モノが散乱した実家に呆然 想像以上に大変な「遺品整理」の落とし穴
2025年03月31日 公開

クローゼットにはタグ付きの服、棚には使わない食器、捨てられない書類...。モノで溢れる家を前に、途方に暮れる方も多いはず。YouTuberミニマリストのTakeruさんによる書籍『60日で9割捨てる片づけ術』より、「生前整理・遺品整理」で重要なポイントについて解説します。
※本稿は、ミニマリストTakeru著『60日で9割捨てる片づけ術』(クロスメディア・パブリッシング)を一部抜粋・編集したものです。
生前整理・遺品整理の落とし穴
生前整理・遺品整理は、体力面や金銭面に大きな負担がかかります。僕も祖母や叔父の生前整理をする際は、覚悟の上で片づけに行きました。
ですが、実際に行ってみると、想像をはるかに超える大変さだったのです。これは実際にやった人じゃないとわからない「生前整理・遺品整理の落とし穴」です。
【落とし穴①】精神的にキツい
大切な家族のモノを片づけること自体が精神的に辛いのに、強烈なニオイやホコリ、汚れ、カビが酷かったりするので、精神的に大きなストレスとなります。目にしたくないモノを何度も見て、汚れたモノにも触れなければなりません。
その上、モノが多すぎて全然片づけが終わりません。劣悪な環境下で、何度も何度も片づけなければならないことが、相当な負担になります。
【落とし穴②】重要なモノが全然見つからない
モノが多い部屋だと、貴重品や重要なモノがどこにあるのか、所有者本人しかわからないので、身内が見つけ出すのには相当苦労することになります。僕の母も、叔父の生前整理で重要書類や銀行通帳、銀行パスワード、実印や届印の場所がわからず、相当大変な思いをしていました。
さらに、現金や重要な書類が家の変なところから出てくることもあるので、ある程度自分たちで片づけてからでないと業者には頼みづらいのが現実です。
【落とし穴③】まとまったお金を失う可能性もある
生前整理や遺品整理に長いこと時間がかかってしまうと、住居費や定期購入(サブスク)費用、通信費、光熱費など、思わぬところでお金を失う可能性があります。
例えば賃貸に住んでいる場合、家賃の滞納だったり、汚れがひどく残置物が多いと退去費用が高くつくこともあります。
さらに持ち家の場合、相続人が売りたくても残置物が多ければ、処分費用を差し引いた額で売らなければいけないので、ここでも数十万円というお金を失う可能性があります。
仮に自分たちで遺品整理してから持ち家を売却したくても、片づけるまでに相当な時間が必要となるので、その間は固定資産税を支払い続けることになり、何年も片づけに時間がかかってしまえば、売却金額にも大きな影響が出てしまいます。
【落とし穴④】そもそも遺族にお金がないと......
遺された家族にお金の余裕がないと、帰省するにも節約しないといけませんし、業者に頼むことさえできません。場合によっては仕事を休まなければならず、会社の人やお客様に迷惑をかけますし、アルバイトや個人事業主であれば、毎月の収入がいつもより減ってしまうこともあるでしょう。つまり、金銭的な問題で遺族の生活が苦しくなってしまうこともあるのです。
【ここがポイント】
●生前整理・遺品整理は、「身体的」「精神的」「金銭的」に辛い。
●モノが多い部屋だと、身内が「貴重品」を見つけられずに困る。
老後にモノは必要ですか?
生前整理・遺品整理をしていると、「なんでこんなにモノがあるの?」「これ絶対使ってないじゃん!」「同じモノが何個も出てくる......」「なんでこんな所にコレがあるの?」といったことがたくさん起こります。僕が思うに、老後生活に必要なモノはそこまで多くないと思うのです。本当に必要なモノは限られています。
【老後生活に必要なモノ①】日常的に使っているモノ
例えば、寝具や家具・家電、調理器具や食器、衣類や靴、化粧品、衛生用品、日用品、掃除道具、趣味のモノなど、頻繁に使っているモノがあると思います。高頻度で使っているモノも、過剰に持ち過ぎるのではなく必要十分な量だけ残しましょう。趣味のモノに関しては、人生を楽しむための必須アイテムになるので、程よく持つことが大切です。
【老後生活に必要なモノ②】貴重品
通帳や印鑑、クレジットカード、保険証、運転免許証、パスポート、重要書類などは、自分のためにも家族のためにも、ひとまとめにして保管場所をあらかじめ伝えておきましょう。
【老後生活に必要なモノ③】必要十分な備蓄と予備
年齢を重ねると、何度も買い物に出かけるのが大変だし、重い荷物を運ぶのにも苦労します。若いミニマリストのように「ストックは1つまで」と言わず、体力や体の状態に合わせて数カ月分のストックがあった方が暮らしやすいかもしれません。ただ、消費しきれない量を買ってしまうと結局使わずに終わってしまい、単にお金を捨てるのと同じになるので注意が必要です。
【老後生活に必要なモノ④】大事な思い出や作品
思い出のモノや作品は、その人の暮らしによい影響を与え、心を豊かにしてくれます。だからと言って、何でもかんでも思い出のモノや作品を残す必要はなく、優先順位をつけて「一番心に響くモノ」「一番心が満たされるモノ」「失うと心にポッカリ穴が開いてしまうくらい愛おしいモノ」を厳選して持つようにしましょう。
このように、老後生活に必要なモノはそこまで多くないものの、何でもかんでも捨ててしまえば、たちまち老後生活は「不便」で「楽しくない生活」になってしまいます。
したがって、「使ってないモノ」「なくても生活に困らないモノ」を手放し、必要十分なモノを揃え、整理整頓を心がけてください。そうすれば「快適」で「安心」「安全」な環境が整うはずです。それは本人にとっても、周りでサポートする人たちにとっても一番よい環境となるのです。
【ここがポイント】
●老後生活に必要なモノは実は少ない。
●「日常的に使っているモノ」「貴重品」「適度な備蓄」「少しの思い出」は残す。
●不要なモノを手放すことで、「快適」「安心」「安全」が手に入る。