし変化がないとしたらそれはコースターではなく、高さが変わらず平坦な場所をゆっくりと何周か回るような、幼児用のアトラクションになってしまいます。ジェットコースターをイメージして話せば、メリハリがついた伝え方ができます。

※本記事は矢野香著『世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること』(PHP研究所)の内容を一部抜粋・再編集したものです。

 

スキルとしてマスターできる「緩急のある話し方」

速さ、声、表情、目線、ジャスチャー。これらを変化させることで相手を飽きさせず、どんどん自分の世界に引き込んでいくのです。その一部をご紹介しましょう。

 

・声を変える

音楽の楽譜で使われるクレッシェンド「<」記号。

だんだん強く演奏したり、歌ったりするようにという指示です。話すときにも同じように声に強弱をつけます。そうすると伝えたい部分を強調することができます。

例えば、「ポイントは変化です」の「変化」の部分だけ声を大きくします。前項の話す速さもあわせて取り入れて、大きくゆっくりと発音するのもよいでしょう。

声の大きさを変えるときのコツは、高さも変えること。なぜなら、自分では大きくしたつもりが実際にはあまり変わっていないという方も多いからです。

また、急にあえて音量を下げて話し出すというのもよく使われる手法です。大きな声では言えないお得な話という演出をすることができ、話の価値をあげることにつながります。相手も思わず聞き耳を立てます。

一対一の場でもこの方法で営業提案を成功させるベテランの営業担当もいらっしゃいます。これもまた、声の大きさを変えることで印象づけるための戦略です。

 

・目線を変える

ずっと相手を見ながら話すのは一般人。ときに相手から目線を外して話すのがトップリーダーです。

しっかりとアイコンタクトを取りながら話さなければならない。これもよくある勘違いです。

「原稿を見ながら話してもいいですか?」

よくあるこの質問への答えは、トップリーダーに限って言えば「原稿を見たほうが良いときもあります」となります。見たり見なかったりと目線にも変化をつけるのです。

原稿を見たほうが良いときとは、例えばパブリックな要素が高い場です。式典で祝辞などのときに使う「奉書紙」と呼ばれる短冊上の原稿は、見たほうが良い代表例です。奉書紙を使うような公の場であるにもかかわらず、まったく原稿を見ずずっと前を見ていたらどうでしょう。内容に間違いがないかと不安になります。ありがたみも伝わりません。

一番悪いのは手元の原稿と聞き手とを交互に、せわしなく目線を動かすことです。相手を見て伝えなければと思うからこそでしょう。しかし、残念ながら聞き手から見ると落ち着かない滑稽な動作にしか映りません。

原稿は、全部覚えてから話すものだと思っている方が多いようです。それは勘違いです。

確かに、ずっと原稿から目を離すことができず相手のほうをまったく見ないのは論外でしょう。頼りない印象を与えてしまいます。しかし、まったく何も見ずに話し続けるというのも、聞き手に対して間違ったメッセージを届ける危険性があります。

「まったく原稿を見ずにずっと話していて、すごいですね」

これはクライアントが実際に話し終わった後に言われた言葉です。そう誉められたと喜んで報告してくださいました。

待ってください。あなたが話す目的は誉められることだったのでしょうか?

相手の印象に残ったことが「この人は話し方がうまい人だ」となってしまった証が、先に言われた感想です。本来の目的はメインメッセージを相手の印象に残すことだったはずです。

となれば、ずっと前を向いたまま話すのは失敗です。目線にも、見たり見なかったりという変化が必要なのです。基本は相手を見て話します。そしてメインメッセージなど強調したい部分の前後では、あえて視線を外します。

できるけど、あえてやらない。

この感覚こそ「セルフ・パペット」を操るセルフプレゼンテーションです。できることをやってみせたくなるのは、見せたい自分でしかないのです。あなたもぜひ数字や固有名詞が出てきたら、あえてスライドを見ながら伝えてみてください。信頼性が高まることでしょう。

 

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