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生き方

伝えたい想いを秘め、ずっとずっと自分が何者なのかを探している

望月大作

2025年06月27日 公開 2025年06月27日 更新

伝えたい想いを秘め、ずっとずっと自分が何者なのかを探している

世の中にはたくさんの名言や迷言、奇跡のような出来事が存在します。でもそれだけではありません。誰かの何かのきっかけになる言葉や行動は十人十色存在していて、それは飾らない何気ない言葉や行動だったりもします。誰がどんな言葉や出来事できっかけをもらったのか、些細なことから大きな出来事までさまざまな分野で活躍されている皆さんに伺いたいと考え、実際に伺ってきました。

第7回としてお話を伺ったのは、3月に読売テレビを退職され、現在西田さん自身が代表を務めている一般社団法人「未来のテレビを考える会」の活動を軸に、新たなフィールドで活躍されている西田二郎さんです。西田二郎さんが学生時代にテレビマンとして歩むきっかけになった出来事がありました。それがその後の人生に大きなきっかけを与えたという話について伺いました。

 

世の中のイメージと自身のイメージの違い

今年3月に読売テレビを退職された西田さんはテレビ番組『ダウンタウンDX』を立ち上げたことで知られています。しかし意外なことに、西田さんは世間的には代表作だと目される番組について「例えば土屋さんだったら『電波少年』だし、藤村さんだったら『水曜どうでしょう』やけど『ダウンタウンDX』 = 西田二郎ではない」と言い切ります。

そしてさらに印象的だったのは、今もずっと「自分って何者なんかな?」と常に考えているという言葉でした。もうバリバリにテレビ業界で活躍されているイメージがあるなか、世間のイメージと本人が感じているイメージとでギャップを端的に感じる非常に重みのある言葉でした。

 

友人とのある経験からメディア業界へ

実は西田さんは最初からメディア業界で仕事をしようとはほとんど考えていなかったといいます。その意味ではまったくその気がなかった業界に入ることになったわけですが、西田さんがメディア業界に入るきっかけは就職活動のときのある会話にありました。

就職活動当時、西田さんは友人たちと就職活動の面接対策を電話でやっていたそうです。その日も同じように友人と面接を想定した練習を電話ではじめました。その日電話を西田さんに掛けてきた友人は読売テレビを受けると言います。そこで西田さんは彼の志望理由や想いを一通り聞くのですが、その後西田さんは悩んでしまいました。当時はまったくメディアに関心を持っていなかった西田さんにも、彼の言っていることが刺さらなかったからです。そこで西田さんは明日の面接ではこんなことを言ってみてはどうだろう、あんなことを言ってはどうだろうと友人に提案をするわけなんですが、彼は一言「俺、分からへんねん」と西田さんに伝えました。

これには提案がまったく伝わらなかったことがすごくショックだったと当時を西田さんは回想するわけですが、なんとなくここで終わりそうな話でしたが、西田さんはふと考えました。彼に伝えたことを自分が読売テレビに伝えるのはどうだろうか、と。友人の試験は明日だったのですが、当時の就職活動は現在とは全く異なるため、西田さんは翌日読売テレビに連絡をして、実際に面接試験を受けることにしました。

当日の面接試験で、西田さんは友人に教える予定だった案を読売テレビの面接官にぶつけました。すると西田さん曰く想像以上に話がウケたそうです。友人に伝えても伝わらなかったことが、実際の面接官には想像以上にウケたことに衝撃を受け、そのまま西田さんが読売テレビに入社することにつながりました。
そもそも読売テレビに入るということよりも、当初から自分の想いを伝えたいことが先にあったので、読売テレビに入ったあとは、伝えたい想いを受け止めてくれた恩返しの気持ちで仕事をしてきたと西田さんは語ります。

 

まだまだ「何者か」探しは続いている

もしも友人から電話がなかったり、単純に友人へダメ出しをしてそのまま終了だったら、当時メディアではなく不動産業界などを志望していた西田さんは、メディア業界で活躍する可能性はほとんどなかったかもしれません。そうすると世の中には『ダウンタウンDX』という番組も生まれなかったし、さらに会社を飛び出し、イノベーションで汗を掻くようなこともなかったかもしれません。

だからこそ、西田さんにとって人生のターニングポイントになったあの瞬間、学生時代に友人から言われた「分からへん」という言葉が、今に至るまでずっと心の中で引っかかっている言葉としてあります。だから『分かってほしい』という気持ちを込めて西田さんはこれまでいろんな企画を作ってきました。
西田さん曰く「この歳になっても、俺はこういう人になるんだって、カチッとミートするような感じのものがまだ分からない」と言います。

西田さんは読売テレビというフィールドから飛び出し、もっと大きな場所で自身にミートするものを探す旅がまだまだ続いています。

プロフィール

望月大作(もちづきだいさく)

Webマガジン「まえとあと」編集人

1982年生まれ、京都府出身。同志社大学大学院修了後、複数の企業勤務を経てフリーランスに。編集・執筆・企画などを手掛けている。ほかにレグザ「みるコレ編集部」編集長も務める。

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