![「頭の中を言語化して、思考をまとめる」もっともシンプルな方法とは?](/userfiles/images/utilityLI/pixta_zangyoLI.jpg)
頭の中で、まだ言葉になっていない思いや意見を言語化するには? 2ステップで出来る「もっともシンプルな言語化の方法」について、書籍『こうやって頭のなかを言語化する。』からご紹介します。
※本稿は、荒木俊哉著『こうやって頭のなかを言語化する。』(PHP研究所)を一部抜粋・編集したものです。
STEP1「できごと+感じたこと」をメモする
頭のなかを言語化するのに、まず必要なのは「自分への問い」です。
「なぜ、そう思うのか」
「なぜ、そう考えるのか」
「なぜ、そう感じるのか」
そういう問いがあってはじめて、人間は言葉になっていない思いや意見を言語化しようとします。人間は問いがないと、うまく考えることができません。反対に、いい問いさえあれば、勝手に思考が深まっていきます。自分への問いが、すべての言語化の出発点なのです。
【POINT】心が動いたできごとをメモでためる
しかし、自分に問いを立てることは、思っているより簡単ではありません。事実、前著でご紹介した言語化力トレーニングを、これまで1000人をこえる方々に実践してもらいましたが、「問いを立てるのが難しい」「どんな問いを立てたらいいのかわからない」という声をたくさんいただきました。
たしかに、日常生活のなかで自分にいちいち問いを立てるのは、かなりめんどうです。それに、そもそも「問い」という言葉自体に、少し哲学的で難しい印象があるので、とっつきにくさもあります。
急に「自分への問いが、すべての言語化の出発点」と言われても、戸惑いを感じるのは当たり前だと思います。そこで私は、だれでも、手間なく、簡単に、自分ならではの問いを立てるコツがないかを考え続けました。そして、1つの方法にたどりついたのです。
それが、自分に問いを立てるのではなく、心が何気なく動いたことを、シンプルなメモで「ためる」という方法です。
たとえば、得意先でのプレゼンが終わった場面を想像してみてください。クライアントに挨拶をして、あなたの会社に戻る帰り道で、次のようなシンプルなメモを残しておく。たった、これだけです。
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プレゼン終了。テンション上がった。
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こんな感じです。これくらいなら、無理なく、ほんの一瞬でメモできるのではないでしょうか? この1行で、自分に問いを立てる準備が整いました。
「このシンプルなメモが、どうやって自分への問いにつながるの?」と思われたかもしれませんが、このあと丁寧にお話ししていきますので、ご安心ください。このステップ1では、メモをとるときに、1つだけ意識してほしいポイントがあります。
必ず「できごと+感じたこと」をセットでメモすることです。
今回の事例でいうと、
できごと【プレゼン終了。】+感じたこと【テンション上がった。】
のようなイメージです。
なぜ「できごと+感じたこと」をセットでメモするのか? その理由は、次のステップ2で、くわしくご説明します。
STEP2 頭に浮かんだ言葉をノートに書きだす
次は、ステップ1でためたメモを活用して、そこから問いを立て、自分で自分の話を聞いていくステップです。
つまり、「自分が経験したこと(WHAT)」に対して、「なぜ、自分がそう感じたのか(WHY)」を聞いていくことが、ここでの目的になります。
【POINT】「のはなぜか?」を足して問いをつくる
それでは、どうすれば、あなたがためたシンプルなメモから問いをつくれるのでしょうか? 実は、とても簡単な方法で実現可能です。
その方法とは、
ためたメモの最後に、「のはなぜか? 」の6文字を足す。
たった、これだけです。
さきほどのプレゼンのメモを例にすると、
プレゼン終了。テンション上がった。
のメモに対して、
プレゼン終了。テンション上がった。のはなぜか?
のように、最後に「のはなぜか?」の6文字を足すだけです。これだけで、ためたメモを活用して、次から次へと自分への問いが自動生成されます。
さきほど、問いを立てることが難しいとお話ししましたが、そのつまずきポイントを、このたった6文字で解消することができるのです。
さらに、ステップ1で、必ず「できごと+感じたこと」をセットでメモしてほしいとお伝えしたのは、ここに理由があります。
もし、メモの内容が「できごと」だけ、つまり「プレゼン終了。」だけだったら、プレゼン終了。のはなぜか?
となってしまい、そもそも問いとして成立しません。
また、「感じたこと」だけ、つまり「テンション上がった。」だけだと、テンション上がった。のはなぜか?となってしまい、いったいどんな「できごと」でテンションが上がったのかを思い出すのに、時間がかかってしまいます。
「できごと+感じたこと」をセットでメモして、そこに「のはなぜか?」の6文字を足す。これが、習慣化の大敵である手間と時間を極力省きながら、一瞬で自分への問いを立てることができる、私の考えるもっともシンプルな方法です。