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やる気の有無は問題ではない...「先延ばし癖」が自然に直る3つのコツ

清水克彦(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師)

2023年01月03日 公開 2024年12月16日 更新

やる気の有無は問題ではない...「先延ばし癖」が自然に直る3つのコツ

月末になって伝票処理に追われたり、メールの未読が溜まったり、上司から頼まれた仕事を催促されたり…どうすれば、先送りしてしまう仕事の量を減らせるのだろうか。清水克彦氏が、仕事の効率を高め、決断力と段取り力を身に着ける、簡単なテクニックを紹介する。

※本稿は、清水克彦著『1秒速く動く人になる習慣』より、一部を抜粋・編集したものです。

 

効率アップではなく“段取り”を見直す

日々の仕事の中で生じる「スキマ時間」は案外多いものだ。

「予定より早く会議が終わった」
「取引先から打合せ時間に遅れるという電話があった」

など、いきなり5分、10分という時間が空くケースがある。そんなとき、

「月末ではなくても、早めに伝票を処理しておく」
「アポイントの電話を入れておく」
「手短にであっても、メールの返信をしておく」

など、何か一つでも作業を終えておけば、それ自体は小さなことであっても、1週間単位、あるいは1ヵ月単位で見ると、仕事の進捗状況は全然違ってくる。

月末になって伝票処理に追われたり、「まだアポが取れていないのか」と上司から催促されたり、「メールの返信が遅いな」と先方から思われたりという、先送りによる弊害も随分解消されることになるので、日頃から「5分あれば何をする?」など、「スキマ時間」にすべきことを考えておくといいだろう。

とはいえ、「スキマ時間」の活用だけでは、仕事を先送りしないという根本的な解決にはならない。効率アップにはなるが、すぐ動く人になるにも不十分だ。

私がおすすめしたいのは、「残業はしない」「ふられた仕事は、すぐ段取りする」この2つを決め事にすることだ。

まず、「残業はしない」だが、残業代で収入をアップさせたいと考え、あえてそうしているケースはさておき、基本的に「残業ありき」で考える人間は、その道のプロフェッショナルとは言えない。

「彼(彼女)は毎日、遅くまで会社にいて頑張っている。それに比べて、あいつは定時で帰る。少し熱心さが足りないんじゃないか?」

私の職場では、残念ながら、いまだにこうした古い考え方がはびこっているが、それでも多くの企業で、「長く会社にいること=仕事熱心」という考え方はしだいに薄れ、むしろ要領が悪い証拠としてマイナス評価を受けるようになりつつある。

私自身、管理職として部下を見た場合、「定時で帰るが結果を出す部下」と「遅くまで会社にいるが成果が乏しい部下」はすぐに識別できるので、残業すること自体をPRの材料などと考えず、集中して前倒しで仕事を進めてほしい。

そのためのポイントとなるのが段取りである。

さきにも少し触れたが、自分だけで処理できる仕事量は限られているため、ある部分を部下に任せたり、コピー1つとっても誰かにお願いしたりすることになる。

そうした場合、こちらの意図を明確に伝えることができるかどうかで、仕事のスピードは全然違ってくる。

○自分の仕事に着手する前に、周囲の人間へのお願い事は済ませる
・自分の仕事に専念するあまり、「あれを頼むのを忘れてた」では時間を大きくロスする。帰り際の部下を呼び止め、仕事を頼むようでは反発を買い、信頼も損なう

○「いつまでに」「どんなイメージで」を明示する
・これがなければ、仕事を依頼された人は、ゆっくり着手したり、何を求められているのかわからずとまどったりする。そのため、「そろそろできたかな?」と思う頃に、まだ手つかずだったりする。

○疑問、質問、簡単な用件なら携帯メールで入れてもらう
・文字のほうが正確に伝わり、いつでもどこでも答えを返すことができるので、双方が時間を省ける。

こうした点に配慮して、仕事を周囲の人間に任せれば、全体のスピードは格段にアップする。

あなたが自分の作業をしている間に、他の作業も並行するようになるので、先送りしてしまう仕事の量は随分減るはずだ。

 

段取り力を鍛える3つの「I」

ここまで述べてきた手法は、今日から始められることばかりだが、「すぐに決断力とか段取り力は持てない。もっと、簡単なテクニックはないのか?」という人のために、ほとんど毎日と言っていいほど私が実行している手法をご紹介しておこう。

それは、3つの「I」を念頭に仕事をするということだ。

1.嫌な仕事ほど早めに片づける
2.今やらなくていい仕事を早めに片づける
3.「いつまでにやります」と宣言する

まず、「嫌な仕事ほど早めに片づける」だ。

あなたが嫌だと感じている仕事は、明日になってもあさってになっても嫌な仕事のままだ。3日経てば好きな仕事に変わるなどということはけっしてない。だとすれば、さっさと片づけて気分的に楽になったほうがいいというのは自明の理ではないだろうか。

「あの人と交渉するのは好きじゃない。でも数日中には電話しなくちゃいけない」
「今回の出張は伝票、領収書の数が多く憂鬱。しかし処理しないわけにはいかない」

ビジネスシーンの中で、「やりたくないな」「気乗りしないわ」と思える作業は多々あるが、こういうものほど、早めに片づけるのだ。

そうすれば、急に視界が開けた気分になれる。他に抱えている仕事にも集中できるようになる。

次に、「今やらなくていい仕事を早めに片づける」である。今、目の前に、

「今日中にやっておかなければならない仕事」
「数日中にはやっておくべき仕事」
「来週でもいい仕事」

の3つがあったとすると、最初に「数日中にはやっておくべき仕事」を片づけるのだ。

私で言えば、番組にお招きするゲストのうち、明日のゲスト、3日後のゲスト、7日後のゲストが決まっていない状態だったとして、3日後のゲストを決めるのだ。

どっちみち、「今日中にやっておかなければならない仕事」、私で言う、明日のゲストのブッキングは今日中に済ませなければならないので、最初に「数日中にはやっておくべき仕事」を片づけておけば、今日のうちに2つの作業が終わることになる。

そうなると気分的に余裕が生まれる。後々まで持ち越す仕事もかなり減ってくるので、先送りしない人へと脱皮できるはずだ。

3つめは、「『いつまでにやります』と宣言する」だ。

これは自分で期限を設定し、やらざるを得ない状態に自分を追い込むことを意味する。

私などは、新番組をスタートさせる際や新たな著書の執筆に入る際、自分の中でロードマップ(=工程表)を作成し、関係者に宣言している。

「○月○日までに全コーナーの内容を決めます」
「○日頃までにはテーマ曲なども決定します」

そして執筆で言えば、「○日までに半分、○日までには全部の原稿をアップします」といった感じに、である。

まるで退路を断つかのようだが、特に、仕事の規模が大きい、あるいは仕事内容が複雑という場合、こうして期限を切ったほうが自分の目安にもなりやすい。

隣の席の同僚に、「今日はこれだけはやるんだ」とつぶやくだけでもいい。

自分で自分の仕事に締め切りを設ければ、先送りしない、しかも「有言実行型」の仕事スタイルが定着していくことだろう。

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