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生き方

マシンガンズが売れない15年を経験して得た教訓「自分に見合うものしか来ないのが人生」

マシンガンズ(お笑い芸人)

2025年02月21日 公開

マシンガンズが売れない15年を経験して得た教訓「自分に見合うものしか来ないのが人生」

「MAXめんどくせえ」のキメ台詞で、『エンタの神様』などの00年代に流行ったネタ番組で人気を集めたマシンガンズ。しかし、ショートネタブームの終わりとともにテレビで見かけることも減り、15年ほどの低迷期を味わったといいます。

2023年の『THE SECOND~漫才トーナメント~』で準優勝すると再び脚光を浴び、十数年ぶりの著書『もう諦めた でも辞めない』(日経BP)を刊行しました。そんな、紆余曲折あった二人が見つけた人生訓とは? お話しを聞かせていただきました。

 

人は皆「おじさん」になるために生まれてきた?

――ご自身が年齢を重ねていく上で、若い人に対するスタンスや見方は変わってきましたか?

【西堀】やっぱり距離が出てきましたね。俺が何かこの人の人生を変えられるわけじゃないって達観する気持ちが出てきました。昔は後輩に「こうした方がいいよ」ってなことを言っていたんですが。

人に言われたことって自分で考えたことに比べて響かないんですよね。自分で転んだりしないとわかんない。これはしない方がいいよって言っても、やっぱり実際に経験しないと効かないかもしれないです。

我々は他のグループと利害関係がないので、特に後輩指導を熱心にする必要もない。年を取って、尊重するようになったっていう良い言い方もできますけど、無関心になったという感じもします。

――利害関係がないとおっしゃっていましたが、芸人さんって芸人さん同士集まって議論を交わしているようなイメージも強いです。

【西堀】お笑いが好きで芸人をやってるから話すことは沢山あるんですよ。自分の人生もかかっているし。例えば趣味のサークルとかに比べたら結びつきは強いですよね。

――先ほど「老害」という言葉が出ましたが、世の中的に今おじさんって立場が...

【滝沢】そうそう、立場がないよね!どうですか、そちらから見て。

――例えば、電車などで態度の悪いおじさんが居たりすると「なんだろう」って思いますね。逆に若い人もおじさんへの対応の仕方がわからないから、邪険に扱ってしまうのかもしれないです。(注:取材にあたった編集はギリギリ20代)

【西堀】態度が悪い人なんて、おじさんじゃなくてもいっぱい居るじゃん(笑)!おじさんばかり後ろ指さされて(笑)!

【滝沢】まあ、おじさんって気持ち悪いんだよね。

【西堀】でも若い人たちはいつか自分らも「おじさん」「おばさん」になることが頭からすっぽり抜けてる!

【滝沢】怖いことに、人生はおじさんでいる期間が一番長いんだからね。若者と呼べるのなんて、せいぜい25歳くらいまででしょ?30歳なんて、中学生から見たらおじさんなんだから!"おじいさん"になるまで、ずっとおじさんなんですよ。

だから俺らはおじさんになるために生まれてきたんですよ?それが成虫だから。アゲハチョウのところだから。

【西堀】いや、余韻じゃない?25歳くらいが成虫で、そのあとはボヤーっと生きてる。

――(一同笑い)

【滝沢】でもいいと思います。世の中で物事を決めるのは大体おじさん、おばさんなんで。おじさんって雑に扱ってくる若い奴らはほっといてる(笑)。お前ら使ってやらないからな!って。

【西堀】俺たちは若い人に何か言うわけでもないのに、言ってくるんだよな。例えば「お前はへそ出すなよ」なんて言わないのに、向こうからは何か言われるんです。でもまあ、皆何かしらに怒ってるんですよ。粗品も怒ってるし。そんなもんなんですよ。

――ある意味、若い人がおじさんたちに文句を言うのも正常なんでしょうか(笑)。

【滝沢】文句を言われたら断絶!俺よりものを知らないくせに馬鹿にしてるのが腹立つ(笑)!

若い人たちは歩み寄りたいんですか?おじさんに。俺は違うんじゃないかなって思ってるんだけど。

――個人的には、仲良く平和にできたらそれが一番いいなと思っているんですけど...

