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流れ星を確実に見る方法~流星群で試してみよう!

左巻健男(編),小林則彦(執筆)

2015年04月22日 公開 2022年11月14日 更新

流れ星を確実に見る方法~流星群で試してみよう!

『面白くて眠れなくなる地学』より》


 

流れ星を見てみよう!

流れ星が光るわけ

昔から、「流れ星が見えてから消えるあいだに、願いごとを唱えれば叶う」といわれます。でも、流星群が来ることでもなければ、そうそう流れ星を見るチャンスには恵まれませんね。

流れ星を見るには、ちょっとしたコツがあるのです。このコツさえつかめば、あなたの願いも叶えやすくなるかもしれません。

まず、流れ星とは何なのかを知っておきましょう。実際に観察するとわかりますが、流れ星は、ちょうど夜空の星と同じ程度の明るい物体が突然現れ、すばやく一直線に移動して消滅する現象です。一見、“星が流れたように”思えますが、実は星(恒星)と流れ星(流星)は似て非なるものです。

恒星とは、太陽のように自ら光り輝く天体です。大きく暖かく輝く太陽と、冷たくまたたく夜空の星。見た目からは似ても似つかない2つの天体ですが、実は両者とも恒星と呼ばれる同じ仲間の天体です。2つの天体の見え方の違いは、地球からの距離が異なることによるものです。

仮に、太陽を何光年もの彼方にもっていくと、恒星のように光って見えます。逆に、恒星を太陽の距離までもってくると、大きく明るく暖かい天体になります。恒星は、遠くにある太陽のようなものです。

一方の流星は、惑星のあいだに漂う宇宙の塵が、地球の大気圏に突入して発光したものです。つまり、流星はせいぜい1ミリ程度の大ききで、地球の大気圏内で起こっているとても近い現象です。このように、恒星と流星は、まったくの別物なのです。

では、宇宙の塵である流星はなぜ発光するのでしょうか。

流星は、大気圏に秒速数十キロメートルという猛スピードで突入します。すると、流星は大気中にある気体分子に衝突してそれらを蹴散らし、励起(エネルギーの高い状態にすること)・加熱します。励起・加熱された気体分子は電子が引きはがされて「プラズマ状態」になり、発光するのです。

つまり大気の薄い高度100キロメートルあたりでは、流星によって蹴散らされた気体分子が発光しています。しかし、高度80キロメートルあたりに達すると、大気が濃くなり気体分子が混雑してきて蹴散らせなくなります。すると、流星の前面にある空気が圧縮されて温度が上昇し、圧縮空気がプラズマ状態になって発光します。

最終的に、流星は圧縮・加熱された空気に加熱され、地表に到達することなく燃え尽きます。流星が光を放って流れているほんの一瞬のあいだにこうした2つの現象が起こっていたのです。

 

狙いは流星群

流星は、どれくらいの頻度で発生しているのでしょうか。

意外なことに、流星は 24時間 365日、常に発生していて、光が暗いものも含めると相当数に上ることがわかっています。ただ、実際に流星を目撃する確率はそんなに高くありません。

なぜかというと、流星には暗いものが多く、夜空の条件に大きく左右されるからです。夜空が暗いほうが、見える流星の数は多くなります。条件の良い暗い夜空では、全体で1時間あたり5~10個程度は見えているといいます。

しかし、人間の視野は夜空全体の4分の1~5分の1が限界なので、ある方向だけをじっと1時間見つめていれば、1~2個は目撃できる計算になります。一般の人が夜空の同じ方向を1時間も見続けることは、あまりありません。しかも条件の良い暗い夜空での話です。都会の夜空では、確率がずっと下がります。

そんな滅多に見られない流星をかんたんに見ることができるのが、流星群です。地球の公転軌道上に、流星の素となる宇宙の塵が濃い場所がいくつかあります。そこを地球が通過するとき、たくさんの塵が地球に降り注ぐため、普段にはない数多くの流星が流れるのです。

宇宙の塵が濃い場所は、彗星によってつくられます。彗星とは、太陽に近づいたときに長く尾を引く天体です。長い尾は、太陽の熟と光によって彗星の内部物質が噴き出したものです。

彗星の内部から噴き出した物質は、すなわち宇宙の塵ですから、彗星の公転軌道付近には、たくさんの塵がばらまかれます。いくつかの彗星の公転軌道と地球の公転軌道は交差しており、地球がその交差地点を通過するときに、通常に比べて大量の塵が飛び込んできて流星群になるわけです。

流星群をもたらす彗星のことを「母彗星」といいます。母彗星が通過した直後はとくに塵が多いので、通常の流星群よりも大量に流星が流れる「流星雨」になることもあります。

最近の例は、しし座流星群で、1999年に母彗星であるテンペル・タットル彗星が通過した後、2年後の2001年に、日本でも流星雨が見られました。

また、流星群には星座の名前がついていますが、これにも意味があります。流星群が見られるとき、それぞれの流星の軌跡を延長していくと、1つの点(放射点)に集まります。流星群はこの放射点から流れているため、放射点付近の星座の名前がついています。放射点が生じるのは、彗星がばらまいた塵の中に地球が突っ込んでいくからなのです。

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流星を見るための3条件

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