「完璧を求めすぎて、上手くいかなかったときに落ち込んでしまう」「毎週月曜日が来ると不安になる」こうした想いを抱える方は、きっとたくさんいると思います。
どうすれば、そんな自分と上手に向き合い、さらに人生を豊かにできるのか――日本メンタルヘルス協会代表を務める衛藤信之さんは、自分の中に最強の味方である「インナー心理カウンセラー」を作ることが大切だといいます。本稿では、衛藤信之さんの著書『傷つかない練習』より、心を軽くする考え方を紹介します。
※本稿は、衛藤信之著『傷つかない練習』(大和出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「完璧であること」を手放す質問を自分に投げかける
「完璧じゃないと意味がない」
「ちゃんとできなかったから、全部ダメ」
そんなふうに、自分に厳しい評価を下してしまうことはありませんか?たとえば、試験で80点を取ったとき「あと20点足りない」「またミスした」と、自分を責めてしまうなどです。あるいは、人前で話をしたときに少しだけ噛んでしまった経験などを、「もう最悪。何も伝わらなかった」「全部台無しだった」と考え、ただ自分の欠点を責めるだけ。
このように「できたこと」よりも「できなかったこと」ばかりに目を向けてしまう思考を、心理学では「オール・オア・ナッシング思考」と呼びます。白か黒か。0点か100点か。正しいか間違っているか。中間がまったくなく、極端に自分を裁定してしまう、まさに"オセロ"のような白黒思考の状態をいいます。
でも、人生は本来、グラデーションです。100点満点じゃなくても、十分頑張った日があったり、プレゼンの途中で噛んだけれど、内容はしっかり伝わったと満足できる人もいます。そんなグラデーションが織りなす人間らしさを、インナー心理カウンセラーのサポートする力でちゃんと認めてあげましょう。
では、そのやわらかい眼差しを持ったインナー心理カウンセラーを、どう育てていくのか?「内なる厳しい自分」をゆるめるのに必要なのは「問いかけ」です。たったひとつの出来事で自分を決めつけてしまうときは、インナー心理カウンセラーから、こんな質問をしてみましょう。
「本当に"全然ダメ"だったの?」
「何点なら絶対OKと言えたの?」
「もし友だちが同じことをして傷ついていたら、君はなんて声をかける?やはり責めるの?」
「そもそも"完璧"ってあるの?」
こうした問いは、狭くなった心をそっと広げてくれます。まるで、暗闇に光を差すサーチライトのように、あなたの可能性に光を当ててくれるのです。
「完璧じゃないあなた」を周りの人は責めない
完璧主義は、もともと「自分を守るための戦略」として生まれました。でも「失敗しなければ、価値がある人間でいられる」といった無意識の白黒思想の思い込みが、あなたに完璧さを求め続けさせるのです。
でも、"完璧なあなた"を、周囲は求めてはいません。むしろ「ちょっと抜けている」「たまに失敗する」あなたのほうが、安心感があって近づきやすく感じるものなのです。また完璧さを求めるあまり、あなた自身が、人のやさしさや応援する声をはね返してしまうこともあります。
「ありがとうって言われても、本気じゃないでしょ」
「ほめてはくれたけど、あれは気をつかわせているだけだよ」
「本気にしたら、後で笑われるよ」
自分の中に批判する親が育っているので、せっかくのプラスも受け取れない人になってしまうのです。あなたの人生も、人柄も、努力も、60点でも、70点でも、そこにたっぷりと意味あるはずです。"合格点"を、自分で引き下げてあげること。それは自分を甘やかすのではなく、自分への「応援の再設計」なのです。
月曜日がつらく感じるのは、なぜか
日曜日の夜になると、なんだか気持ちが重くなる。テレビから流れるエンディング曲や、街の静けさが「明日は月曜日だよ」と告げるたびに、「また一週間が始まるのか......」と、深いため息が出てしまう。
でも、なぜ"月曜日"が、こんなにも僕たちを憂うつにさせるのでしょうか?月曜日がしんどくなる理由のひとつは、あなたが「過去の出来事」を"未来にも起こること"だと予測しているからです。
・上司に叱られた金曜日の記憶
・返事をくれなかった同僚の無愛想な顔
・「結局、何が言いたいの?」と言われた、あの会議の空気 など
これらの記憶が、まるで「予告編」のように頭の中で流れ、「きっと明日も同じようなことが起こるに違いない」と思ってしまうのです。脳には「過去の情報から未来を予測する」という特別な機能があります。これは、本来あなたを危険から守るために備わっているものです。
でも、この機能が"ネガティブな記憶"ばかりを参照するようになると、未来に対して、必要以上に「不安」「緊張」「嫌悪」がわき起こります。これを心理学では「破滅的な予測」「予期不安」と呼びます。しかも厄介なことに、「どうせ明日もうまくいかない」と思っていると、本当に注意力や集中力が下がり、"うまくいかない"という現実を自ら引き寄せてしまうことにもなるのです。
「月曜日の呪い」から解放される魔法の言葉“かもしれない”
では、どうしたら僕たちは「月曜日の呪い」から自由になれるのでしょうか?答えはシンプルです。それは未来を「固定されたもの」と考えるのではなく、「変化の可能性があるもの」として信じてみること。そのために、とても効果的な言葉をご紹介します。"かもしれない"を使った現実シフト法則です。
「今日はつらかったけど、明日は少しマシかもしれない」
「今週は苦しかった。でも、来週は話しやすい同僚と組めるかもしれない」
「きっと、何かひとつくらいは笑えることがあるかもしれない」
"かもしれない"という言葉はすごくて、思い込みを超えて現実のとらえ方をシフトさせることができるのです。すると、あなたの無意識は「小さな予想外」を見つけるようと努力するのです。
・普段は素っ気ない同僚がコーヒーを買ってきてくれた
・通勤電車の中で、見知らぬ子どもの笑顔にふと救われた
・ずっと話しかけられなかった相手と、なんでもないことで笑い合えた
こうした小さな予想外が、あなたに「大丈夫」の感覚を取り戻させてくれます。だから、月曜日の朝は"うまくいかないこと"の準備ではなく、"いい意味での裏切り"に出会う準備をしてみてください。