【滝沢】本当に?セクハラするよ、おじさんなんて。

――セクハラするおじさんはちょっと(笑)。

【西堀】昭和のおじさんなんてハードでしたよ!おしぼりで顔を拭いたりとか(笑)。

【滝沢】一回見せてあげたい、俺らが子どもの頃に居たおじさんを。

【西堀】めちゃめちゃおじさんでしたよ。

そう考えると今のおじさんって綺麗ですよ?清潔感あるし、パーカも着るし。

【滝沢】だから良いんじゃないですか?分かり合えなくても。俺らも何か言われたらうるせーって言うし。

【西堀】おじさんの方がどうしてカラオケ行って歌う曲を合わせていかなきゃいけないんだって話ですよ。

【滝沢】今の若い人はもう会社の飲み会に行きたがらないって言いますよね。僕らの時は許されなかったけど。

【西堀】昔は「飯食ったか」って先輩に聞かれたら、食べていても「食ってないです」って言って飯に連れていってもらうのが暗黙のルールでしたけど、今の人はそれが誘いだってわからないですもんね。段々芸人の上下関係も希薄になってますよ。

――芸人さんの間でも縦の繋がりがなくなってきているんですね。意外です。

【西堀】まあ、他よりは芸人の方がまだ先輩後輩の繋がりは強いかもしれませんね。先輩が金を出すとか。

大した話をしないくせに俺が金を払わなきゃいけないんですよ。だから俺だって一緒に飲みたくないですよ(笑)。

【滝沢】若い人は自分に価値があるって思っているからね。生意気だよ!つって。それが段々と「自分はこんなもんだな」って気づいていくんですよね。

 

どんな状況でも楽しむ方法を見つける

――ここまでお話しを聞いてきて、お二人それぞれがご自分なりにやってきて現在につながっているという印象を受けたのですが。人生を振り返っていかがですか?

【西堀】明確に決めたことは多分何もないです。常に翻弄されて流されてますよね。それこそお客さんの反応で一喜一憂するし、売れる売れないことにも振り回されてきた。全部そうなんですよ。何にも自分で決めてない感じがします。

――あそこで決めておけば...みたいなことは思ったりしないんですか?

【西堀】それはあんまり考えたことはないですが、そのDVDが出たら見てみたいですね(笑)。あの時決めていたら人生はどうなっていたのかって。

――異世界転生ものが流行るのは、そういう心理もあるみたいですよ。別の人生を歩んでいたらという気持ちを重ね合わせているみたいです。読者の年齢層は高いそうですし。でもお二人はそういう感情が少なそうに思うのですが...

【西堀】いや、俺だってそんな良い条件で生きられるなら、そうなりたいですよ(笑)!

【滝沢】そりゃあ、M-1で優勝したかったですよ!でもいざ優勝してたら難しかったかもしれませんね。元々のお笑い能力が低いんで(笑)。大喜利なんかもできないし。

【西堀】でもこのマインドが良いのかもしれないです。優勝したとしてもうまくいかなかったということは、今の我々のことを否定してませんから。

【滝沢】僕は家族がいてもゴミ清掃員をやりつつお笑いをなんとか続けられたんですけど、中には辞める人もいるんですよね、もちろん。才能があって売れるだろうなと思っていたやつが辞めたりとかするんですけど。それは金の問題じゃないですよね、もう心が折れてしまって続けられないんです。

――辞めないというのが全てなんですかね。

【滝沢】辞めないというより、現実を見ないってことですかね!あんまり計算してもその通り進んだことなんてないですから。

【西堀】どんな状況でも楽しむ方法を見つけることが大切なんです。悩んでいる人は自分に期待しすぎなんですよ!所詮、自分のレベルに見合ったものしかやってこないんだから。

――あるもので頑張るということでしょうか。

【西堀】そうそう、あるもので。

【滝沢】「あるもので納得しなさい」これですよ。

 

【マシンガンズ】

西堀亮(にしほり・りょう)
1974年10月4日生まれ、北海道出身

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年9月14日生まれ、東京都出身

1998年にコンビを結成。10年目を迎える頃に『爆笑レッドカーペット』『エンタの神様』などの出演をきっかけにブレイク。2007年、2008年は2年連続で『M-1グランプリ』準決勝に進出した。2012年、2014年には『THE MANZAI』認定漫才師となる。滝沢は2012年にゴミ収集会社に就職。2018年の『このゴミは収集できません〜ゴミ清掃員が見たあり得ない光景~』など関連著書が多数あり、ゴミの専門家として数々のテレビ番組や講演会などで活躍。西堀は2020年に「身近なヒント発明展」で優良賞を獲得。考案した「靴丸洗い洗濯ネット」が2023年に商品化を果たす。2023年5月の『THE SECOND~漫才トーナメント~』で準優勝し、再び脚光を浴びた。太田プロダクション所属。

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