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断るときの「罪悪感」は克服できる? 専門家が説く、無理ない人間関係の築き方

時田ひさ子(HSS型HSP専門心理カウンセラー)

2025年03月19日 公開

断るときの「罪悪感」は克服できる? 専門家が説く、無理ない人間関係の築き方

お人好しな人は断ることに苦手意識を持ちやすいと、HSS型HSP専門心理カウンセラーの時田ひさ子さんは話します。時田さんの新刊『つい他人を優先してしまう お人好しさんのためのじょうずな断り方』には、相手のことを傷つけることなく断れる方法が具体的に紹介されています。

こちらの記事では、関係性ごとの断り方や、断る際に抱いた罪悪感の対処法について時田さんにお聞きしました。

 

関係性によって断り方は変わる?

―― 職場や友人、家族など、シチュエーションによって断るコツに違いはあるのでしょうか?まず、職場ではいかがでしょうか?

【時田】 職場での断り方は、特に丁寧な言い方が求められると思います。また、感情をあまり表に出さず、冷静に伝えることも重要ですね。あくまで仕事として関わる人が多いと思うので、親切さや丁寧さが求められるのではないでしょうか。

――友人間ではいかがでしょう。

友人関係は、特に出会ったばかりの相手に対して意識した方が良いことがあります。誰しも、最初の段階で相手の特性を把握するのは難しいですよね。初めから何でも引き受けてしまうと、後々頼られすぎたり、利用されてしまうこともあるかもしれません。新しいコミュニティでは、まず慎重に距離を測ることが大切ですね。

もちろん、すべてを断るのは逆に印象が悪くなる可能性があります。例えば、飲み会や会食などには毎回参加するのではなく、3回に1回程度にするなど、適度な距離感を保つのが良いでしょう。

本当に気の合う友人を見つけるには、時間が必要だと思います。新規のコミュニティでは、それに半年以上要することもあるかもしれません。時間をかけて関係を築き、断っても大丈夫な関係性を見極めることが大切ですね。

また、友人との会話で話したくないことを無理に話す必要はありません。聞かれたことに対して「話したくない」と断ったときの相手の反応を見て、尊重してくれる人と関係を深めるのが良いでしょう。お互いの気持ちを尊重できる相手を見つけることが、より良い人間関係につながると思います。

――断れるかどうかも含めて、友人関係はじっくり築いていくべきなのですね。では、家族間ではどうでしょうか?

家族の場合は、馴れ合いになりやすい傾向があるのではないでしょうか。「家族だから大丈夫」と考えがちですが、強引な態度を取る人もいるかもしれません。そのため、家族間でも立場を意識して適切に断ることができると、後々のトラブルを防ぎやすくなるでしょう。

 

断るときの「罪悪感」との付き合い方

――断ることに罪悪感を感じてしまう人もいると思うのですが、それを乗り越えるにはどうしたらよいでしょうか。

【時田】優しい人ほど、断ることに罪悪感を持ってしまいがちですよね。でも、大事なのは「罪悪感を感じないこと」ではなく、「罪悪感を抱えたまま適切に断ること」なんです。

罪悪感を完全に断ち切るのは難しいと思います。ただ、それに揺さぶられてしまうと、必要な場面で断れなくなってしまいます。罪悪感を自覚した上で、断るか断らないかを別に選択していくべきなんです。

――罪悪感は常にあってしかるべきものなんですね。

【時田】 罪悪感を感じるのは自然なことなので、それ自体を否定する必要はありません。罪悪感を持ちつつも、型通りのステップで嫌な感じなく断る方法を実践するしかないと思います。罪悪感をゼロにするのではなく、それを持ちながらも上手に対応する技術が重要なんです。

 

罪悪感を感じさせようとする人もいる

――とはいっても、罪悪感はとても嫌なものですよね。

【時田】実は、罪悪感を必要以上に感じさせてくる人もいるんです。例えば、威圧的な態度をとる人や、「あなたのせいで」という責任転嫁をする人、LINEグループで自分の知らない話で盛り上がる人など。そういう環境で、優しすぎる人は自分を責めてしまいがちです。

また、断れないように状況設定をして追い込んでくる人もいます。そういう人は計画的に罪悪感を利用していることがあり、大きな声で話すなど習慣化している場合もあるんです。

――そうした相手はどのように対処すればいいのでしょうか。

【時田】一つの方法は、直接的な依頼を避けることです。対面では断りにくくても、メールやメッセージであれば断りやすくなります。たとえば、「直接会うと断れなくなってしまう」と感じる相手には、あらかじめメッセージでやりとりするようにするだけでも負担は減ります。

また、長く付き合う人間関係では、「断っても関係が壊れないか」を見極めることも大事です。本当に信頼できる相手なら、断ったとしても理解してくれますし、無理に引き受けなくても関係は続きます。逆に、断っただけで関係が悪くなるような相手とは、そもそも無理をして付き合う必要はないかもしれません。

――たしかに、断ることで本当の関係性が見えてくることもありますね。

【時田】そうですね。罪悪感を感じさせられる場面では、「本当にその人との関係を続けたいのか」を考えてみるのもよいでしょう。罪悪感を過剰に抱かせてくる人とは、距離を取ることも大切です。

罪悪感はゼロにはならないものですが、それを乗り越える方法を知っていれば、断ることへの負担も減ります。自分を大切にしながら、適切に断れるようになれば、人間関係もより良いものになっていくと思います。

(取材・編集=PHPオンライン編集部 片平奈々子)

 

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