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成績優秀なメンバーに共通するのは家庭との向き合い方? リーダーになれる人の特徴

早川勝

2025年07月10日 公開

成績優秀なメンバーに共通するのは家庭との向き合い方? リーダーになれる人の特徴

メンバーへのアプローチをほんの少し誤っただけで、すぐにハラスメント疑惑となっていく、チームリーダー受難の時代。

いまリーダーに求められているのは、腰の引けた甘い「やさしさ」ではなく、"適度な距離感"を保つことのできる「覚悟と愛情」ではないでしょうか。

生命保険業界において、トップクラスの営業組織を築き上げ、30年以上の長きにわたりマネジメント教育の最前線に立ち続ける早川勝さんに、その実体験に基づいたリーダーとしてのあるべき姿、家族愛・信頼関係について解説して頂く。

※本稿は、早川勝著『覚悟を決めたリーダーに人はついてくる』(日経BP)を一部抜粋・編集したものです。

 

仕事脳を活性化させるのは家族愛

外資系生保の名古屋支社長として100名以上の精鋭部隊を率いていた頃、チームメンバー全員のご家族(配偶者さま、お子さま、ご両親)宛に、手紙を出したことがある。

メンバー個々の活躍を報告する手紙だ。内容はメンバーそれぞれの個性や特長を生かした仕事ぶりや、いかに会社に貢献してくれているか、感謝の気持ちを書き連ねた。
それはもう寝不足続きの大変な作業となったが、まったく苦にはならなかった。

そして、心ばかりのプレゼントとして、手紙と一緒に「幸せの黄色いハンカチ」を同封させてもらった。じつはそのとき、名古屋じゅうのデパートで私が黄色いハンカチをほぼ買い占めてしまったために、後日、デパート売り場に「幸せの黄色いハンカチ・コーナー」ができていた、という嘘のような本当のエピソードまであるほどだ。

すると、多くのご家族から、お礼の返事が届いたのだが、そこにはある傾向があった。
成績優秀なメンバーのご家族ほど返信率が高く、手紙の中身が濃かったことだ。

ご家族からの返信を読むと、チームメンバーがいかに家族を大切にしているか、その日常が読みとれた。やはり、夫婦関係、親子関係が良好であればあるほど、メンバーはいい仕事をするものなのだ。

誰にとっても、家族とはかけがえのない存在だ。そして、家族はいつも最大の理解者であり、最高の応援団でもある。
何のために、誰のために、奮闘努力するのかといえば、「家族のため」であろう。

エネルギーの源が家族だとするなら、リーダーであるあなたもその家族のことを知る必要があるのではないだろうか。

いまや時代の常識とは逆行しているかもしれないが、私は家族参加型のイベントを開催するのが好きだった。表彰式へのご招待はもちろん、食事会、慰安旅行、ディズニーランド、バーベキュー大会に、スポーツ大会など、メンバーの家族と多くの接点をもち、巻き込めば巻き込むほど、メンバーの士気は高まった。

ときとして、「家庭訪問」まで実施したほどである。「子どもじゃないんだから」という疑問の声が聞こえてきそうだが、家族と会えば"問題の本質"が見えてくる。

と同時に、何よりも、メンバーとその家族に対して、リーダーである私自身の「責任感」と「覚悟」がより強まる。家族に心配をかけることなく、なんとしても、メンバーを育成したい、昇進する手助けをしたい、成功へと導いてあげたい、という大きなパワーをもらえるのである。

一方で、リーダー自身の家族への向き合い方にも注意しておきたい。

あまりにも一途にマネジメントへと邁進するあまり家族を顧みず、それが原因で家庭生活が崩壊し、チーム経営にもマイナスの影響を与えるケースがある。

仕事と家庭の両立というのは、リーダーのみならず、すべてのビジネスパーソンにとって永遠のテーマであると言ってもいいだろう。仕事のために愛する家族が不幸になるのは、本末転倒な話だ。

家族への愛を行動に移せない人間が、チームメンバーへ人間愛をもって接することなどできるわけがない。仕事を言い訳に家庭を犠牲にするなど、リーダーとしても一人の人間としても、けっして犯してはならない背信行為なのだ。

真の愛情や深い思いやりは、心の中で思っているだけでは伝わらないもの。メンバーと接しているとき以上の笑顔とマメなサービス精神をもって、家族と超濃密なコミュニケーションをとり、愛を実践していくべきである。

リーダーとして、職場ではなんとか人格者を装っているのに、家庭に帰ったとたんに身勝手で疲れ切った人間に変貌してしまうのは残念だ。
家庭内の寛ぎとは、だらしのない人間性を暴露する場ではない。自己中心的な振る舞いやわがまま放題な態度では、家族は誰もついてこないだろう。

これからは家族の見本となる態度を貫くこと。家庭とはむしろ、「真のリーダー」としての健全な人間性を育てるところなのだから。

また、逆に家庭をスケープゴートにして、チームマネジメントを蔑ろにするなど論ずるに値しない。たとえば、偽者のマイホームパパ。彼らの化けの皮を剥がせば、怠け者の素顔を拝むことができる。

家庭犠牲型の仕事人間も失格、家庭逃避型の怠け者もまた、リーダー失格だ。
あなたの覚悟を決めた「高潔な生き方」が、家庭を幸福に導き、チームをも繁栄に導くのである。

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