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生き方

「うわべだけの反省は無意味」 失敗したときに本当にすべきことは?

永谷研一(行動科学専門家)

2025年04月09日 公開

「うわべだけの反省は無意味」 失敗したときに本当にすべきことは?

失敗したときに行いがちな"反省会"。しかし、行動科学専門家の永谷研一さんは「反省しても何も変わらない」と語ります。本稿では、書籍『1日5分 書けば明日が変わる できたことノート』より、成長のために本当にすべきことについて解説します。

※本稿は、永谷研一著『1日5分 書けば明日が変わる できたことノート』(クロスメディア・パブリッシング)を一部抜粋・編集したものです。

 

「反省」するとあなたの成長は止まる

会社でも、学校でも、よく「反省会」が行われます。欠けたところを見つけるのが習慣となっている私たちは、反省会が大好き。しかし、私はこの反省会に反対です。なぜなら、人は「反省」させると、その場しのぎの思考となり、本当の気持ちをさらけ出すことができず、とりつくろってしまうからです。

表向きはわかったような顔をしていますので、周りは「わかったんだろう」と勘違いしますが、うわべだけの態度の可能性が高いのです。

辞書で「反省」の意味を見てみると、次のようにあります。

• 自分のよくなかった点を認めて、改めようと考えること

つまり、反省とは、自分の悪い面に着目すること。自分のダメなところを見つめる苦しい行為なのです。すると「私は○○をしてしまいましたが、もう二度と同じことはしません。すみませんでした」という「他者に向かった」言葉になりがちです。つまり見つめているのは、自分の「表面的な部分」だけ。「すみません」と言っても、形だけです。

子どもが悪いことをしたとき、親は「もうしないわね?『はい』は?」と子どもを問い詰め、「はい......」と言わせることがありますが、これも表面的です。

親は「はい」と言わせたことで満足してしまいますが、子ども自身は、自分と向き合ってはいません。「『はい』と言っておけばいい」というその場だけの反応になってしまっています。

仕事の場でも同様です。たとえば、仕事の中で、数値に誤りのある報告書を提出してしまった場合。その場しのぎで、「間違いのある報告書を出してしまいました。二度と同じミスが起こらないよう、十分に注意をしていきます」と謝ります。

でも、このような反省で何か変わるでしょうか?

反省には、「自分の本音の心に向き合う」という最も大切な作業が、すっぽり抜け落ちているのです。必要なのは、その場をとりつくろうことではありません。本当に大切なのは、自分自身と向き合うこと。これを「内省」といいます。

内省とは読んで字のごとく「内を省みる」ということ。自分の行動や考えを深く振り返ることです。自分で自分を観察すること、「自己観察」ともいえます。

 

必要なのは、「反省」ではなく「内省」

内省は、自分の心との会話です。「間違いのある報告書を出してしまった」ということについて、「なぜそうなったのか」と内省をすると、本当の理由を導き出すことができます。

• 締め切りまでの時間がなくて焦っていた
• 周りに相談しにくかった

まずこうした簡単な理由はすぐ見つかるでしょう。そしてさらに、自分に対して素直になることで、心の奥の本音にアクセスしていくと、根本の原因が見えてきます。

「ところで、なんで相談できなかったんだろう......?」
「間に合うと言った手前、あとになって『やっぱりできない』と言いにくかった。カッコつけていた」
「変にカッコなんかつけず、もっと早く周りに相談すればよかった」

ここまで本音が出てくれば、しめたものです。

「締め切りを延ばしてもらうように交渉すべきだった」
「せめて先輩に相談すべきだった」

など、次に活かせるいろいろな解決策を自分の力で引き出すことができます。なぜなら内省すると、次に何をすべきか、自分で気づくことができるようになるからです。

反省をするのは、今日からやめましょう。

反省は、自分の「ダメだった行動」を見るだけの作業です。私たちに必要なのは、自分の「本当の気持ち」を見つめる内省のほうなのです。

まとめると、
• 反省は「他者に向かったとりつくろった思考」
• 内省は「素直に自分と向き合った本音の思考」
となります。

 

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