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ストレスを溜めない人がやっている「リンパの流れ改善」習慣

大橋俊夫(信州大学医学部教授)

2012年11月09日 公開 2022年12月27日 更新

ストレスを溜めない人がやっている「リンパの流れ改善」習慣

健康に気を使いたい気持ちはあるけれど、ウォーキングやストレッチはなかなか続かないもの。

信州大学医学部教授の大橋俊夫氏が、リンパの流れを味方につける3つの健康習慣と継続のコツを紹介します。

※本稿は、大橋俊夫 著『リンパを流すと健康になる』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

歩き方にも変化をつける

最近は健康ブームで、マラソンやウォーキングに励む人が増えています。適度な運動はもちろんリンパの流れをよくしますし、新陳代謝も活発にしてくれます。お金もかかりませんし、場所も選ばない。とてもいい健康法だと思います。

さて、そこでウォーキングをする時のポイントを1つ紹介しておきます。ウォーキングとは、ただぶらぶらと散歩をすることではありません。

散歩というのも精神的にはいいものですが、体に負荷をかけるとすれば、少し早歩きをしたほうがいいでしょう。心拍数が少し上がり、うっすらと汗をかく程度の速さで歩くことです。

また、常に早歩きだけをするのではなく、早歩きをした後には、今度は膝を高く上げながら歩いてみる。バッキンガム宮殿の近衛兵の歩き方です。それを数分したら、今度は思いきり大股で歩いてみてください。アキレス腱が充分に伸ばされるくらい大股で歩く。

早歩きを5分、近衛兵歩きを5分、そして大股歩きを5分。これで1セット。5分というのは別に決まっていませんので、自分の体力に見合った時間で区切って、1セットずつをこなしてみることです。

この3種類の歩き方を実践することで、さらに新陳代謝が活発になり、筋ポンプ作用も働きます。ただ漫然と長時間歩くのではなく、足や体全体に意識を集中させて歩くことです。

会社から帰宅して、それからウォーキングに出かける。それができればいいのですが、やはり面倒くさくなるのが人間です。特に女性ならば、またわざわざ着替えなくてはなりません。ウォーキングの習慣にこだわりすぎるのも、かえって心の負担になる。それでは逆効果にもなりかねない。

だったら、会社から駅に向かう道、あるいは自宅近くの駅から我が家までの道を、ウォーキングのコースにしてしまえばいいのです。

さすがに近衛兵の歩き方は恥ずかしいでしょうが、少し大股で歩くくらいなら平気です。早足と大股を繰り返しながら我が家への道を歩いてみる。それだけでも結構な効果が得られるはずです。

もしも会社が駅のすぐ近くだという恵まれた条件でしたら、少し遠回りをしてみてはいかがでしょう。季節のいい時なら、1駅分くらい歩けるものです。

次の急行電車の時刻ばかり考えるのではなく、1本遅らせても集中してウォーキングをしてみる。それが健康のためにもいいし、また気持ちにも余裕が生まれるのではないでしょうか。

私たちは毎日、どうせ歩かなければなりません。歩かなければどこにも行けないし、仕事にもならない。ならばいっそのこと、歩くことを楽しんだほうがいい。自分の体と心に合ったウォーキング法を見つけてください。

 

通勤電車では無理して座らない

毎朝の通勤電車は、体にも精神にも大きなストレスがかかるものです。特に東京や大阪などの大都市圏のサラリーマンの人たちは、満員電車ですし詰めになっている。まるで苦行のようですね。

それに加えて通勤に1時間以上もかかったりする人なら、なんとか電車では座りたいと思うのは当たり前です。早く家を出て、電車を1本遅らせても座りたいと思う。長い列に並んで、ドアが開くや否やどっと車内になだれ込む。壮絶な椅子取り合戦が繰り広げられます。

運よく座れた人はいいでしょうが、ぎりぎりのところで座れなかった人は悲惨です。せっかく早く家を出たのに、その努力さえ報われなかった。もう精神的にも落ち込んで、会社に着く頃にはぐったりしてしまう。

そんな経験はありませんか。こんなことを毎日繰り返していたら、それこそストレスは溜まる一方ですよ。

だったらいっそ、発想を変えてしまうというのはいかがでしょう。運よく座ることができたらそれもよし。でも、もしも座れなかったとしても、「よし、今日は立ったままで足の筋力を鍛えよう。これはいいチャンスだ」と思ってみてはいかがですか。

吊革につかまって、ときどきつま先立ちなどをしてみるのです。つま先で立つことによって、ふくらはぎの筋肉は相当に鍛えられます。ふくらはぎは第二の心臓と言われるくらい大切な部分です。

ここの筋肉が働くからこそ、静脈やリンパがスムーズに流れる。筋ポンプ作用が働くわけです。踵をつけたりつま先で立ったりしながら電車に揺られるだけで、充分にふくらはぎの鍛錬になります。わざわざフィットネスクラブなんかに行かなくても、それと同じ効果を期待できます。

それに、運よく座れたとしても、おそらくはぎゅうぎゅう詰め状態でしょう。隣の人に迷惑がかかりますから、やたらと体や足を動かすこともできません。

同じ姿勢で固まったまま1時間も座っていれば、そちらのほうが体には負担がかかります。足首をぐるぐると動かすこともできませんから、リンパや血液の流れは滞ってしまう。

医学的に見ても、じっと同じ姿勢で座っているよりも、つま先立ちなどをしながら立っているほうが絶対に健康にはいい。

精神的にもストレスにはなりにくい。絶対に座りたいと思って座れなかったら、それはストレスになります。でも、座れなかったら立てばいいと考えれば、どちらに転んでもストレスにはならないでしょう。

考え方次第で、通勤電車もフィットネスクラブに変身する。それくらいの心の余裕を持つことが大切だと思います。

 

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