高齢者の徘徊を防ぐために、家族がとれる対策とは?
2024年12月13日 公開
「少し留守にしていた間に、家からいなくなってしまった...」そんな事態を防ぐには? 『PHPくらしラク~る♪』より、高齢者の転倒や、徘徊を防ぐために家族ができることについてご紹介します。
※本稿は、『PHPくらしラク~る♪』2025年1月号より、一部を抜粋編集したものです。
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おばあ:松原文子(90歳)
1934年生まれ。大工の棟梁の夫と若い衆、子や孫に料理を作り続けてきた。近年パーキンソン病を発症し、孫の手助けが必要に。料理や介護に奮闘する孫に感謝しつつも、感想は率直で手厳しい。
孫:大迫知信(40歳)
脱サラ後、おばあが作るちょっと変わった料理に支えられ、念願だった物書きに転身。著書『おばあめし』(清流出版)を出版。おばあが台所に立てなくなってからは、自らが作る"まごめし"を出している。
・ブログ「おばあめし」 https://obaameshi.com/
・Instagram https://www.instagram.com/obaameshi/
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こけるのに...まさか徘徊? なんで外出たんや、おばあ!
【介護のプロに聞いてみた】
――おばあが外に出て転ばないようにするには、どうしたらいいでしょうか?
「危ないからやめて」と言ってやめてくれたら、苦労しないですよね。ですから家族をはじめ介護をする側が対策するしかないと割り切りましょう。今回の文子さんの場合は、落ちている洗濯物を拾おうと外に出たので、見えない場所に干せばひとまず安心。ですが別のものが気になり外に出て、また転んでしまうかもしれません。
さらに難しいのが、目的もなく外に出てしまうこと。いわゆる"徘徊"です。認知症を患っている場合がほとんどですが、事故にあったとか行方不明になったという事例を身近でもよく見聞きします。
――徘徊の対策はどうすればいいですか?
掃き出し窓から出るのが心配なら、手の届かない箇所に補助錠を付けるといいと思います。その場合、部屋から完全に出られなくすると、災害のような緊急時に困るのでやめてくださいね。
さらなる策としては、捜索時に必要な最近の顔写真を撮っておくことや、靴に付けるGPS端末がおすすめ。介護施設に通うデイサービスも、利用時間のあいだは見守ってくれますし、ほどよく疲れてあまり出歩かなくなります。
ただ文子さんは現在、認知症ではないですし、ひとりで出歩くことも難しいので様子を見ながら対策してくださいね。
――はい。必要な道具やサービスを組み合わせて、僕が見守ります!
協力:一由麻里
おばあと孫が暮らす大阪・四條畷市で90年続く福祉の会社、畷ケアサービス(ちよの里)を営む3代目。介護の問題に直面するおばあの孫の相談に乗っている。
マンガ:いしづかちなつ
京都芸術大学マンガ学科卒業。認知症をわずらった祖父の介護にあたった6年間をマンガにした同大学の卒業制作『ころがる毎日』で優秀賞を受賞。