「三日坊主」でも気にしない…努力が“続く”心理学
2012年10月04日 公開 2023年01月05日 更新
「努力は金になる」と信じろ
お相撲さんたちは、血反吐をはくほどの練習をするそうだが、その練習を下支えするのは、親方から言われる、「土俵の下には、お金が埋まってるんだ!」という言葉であるという。横綱になれば、そのお金が手に入るのだと思えばこそ、辛い練習にも耐えられるのである。
他の分野でも、「プロ」と呼ばれる人たちは、お金に対して貪欲である。
勝負に勝つことが、賞金やボーナスという形で報いられることを知っているから、あれほど頑張れるのだ。人によっては、名声や、女性にモテるということがモチベーションになっていることもあるけれども、やはり一番のモチベーションは「お金」であろう。
打算的であろうがなかろうが、「お金のために頑張る」という意識を持てば、努力はつづけられるものである。ボクシングの選手であろうが、陸上の選手であろうが、お金は非常に魅力的な存在なのだ。
たしかに、「僕は、お金が欲しくて頑張っているんじゃないんです」と言う人が、ごくまれにいる。しかし、そういう人は、お金が欲しくて、欲しくて、必死に頑張る、という人に比べれば、努力が小さくなるものである。
それにまた、「お金なんて欲しくない」と言いながらも彼はポーズとしてそんなことを言っているだけであり、心の中では、「お金が大好き」だと思っているのかもしれない。お金を本気で嫌悪する人など、いないからだ。
だれでも、お金のことを考えていると、自然と努力するようになる、ということを示した面白い実験があるのでご紹介しよう。
ミネソタ大学のキャサリン・ヴーズ教授は、大学生に対して、バラバラになった単語を並べ替えて意味のある語句を作らせるという実験を行なった。
ただし、片方のグループは、「お金」について考えさせるような語句ばかりが並んでいて、もう片方のグループでは、「お金」とはあまり関係のない語句を並べておいたのである。
たとえば、お金について考えさせるグループでは、次のような単語群を並べ替えさせる作業を求めた。
paying high a salary (正解は、a high paying salary)
もう片方のグループでは、次のような並べ替えをやらせてみた。
outside is cold it (正解は、It is cold outside)
このような作業をつづけることによって、片方のグループだけが「お金」についてしっかり考えさせられたわけである。
次に、同様の条件で、きわめて難しいパズルが与えられ、どれだけ諦めずにパズルに取り組むかが測定された。
その結果、お金とは関係のない作業をさせられたグループでは、平均 186秒ですぐに諦めてしまったのに対して、お金について考えさせられたグループでは、諦めるまでに 314秒も頑張ったという。
不思議なことに、私たちは、お金について意識させられると努力を継続することが、はっきりと示されたのである。
したがって、このデータを参考にすると、たえず頭の中を「お金」のことでいっぱいにしておけば、それだけ努力家になれるということが推測できる。
「お金のことを考えるなんて、汚らわしい」などと思わず、お金についてどんどん考えていいのである。自分の努力がお金になると思えば、苦しさも喜びに変わるはずだ。