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生き方

頑張りすぎな人が「周りを頼るのはダメ」と思い込んでしまう一つの原因

根本裕幸(心理カウンセラー)

2024年10月24日 公開

頑張りすぎな人が「周りを頼るのはダメ」と思い込んでしまう一つの原因

自分に厳しく、他人を頼ることができないのは、自身の優しい性格が裏目にでてしまっている場合があります。誰かのためにと頑張りすぎてしまうがゆえに、自分のことがおろそかになりいつの間にか心が疲れてしまうことも...。

心理カウンセラーの根元裕幸さんは、著書『そのままのあなたが、絶対かわいい。 できない自分も好きになる30の「ほめ言葉」』にて、自分自身のことももっと優しくしてほしいと話します。

本稿では同書より、自分の声を聞いて、誰かを頼れるようになるための考え方をご紹介します。

※本稿は、根本裕幸著『そのままのあなたが、絶対かわいい。 できない自分も好きになる30の「ほめ言葉」』(PHP研究所)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

自分のことを雑に扱っていないか?

私たちは自分にとても厳しいです。他人に対しては優しくできるのに、なぜか自分に対しては鬼軍曹になります。周りの人は大切にできるのに、自分のことはずいぶん雑に扱っちゃいます。

でも、自分が自分にしてることって目に見えないですし、音も聞こえないですよね?だから、そこまでひどいことを自分にしてしまっていることに、なかなか気づけないんです。「みんなも、こんなもんなんじゃない?」って。

例えば、何かと人と比較して落ち込む癖のある方がいます。「あの人はこれができるのがすごくて、この人はあんなことができるのが羨ましくなるほどで、なのに私は何もできなくて最低!」と。

また、自分の価値や魅力を絶対に受け取らないように頑張っちゃう人もいます。「周りの人は優しいって言ってくれるけど、そんなのどうせお世辞だし、頭の回転が速いって言われたって私より頭のい
い人なんてゴマンといるし、仕事ができるって言われたら社畜だからと思っちゃうし、きれいとかかわいいとか言われてもそんなことないし、と思ってる」本当はこんな風に、「長所→短所」の変換を即座にしちゃうくらい頭のよい方なんですけどね。

でも、そうやって自分を落としたって何も解決しなくて、逆に気分が落ち込んでイライラしたり、「私って本当にダメ」って自分を責めるばかりになって、どんどん自信を失ってしまいます。

だから、みんなにしてあげていることを、自分にもしてあげましょうよ!友人が悩んでいたら話を聞いてあげるでしょう?じゃあ、自分の悩みも聞いてあげましょうよ。あなたは、友人の話をどうやって聞きますか? 優しく受け止めて、うんうん、大変だったねって共感しながら聞いてあげるでしょう?

じゃあ、自分の話も同じように聞いてあげられていますか?話を遮って説教しちゃっているんじゃないですか?後輩には「無理しなくていいよ。今週大変だったから今日は早く上がって大丈夫よ」と言ってあげていませんか?それを、後輩だけじゃなく、自分にも言ってあげてほしいんですよ。

「私、今週は本当によく頑張ったー!えらい!だから今日くらいは早く上がっちゃってOK !」って。"自分を大切な友人のように、かわいい後輩のように扱う"これもまた、自己肯定感を上げて自分を受け入れる方法のひとつです。

 

他人を頼ることのできない人の優しさ

色々と抱え込みすぎていませんか?そもそも、自分が抱え込みすぎてるって気づいてますか?

荷物も人も満載して、よれよれしながら走っているインドや東南アジアのトラックの動画や写真を見たことはありませんか?これが、今のあなたの状態ですよ?

なんでそんなに荷物を満載してしまうのかと言うと、それはあなたがいつも誰かのために頑張っているから。自分の欲を満たしたいためでも、自分自身の利益のためでもなく、誰かのためだからなかなか気づけないんです。

私たちは自分のために頑張るよりも、他人のために頑張るほうが、より力を発揮しちゃう性質があるんです。もちろんそれはいいことではあるのですが、愛情深い人はやりすぎちゃうみたいなんですよね。

また、「人に頼むことが苦手」というか、そもそも「人に頼ってもいいの? え、全部自分でやるものだと思ってたから、そんな発想なかったです!」という方が本当に多いんです。だから、私の元には積載重量オーバーで何年も走り続けたせいで、エンジンがイカれてしまった方々がよく訪れてくれます。

ではこれから、リアル開催しているセミナーでときどき採り入れているワークをひとつ紹介しようと思います。ちょっとそのシーンを想像しながら読んでみてください。

あなたにはまず、他の参加者の方からバッグを借りて両手に持っていただきます。私はいつも仕事道具を詰め込んだ重たいリュックで出勤しているので、さらにこれを背中に背負っていただきましょう。
リアルなセミナーだと遠方からお越しの方もいらっしゃるの

で、その方々のスーツケースやボストンバッグもお借りして、追加で持っていただきます。そうするとあなたは、両手にも背中にも、首からも荷物を抱えている状態になりますね。想像するだけで重たいでしょう?

そこでさらに、こんな演出をつけるんですね。

「重たそうだけど大丈夫? 手伝おうか?」
「しんどそうだよ。何か私にできることはない?」
「本当に荷物が重くて大変そうだよ。私が持ってあげるよ」
といった感じの優しい声掛けを、会場のみなさんにしていただくんです。

そしてあなたには、その言葉のひとつひとつに「いえ、大丈夫です」「いえいえ、ぜんぜん平気です!」「心配しなくていいですよ」「お手伝いはいりません」などと答えていただきます。

日常でも似たようなお返事をされているかもしれません。あなたが大変そうなことに誰かが気づいてくれて、声を掛けてくれたんだけど、あなたは「大丈夫です」って拒否しちゃうようなこと。もしかしたら、心配してくれた人の声すらも届いていないのかもしれませんが......。

でも、そうやって「手伝おうか?」という声を拒否し続けるのも辛いですよね。そしてワークでは、物理的に荷物をたくさん持ってもらっているので、時間が経てば経つほど、体力的にもしんどくなっていきます。

そこでこう声に出して叫んでもらうんです。

「本当はすごく辛いです。ひとりでこれだけの荷物を持つことは本当にしんどいです。私はもう限界です。誰か助けてください」

そうすると、他の参加者の方々がニコニコしながら近づいてきて、荷物をひとつずつ持ってくれるんです。

少しずつ荷物がなくなって軽くなっていく感覚を、みんながニコニコしながらあなたを助けてくれているシーンを、想像してみてください。

自分は大丈夫じゃないって認めること。そして、誰かに助けを求めること。これが抱え込み症候群の方々に必要な処方箋です。

もしよかったらさっきのセリフ、実際に声に出して言ってみてください。それだけで少し心が軽くなるかもしれませんし、実際に抱え込んでいる荷物を手放せるかもしれません。

「やらなくていい仕事も抱えていたし、あれこれ考えすぎて作業の手が止まっていることも多かったし、家のこともちゃんとしようとしすぎていたし、これくらい頑張らないと自分はダメだと自己評価を下げてしまっていることにも気づけました。実際頼ってみたら快く受け入れてくれる人ばかりでしたし、なんだもっと早くみんなを頼ればよかった、と今では思っています」

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